人民銀、上海自貿区のオフショア金融サービスを強化-区外の科学技術創新分野企業・個人の口座開設を認める-

(中国)

上海発

2016年12月07日

 中国人民銀行(中央銀行)は、これまで中国(上海)自由貿易試験区(以下、自貿区)内の企業・個人のみが開設できた自由貿易口座(オフショア口座)について、自貿区外の科学技術イノベーション分野企業・個人への口座開設を認めるとした。同措置は「中国製造2025」や「一帯一路」などの国家戦略の支援策として、科学技術イノベーション分野企業の人材確保や海外進出など経営活動の利便性向上が期待されている。

<対象を拡大、海外口座との自由な通貨振替が可能に>

 中国人民銀行上海本部は1123日、「自由貿易試験区の越境金融サービス機能のさらなる強化で科学技術イノベーションと経済発展をサポートする通知」および「通知」の概要と目的に関する説明文を公開した。

 

 上海本部の説明によると、今回の「通知」により、上海市内の科学技術イノベーション分野企業・個人はオフショア口座を開設できるようになった。自由貿易口座は従来、上海自貿区内の企業・個人のみが開設できたが、今後、対象となる企業・個人はオフショア口座を利用することで、海外口座との自由な通貨振替が可能となり、資金調達の自由度向上とコスト削減、国内外の資産管理の効率化を実現できる(2014年5月28日記事参照)。

 

 中国人民銀行上海本部は「通知」の目的について、科学技術イノベーション分野の企業の人材確保、海外進出などの経営活動の利便性向上を図り、「中国製造2025」「大衆創業、万衆創新」「一帯一路」などの国家戦略や上海市政府の科学技術イノベーション促進政策を金融面でサポートするため、と説明している(注)。

 

(注)「中国製造2025」は国務院が20155月に発表した製造業の高度化を実現するための政策で、「大衆創業、万衆創新」は国務院が20156月に打ち出した起業・イノベーションを促進するための政策、「一帯一路」は政府が20139月に打ち出したシルクロード・海上シルクロード沿線国による経済圏を構築することを目指す国家戦略だ。

 

(文涛)

(中国)

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