陝西省、5月から最低賃金を引き上げ

(中国)

北京発

2017年04月26日

 陝西省の最低賃金が5月1日から引き上げられる。同省の最低賃金は4つの地域ごとに設定されており、最も高い1類地域は月額1,680元(約2万6,880円、1元=約16円)、平均上昇率は15.6%となった。同省の最低賃金の改定は2年ぶり。

月額は4地域平均で15.6%上昇

陝西省人力資源・社会保障庁は3月24日付で、「陝西省の最低賃金基準の調整に関する通知」(陝人社発[2017]13号)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表し、最低賃金を5月1日から引き上げると発表した。陝西省の最低賃金は1類から4類の地域ごとに設定されており、月額はそれぞれ1,680元、1,580元、1,480元、1,380元となった(表1参照)。4地域の平均上昇率は15.6%となっている。1類地域には西安市の新城区、碑林区、雁塔区、咸陽市の秦都区、渭城区、楡林市の楡陽区などが含まれ、金額は1,680元と最も高いが、上昇率は13.5%と最も低かった。西安市の戸県などを含む3類地域の上昇率は17.5%で最も高かった。また、同通知では、同一勤務先で1日当たりの平均労働時間が4時間を超えず、1週間の労働時間が累計24時間を超えないパートタイム(非全日制就業労働者)の最低時給も、4地域でそれぞれ16.8元、15.8元、14.8元、13.8元に引き上げられた。

表1 陝西省の最低賃金(単位:元、%)
類別 月給 時給
2015年
5月1日~
2017年
5月1日~
上昇額 上昇率 2015年
5月1日~
2017年
5月1日~
上昇額 上昇率
1類地域 1,480 1,680 200 13.5 14.8 16.8 2.0 13.5
2類地域 1,370 1,580 210 15.3 13.7 15.8 2.1 15.3
3類地域 1,260 1,480 220 17.5 12.6 14.8 2.2 17.5
4類地域 1,190 1,380 190 16.0 11.9 13.8 1.9 16.0

(注)地域の類別は前述通知の付表を参照。
(出所)陝西省人力資源・社会保障庁

最低賃金の月給基準には個人負担分の社会保険、住宅積立金が含まれているが、(1)企業負担分の社会保険、住宅積立金、(2)残業・時間外賃金、(3)昼夜間、夜間、高温、低温、地下、有毒有害など特殊環境での手当、(4)法律法規および国家規定により定められた労働者の福祉待遇、などは含まれていない。

1類地域は2桁の上昇率を維持

最低賃金制度は全国31省・自治区・直轄市で実施され、最低賃金規定第10条により2年ごとに少なくとも1回の調整が義務付けられている。ただし、広東省は3月1日に最低賃金水準の改定頻度をこれまでの「少なくとも2年に1回」から「原則的に少なくとも3年に1回」に変更し注目を集めた(2017年3月22日記事参照)。

陝西省政府は2006年7月1日、最低賃金に関する旧規定(1994年版)を廃止し、現行の「陝西省最低賃金規定(陝西省人民政府令第109号)」を公布した。1類地域の最低賃金上昇率は今回を含め毎回2桁で、平均15.3%となっている(表2参照)。

表2 陝西省1類地域の月額最低賃金の推移(単位:元、%)
施行日 改定後賃金 上昇額 上昇率
2006年10月1日 540
2008年1月1日 600 60 11.1
2010年7月1日 760 160 26.7
2011年7月1日 860 100 13.2
2012年1月1日 1,000 140 16.3
2013年1月1日 1,150 150 15.0
2014年2月1日 1,280 130 11.3
2015年5月1日 1,480 200 15.6
2017年5月1日 1,680 200 13.5

(出所)表1に同じ

ちなみに、陝西省が企業に示している2016年の賃金ガイドラインは、上昇率の下限ラインを3.0%、基準ラインを7.0%、上限ラインを11.0%と設定し、前年よりそれぞれ2.0ポイント、3.0ポイント、4.0ポイント引き下げている(2016年8月9日発表)。賃金ガイドラインに強制力はないものの、企業の賃上げの参考として政府が定期的に発表する。

(趙薇)

(中国)

ビジネス短信 66965c844d6e6909