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日EU・EPAセミナー、大阪と名古屋でも開催

(EU、日本)

欧州ロシアCIS課

2017年09月14日

日EU経済連携協定(EPA)大枠合意(7月6日)を受けて、ジェトロは8月30日、合意の内容と企業にとっての意義をテーマにした日EU・EPAセミナーを大阪と名古屋で開催した。両会場を合わせて、企業関係者ら約200人が参加した。

世界的に保護主義が台頭する中での大枠合意に意義

大阪と名古屋でのセミナーは、7月31日に開催した東京セミナー(2017年8月9日記事参照)に続くもので、最前線で交渉に携わった外務省と経済産業省が大枠合意の概要や同EPAの意義について、ジェトロは新たなビジネス機会について説明した。

両セミナーでは初めに、外務省経済局欧州連合経済室の大塚和也室長が、日EU・EPAの大枠合意の概要と政治的意義などについて解説した。世界的に保護主義が台頭する中で、日本とEUでEPAについて大枠合意を達成できた意義は大きく、電子商取引といった新しい分野や、コーポレートガバナンスなど環太平洋パートナーシップ(TPP)にはない分野も含まれており、同EPAはレベルが高いものとなったとした。

大枠合意内容の詳細については、外務省ウェブサイトに掲載のファクトシートPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)に基づき、最大の関心事である物品市場アクセスでは日本側の関心品目(自動車、電子機器など)、EU側の関心品目(豚肉、ソフト系チーズなどの農産品)の扱いについて解説した。その他酒類については、EPAにより日本からEUへの輸出拡大のチャンスが期待できると強調した。また、物品市場アクセス分野以外でも、地理的表示(GI)、政府調達、サービス、投資、電子商取引などの幅広い分野で大枠合意に至ったと述べた。

なお、大塚室長は、今後も精力的に交渉を続けて早期にテキストを固めていきたいとの意思を表明した。投資家対国家の紛争解決(ISDS)については引き続き交渉中であるほか、電子商取引分野に関連して、個人情報保護についてはEPAとは別に、引き続き欧州委の司法当局および日本の個人情報保護委員会の間で議論を行い、相互に保護レベルが十分であると認めた段階で相互の個人データの越境移転を認めることとし、2018年早期の実現を目指すことが、両首脳間の共同宣言において発表されたことを紹介した。

工業製品での高い関税撤廃率、ビジネス上のメリット大

続いて、経済産業省通商政策局経済連携課の山口仁課長が、物品市場アクセス分野における工業製品の大枠合意内容と日本企業のビジネス上のメリットについて解説した。同課長はまず、EPAについて、EPAとは自由貿易協定(FTA)より包括的な2国間の経済協定で、親密な経済関係を2国間で構築することで、貿易や投資をはじめ両国間のビジネスを深めていくことが狙いと説明。韓国をはじめ諸外国がFTA・EPA締結を進めている中、今後、日本も加速して交渉を進めていきたいとした。

次に、工業製品の関税は最終的には100%撤廃され、即時撤廃率はEU側が81.7%、日本側は96.2%と述べた。日本からの輸出で一番影響が大きいと考えられる品目は、自動車(日本からEUへの輸出額:約1兆円)で、EU側関税率10%が8年目に撤廃されると説明した。先にFTAをEUと発効した韓国の自動車輸出台数が伸びている一方、日本からの輸出台数は落ち込んでおり、現地生産が進むなどビジネス環境の変化もあるが、今回のEPA発効の影響は大きいとした。また自動車部品(約1兆円)も影響が大きく、即時撤廃率は9割以上になると述べた。代表的なものとして、ギアボックスは即時撤廃、ボールベアリングは8年目に撤廃されるとした。一般機械では、ターボジェット、プロペラ部品が4年目に撤廃され、最近注目が集まっているリチウムイオン電池は即時撤廃されると説明した。

政府調達では、EUは国レベルの機関を日本に対して開放し、加えて鉄道分野では、WTOで除外されていた鉄道産品の一部を日本に開放した。投資分野では、投資家に対する特定の措置(ローカルコンテンツ、ロイヤルティー)の履行要求の禁止、電子商取引においては、ソフトウエアのソースコード開示要求の禁止を獲得し、ビジネス上のルールが整備され明確になったことで予見性が高まり、ビジネスがしやすくなるとした。

欧州進出日系企業の間でも高まる期待感

ジェトロ海外調査部欧州ロシアCIS課の田中晋課長は、日本とEUの貿易上位品目の関税率とEPAによる影響、最大の輸出品目である自動車・同部品のEU向け輸出、日本企業の欧州でのビジネス事例、ジェトロの取り組みについて紹介した。

欧州に進出している日系企業のEPAに対する見方として、ジェトロが毎年実施している欧州進出日系企業実態調査で日EU・EPAの影響を聞いており、「メリットが大きい」と回答した企業の比率は2016年調査で大きく増加したと述べた。メリットが大きい理由としては、関税引き下げ、市場アクセス改善、その他ビジネス機会の拡大などが挙がったことを説明した。日本から原材料や部品を調達するEU進出日系企業の比率をみると、製造業は3割、非製造業は4割程度で、関税引き下げの効果は大きいと述べた。最後に、ジェトロの日EU・EPAに関する情報提供を行っている特設ページを紹介した。

参加者からは、EPAの発効見通しや原産地証明制度に関する質問が寄せられた。日EU・EPAの発効の見通しについては、最終合意に向けて交渉を継続中であることに加え、最終合意後の手続きに一定期間が必要だが、EU側は2019年の暫定適用を目指している(注)。暫定適用までには、テキストの合意、EU公用語への翻訳、署名、日本と欧州双方の議会での承認が必要との回答が示された。原産地証明制度については、同EPAでは自己証明制度が採用される予定で、品目ごとに付加価値基準や関税分類変更基準などが決められていると解説した。

なお、各分野の大枠合意の概要と物品市場アクセスの主要品目の大枠合意内容については、政府ウェブサイトで参照できる。

(注)EUにおいては、加盟国の批准手続きも必要な混合協定については、EUが排他的権限を持つ分野についてのみ、協定全体の発効に先行して欧州議会の批准手続き後に暫定的に適用を開始することが可能とされている(2017年7月11日記事参照)。

(廣田純子)

(EU、日本)

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