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シカゴ市がレジ袋税を導入-全米レベルで法制化の動き-

(米国)

シカゴ発

2017年02月22日

 シカゴ市は2月1日、「使い捨て買い物袋税(レジ袋税)」を導入した。米国では毎年1,000億枚ものプラスチック製のレジ袋が使用され、その生産には推定1,200万バレルの石油が使われている。「ウォールストリート・ジャーナル」紙の報道によると、廃棄されたレジ袋が全て劣化し消滅するのに最長1,000年かかると考えられているなど環境問題になっている。レジ袋の使用に関わるシカゴ市の取り組みについて紹介する。

17セント徴収、紙製にも適用>

 レジ袋に関する問題は、カリフォルニア州、ハワイ州などのさまざまな自治体、コミュニティーによって、リサイクルの実施や有料化などの対策が取られてきた。こうした中、1人当たり年間約500枚のレジ袋が使われているというシカゴ市(人口約270万人)において、201721日からレジ袋税が導入・施行された。

 

 シカゴ市のレジ袋税は、市内の小売店での買い物袋の無料提供の禁止、レジ袋を求める消費者から1袋当たり7セントを徴収(課税)するものだ。この新たな規制は、大型店舗のみならず全ての小売店を対象とし、かつプラスチック製レジ袋に加え、紙製のものについても適用されることとなった。

 

 レジ袋税は、シカゴ市議会が201611月に承認した。主な目的は、埋め立て地に送られるごみの量を減らすこと、すなわち環境の保護とされている。徴収される7セントのうち5セントは市に納められ、2セントはレジ袋の費用として小売業者の手元に入る。シカゴ市は、レジ袋税により年間1,290万ドルの税収を見込んでおり、このうち市の収入は920万ドル、小売業者は370万ドルとなると推計している。

 

<再利用可能な厚い袋の導入失敗を反省>

 シカゴ市は20158月、大型店舗〔敷地面積1万平方フィート(約930平方メートル)以上〕を対象に、有害とされる使い捨ての薄いプラスチック製のレジ袋の使用を禁止する条例を施行した。20168月には、小規模のフランチャイズ店やチェーン店でも同規制が導入された。規制の対象となった業者は、対策として店頭やレジでのエコバッグの販売強化やマイバッグ利用者へのインセンティブなどに加え、薄いレジ袋に代わる再利用可能な厚くて丈夫なレジ袋を無料提供し、繰り返し使うよう呼び掛けていた。

 

 しかし、厚めの袋はほとんどの場合、生分解性素材(使用後、自然界に存在する微生物の働きで、水と二酸化炭素に分解されるもの)でないこと、作る際に薄いレジ袋の5倍のエネルギーを消費すること、1枚の袋を何人の消費者が再利用しているかの状況を把握できないこと、などの問題が指摘された。同規制の導入後も消費者の行動に大きな変化はなく、厚い袋が再利用されずに捨てられ、環境保護に逆行する結果となった。今回のレジ袋税の導入は、こうした反省を踏まえたものとなっている。

 

 なお、全米州議会議員連盟(NCSL)によると、20152016年に、23州でレジ袋の規制に関する法案が少なくとも77回提案されている。米国ではこれまで多くの州や自治体レベルでこの問題に取り組んでおり、各州は禁止策、有料化、課税など、効果的な対策を模索している。

 

<環境保護に加え財政健全化も狙う>

 シカゴ市のレジ袋税は、それまでの使用禁止策から課税に切り替えたものといえる。その狙いは、本来の目的である環境の保護に加え、副次的・間接的なものとして、市の財政事情の改善を図ることにもある。シカゴ市は、2015年に約10億ドル以上の赤字を計上しており、財政事情が必ずしも良いとはいえない。今回の施策は、その改善に寄与することとなる。

 

 シカゴ市があるイリノイ州クック郡では、7月から炭酸飲料などに課税するソーダ税が導入される(2017年1月6日記事)。同税についても、人々の健康増進に主眼を置きながらも、クック郡の財政健全化に対する貢献が期待されている。

 

 イリノイ州の失業率は2015年に5.9%で、2010年と比べ4.3ポイント減少した。その後も改善傾向にあり、所得税収入の増加も期待されている。

 

(落合静美、笠原健)

(米国)

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