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長期就労ビザ厳格化の方針を一部緩和

(オーストラリア)

シドニー発

2017年07月14日

オーストラリア連邦政府移民・国境警備局(DIBP)が6月30日に発表した、短期熟練職業リスト(STSOL)と中長期戦略技能リスト(MLTSSL)の見直しと関連規則の改正が、7月1日から適用された。

サブクラス457ビザの要件を再び改正

DIBPは、「オーストラリア人の雇用と価値観を最優先する」との観点から、オーストラリアに進出する日系企業の多くが取得している長期就労ビザ(サブクラス457ビザ)を2018年3月に廃止し、新たにテンポラリー・スキル・ショーテッジ・ビザ(TSSビザ)を導入する(2017年6月7日記事参照)。

サブクラス457ビザは廃止までの期間が設定されており、DIBPは、期間中に同ビザの発給条件見直しを行い、段階的に厳格化していくと発表していた。DIBPは6月30日、産業界、ステークホルダー(利害関係者)などとの調整を踏まえ、7月1日以降の改正内容を発表した。

(1)これまでの改正点

○職業リスト(CSOL)が厳格化され、サブクラス457ビザで認められていた職業が激減。さらに、職種によっては追加要件(Caveats)がある。

○CSOLは、2年間有効のSTSOLと、4年間有効のMLTSSLに改編。

(2)今回の改正点(2017年7月1日から適用)

○上記2リストの見直しが行われ、36が変更、12が削除。

○日系企業の駐在員の多くが選択している最高経営責任者(CEO)や業務執行役員(MD)の有効期間がビザ改正前の4年間に再変更(注1)。

○Caveatsが緩和。CEOやMDの場合、今回の改正で「〔経済連携協定(EPA)などの〕国際協定締結国の駐在員を除き、年間基本給与が18万オーストラリア・ドル(約1,566万円、豪ドル、1豪ドル=約87円)以下の場合はビザを発給しない」との条件に緩和された(注2)。

○年間給与が9万6,400豪ドル以上の場合に免除されていた英語力テスト(IELTS)は必須。ただし、「申請者が海外ビジネスに携わっており、オーストラリア国内のグループ会社に勤務する(駐在員など)場合を除く」と規定され、実質これまでの免除措置を維持。

○過去10年間かつ1年以上滞在した全ての国での犯罪経歴証明書(無犯罪証明書)の提出。

○2018年3月までの間、スポンサー企業が行う研修基準(トレーニング・ベンチマーク)の実施要件が厳格化〔2018年3月以降は職業訓練費用の支払い義務(トレーニング・レビー)へと置き換わる予定〕。

オーストラリア産業界や進出日系企業には朗報

今回のビザ発給要件の緩和は、日系企業や多国籍企業の多くが恩恵を受けるものとみられる。CEOやMDの場合、ビザ期間が4年に再変更(一連のビザ厳格化変更以前の状態に回復)され、さらにCaveatsも大幅に緩和された。IELTSもこれまでと同水準の免除規定が新設されている。

現地の各報道では、4月19日から実施されたビザ発給要件厳格化に伴う影響として、「オーストラリア証券取引所(ASX)上場企業上位100社のうち、CEOが外国籍である企業は4割程度を占める。ビザ発給要件が厳格化され、有効期限が2年間になった場合、優秀な海外人材の確保に支障を来すだけでなく、人材確保のために報酬の引き上げを迫られる」と懸念されていた。

オーストラリア産業連盟(AiGroup)は「CEOやMDなどの職種がSTSOLへ格下げされた際は将来に対する懸念を抱いていたが、永住権が取得可能なMLTSSLへの復帰見直しについて、政府の対応を歓迎する」との声明を出した。

一方、2018年3月のTSSビザ導入までの間、今後も引き続きサブクラス457ビザの段階的見直しが予定されており、その内容については注視する必要がある。

(3)2017年12月31日時点での改正点(予定)

○ビザ申請時に申告した年収が実際の給与と合致しているか、DIBPと国税局が連携して申請者の税務番号を取得し、調査を行う。

○スポンサー企業がビザ取得に係る義務を違反していた場合、DIBPによりスポンサー企業が公開される。

(4)2018年3月時点での改正点(予定)

○サブクラス457ビザを廃止し、TSSビザが導入される。

○TSSビザの概要(表参照)。

表 TSSビザの概要 (出所)政府発表資料

(注1)「CEO or MD」のビザ有効期間の推移は、最長4年(4月18日以前)→最長2年(STSOLに分類:4月19日以降)→最長4年(MLTSSLに分類:7月1日以降)。

(注2)当初の改正時点では「年間売上高が100万豪ドル未満、スタッフが5人未満、年間基本給与が9万豪ドル未満の場合はビザを発給しない」という追加要件が付与されていた。

(藤原琢也)

(オーストラリア)

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