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EU15ヵ国、通商協定にデータ移動などの規定を要求

(EU、日本)

ブリュッセル発

2017年06月07日

EUに加盟する15ヵ国は5月18日、欧州委員会宛てに、日EU経済連携協定(EPA)などEUが締結する通商協定に、データの移動とデータ・ローカリゼーション(データを保存し、サービスを実行するサーバーの設置場所)に関する野心的なルールを盛り込むよう求める書簡を送付した。

ネット活用に対する新たな障壁

欧州委のフランス・ティーマーマンス第1副委員長(より有効な規制・機関間関係・法の支配・基本権憲章担当)とセシリア・マルムストロム委員(通商担当)宛てに送付された書簡は、近年、データの量とそれによって生み出される経済的な利益が大きく拡大する一方で、データ・ローカリゼーションに関する要件が、「本質的にグローバル」なインターネット活用に対する「国境における新たなデジタル障壁」となっていると指摘した。その上で、域内企業がネットによってもたらされる商機を生かすことができるよう、通商協定の中でデータの移動とデータ・ローカリゼーションに関する野心的な規定を盛り込むことを要求した。

イタリア、スペイン、オランダ、スウェーデン、ポーランドなど15ヵ国の書簡は、EPA交渉を進める日本について、世界3位の経済国でイノベーション大国であるだけでなく、民主主義や国際的な法の支配、人権、公平な市場経済、グローバルな自由貿易体制など、EUと基本的な価値観を共有していると強調。日本との野心的なEPAは双方の経済成長を加速させるとし、データの移動に関する野心的な条文案を至急提示するよう求めた。

EUの交渉方針が未確立と指摘

欧州委は2015年10月に発表した貿易・投資戦略「万人のための貿易」で、デジタル貿易の促進に向けて、国境を越えた自由なデータの移動の重要性に触れて、自由貿易協定(FTA)などを通じた国際的なルール整備の必要性を指摘していた(注)。さらに欧州委は2017年1月に、データの移動を通商協定に盛り込むための検討準備作業を開始した。報道によると、交渉相手国に対して個人データの保護を基本的人権として承認することを求める内容だという。また、欧州委のコミュニケーション(指針)「欧州データ経済の構築」では、域外の第三国のデータ保護措置が十分か検証する「十分性認定」を日本について優先的に実施する方針を示していた(2017年2月8日記事参照)。

しかし、今回の書簡は、データの移動などに関するEU側の交渉方針が確立していないため、日本と当該分野の交渉に取り組むことができないでいると指摘し、こうした状況について、機会損失のリスクを高めるのみならず、通商協定の交渉相手としてのEUの信頼性にも関わると懸念を表明している。その上で、通商協定の交渉におけるデータの移動に関する方針を確立できなければ、グローバルなデジタル貿易市場を分断させ、加盟国や市民、起業家がグローバルなバリューチェーンに参加することを妨げ、公平な競争環境や中小企業のイノベーションの障害となると警鐘を鳴らした。

この書簡には前記5ヵ国のほか、ブルガリア、クロアチア、チェコ、フィンランド、デンマーク、ラトビア、リトアニア、ルクセンブルク、ポルトガル、ルーマニアが署名している。なお、日本とEUは早期のEPA交渉妥結を目指しており、書簡では「合意間近」と表現されている(2017年3月23日記事参照)。

(注)ジェトロ調査レポート「EUの新貿易・投資戦略『万人のための貿易』の概要(2015年12月)」を参照。

(三上建治、村岡有)

(EU、日本)

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