外資規制の新ネガティブリストを日系企業向けに説明

(インドネシア)

ジャカルタ発

2016年06月17日

 インドネシア進出日系企業を対象にした、「投資ネガティブリスト」の改定についての説明会が6月2日、ジャカルタ市内で開かれた。外資に開放されたディストリビューターの定義や、外資規制が強められた建設事業などについて活発な質疑応答が行われた。

<ネガティブリストは省庁規定の上位法令に>

 説明会は、国際協力機構(JICA)からインドネシア投資調整庁(BKPM)に派遣されたジャパンデスクとジェトロが共催し、ジャカルタ・ジャパン・クラブ(JJC)が協賛して開催された。512日付大統領規定2016第44に基づく投資ネガィブリストの改定内容について、BKPMのファラ長官代行(投資環境・開発担当)、ユリオット担当ディレクターから直接、説明があった〔BKPMの説明資料(英語のみ)参照〕。会場には進出日系企業の173人が参加し、質疑応答では活発な質問が出た。

 

 投資ネガティブリストは、国内外の企業がインドネシアで活動するに当たって、投資が閉ざされている分野や条件付きで投資を認める事業分野を指定したリストで、民間企業が法人の新規設立や事業拡張などに際して順守する原則となっている。リストには事業分野に該当する標準産業類コード(KBLIが記載されており、該当するKBLIは、ネガティブリストの規定に従うことが必要となる。前回2014年から2年ぶりの改定となった(2016年6月6事参照)。

 

 説明会ではファラ長官代行が、新ネガティブリストの改定の目的を説明した。今回の改定は、国内外の投資活動の活発化と中小零細企業の保護のために、大統領のイニシアチブで実施された。改定に当たっては、事前に各国の商工会議所や関係業界団体など、国内外の関係者から寄せられた400件余りの要望を精査した。また、さらなる簡素化を目指し、ネガティブリストに記載する事業分野を646業種から515業種に削減した。

 

 続いて、ユリオット担当ディレクターが、新ネガティブリストの概要を説明した。従来はネガティブリストの規制にかかわらず、特定業種に関し、担当省庁がより厳しい外資規制を課すことがあったが、今回の改定で大統領規定であるネガティブリストを上位法令に位置付けた。ユリオット氏によると、各省庁の規定はネガティブリストの出資上限に従うことになる。今後、省庁の規定とネガティブリストが矛盾することが判明した場合、経済調整大臣府が所管する「輸出・投資能力向上チーム」(Timnas PEPI)によって省庁間の調整が行われる。

 

<製造拠点がある場合は100%外資に開放>

 ユリオット担当ディレクターは、業種ごとの外資規制について解説した(添付資料参照)。

 

1)ディストリビューター

 2014年のネガティブリスト改定で、外資上限を33%に制限していたディストリビューター分野は、今回の改定で67%まで開放された。すなわちインドネシアに製造拠点がある場合(ディストリビューターが生産系列にある場合)、親会社や当該拠点など資本関係のある会社から出資することで100%外資に開放した。倉庫業も67%まで開放し、そのうちコールドストレージは100%外資に開放した。

 

 なお、ネガティブリストの保険セクターに別途規定される医療機器のサプライヤー(KBLI 46693)は、上記の規定にかかわらず、外資上限49%かつ保健省からの特別許可が必要となる。

 

2)百貨店

 小売り分野では、4002,000平方メートルの百貨店が67%まで外資に開放された。独立型ではなくモールの中に所在すること、輸出パフォーマンスに基づき店舗を増設することを条件に、商業省の特別許可が必要となる。ユリオット担当ディレクターは、百貨店の定義に関し、1ブランドのみの取り扱いでも構わない、と説明した。

 

3eコマース

 現地の中小零細企業または協同組合とのパートナーシップを条件に、顧客に直接販売する通信販売やインターネット販売が100%外資に開放された。パートナーシップの定義は、政令201317号(PP Nomor17 Tahun2013)第11条で定められており、大統領規定2016年第44号においても第5条でプラズマ・コア(注1)、下請け、代理店、フランチャイズ、その他のパートナーシップ形態と規定されている。ユリオット担当ディレクターは、具体例として中小企業に対して、流通・配達の委託を挙げた。一方で、顧客への直接販売ではないマーケットプレイス事業(注2)は1,000億ルピア(約79,000万円、1ルピア=約0.0079円)以上の投資額の事業に限り100%外資に開放し、1,000億ルピア未満の場合は外資上限を49%とした。

 

4)映画産業

 撮影スタジオ、編集施設などの映画技術サービス、映画製作、上映、録音スタジオ、配給を100%外資に開放した。ただし、ポスター、パンフレット、バナーなど映画宣伝ツールの制作(KBLI 73100)は引き続き、内資に限定(ASEANからの投資家の場合は外資上限51%)した。映画館の場合は、上映する映画の6割以上をローカルコンテンツにする必要がある。

 

5)観光産業

 レストラン、カフェ、バー、スポーツセンターの運営を外資に100%開放した。

 

6)製薬業

 薬品原料の製造を外資に100%開放した。

 

<建設や医療機器製造の外資規制は強化>

 今回のネガティブリストの改定で、建設事業、医療機器産業の外資規制が新たに規定された。また、分類を変更したため、ネガティブリスト上の記載がなくなった業種もあり、注意が必要だ。

 

1)建設事業

 建設サービスでは、外資参入が可能な工事金額を10億ルピア超から500億ルピア超に引き上げた。建設コンサルティングサービスはこれまで外資参入が可能な金額指定がなかったが、新たに100億ルピア以上と規定した。これにより、外資上限67%まで参入を認めた。また、ASEAN加盟国からの投資家の場合、最高70%まで認められる。ユリオット担当ディレクターによると、日本企業のASEAN支社からの出資の場合も最高70%まで外資参入が可能だ。なお、建設事業はネガティブリスト上、公共事業分野に分類されるが、同分野には政府調達のみならず、民間の建設事業も含まれる。

 

 投資ネガティブリスト改定に先立つ20162月、公共事業国民住宅大臣令2016年第3号(No.03PRTM2016)で、外資参入可能な工事金額を1,000億ルピア以上と定めたが、ユリオット担当ディレクターは説明会で、同大臣令よりもネガティブリストの規定が優先されることになるものの、詳細については関係企業・団体と議論の場を持ちたい、と述べた。

 

2)医療機器産業

 ネガティブリストの保険セクターにて、新たに医療機器産業の分類を設け、保健省からの特別許可が必要とした。特に、医療機器産業A級に分類される、生理用ナプキン、成人用おむつ、患者用ベッド、車いすなどの製造は外資上限を33%に規定した。

 

3)分類の変更

 旧ネガティブリスト(大統領規定2014年第39号)で規定されていた非公式教育、リース業についてはネガティブリスト上の名称が変更された。ユリオット担当ディレクターは「非公式教育は、今後新たに労働分野に設けた職業訓練(外資上限67%)に該当する。他方、リース業は、投資ファイナンス会社(外資上限85%)に含まれる」と説明した。このように、ネガティブリストから名称がなくなっていても、他の業種に分類される場合があるため、旧リストとの単純比較では理解できない点が生じており、注意する必要がある。

 

(注1)プラズマ・コアとは、大・中規模企業生産設備の提供や技術指導から生産のマーケティングまで、小規模企業を支援し、育成するパートナーシップの形態の1つ。

(注2)買い手と売り手が自由に参加できるインターネット上の取引市場を指す。

 

(山城武伸)

(インドネシア)

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