投資ネガティブリストを改定、新たな分野を外資に開放

(インドネシア)

ジャカルタ発

2016年06月06日

 政府は5月18日付で、大統領規定2016年第44号を公布した。国内および外国企業の事業活動が閉ざされている、あるいは条件付きで開放されている分野を定めた「投資ネガティブリスト」(大統領規定2014年第39号)を改定したもので、新たな分野への投資を外資に開放した。外資の出資上限が33%だったディストリビューターや倉庫業は出資上限が67%に引き上げられた。

<投資の活性化狙い2年ぶりに改定>

 インドネシアは投資ネガティブリストによって、企業による事業活動を禁止あるいは規制する分野を定めている。今回の改定は、国内の中小零細企業などを保護しつつ、国内外の投資を活発にする目的で、20144月以来、2年ぶりに実施された。これに先立つ20162月に、政府は景気対策のための経済政策パッケージ第10弾で、投資ネガティブリストの改定を表明していた。

 

 ジェトロ・ジャカルタ事務所では、改定された「投資分野において閉鎖されている事業分野および条件付きで開放されている事業分野リストに関する大統領規定2016年第44号」の原文を入手し、日本語に仮訳した。本規定は本文、投資に閉ざされている事業分野を定めた添付書類I、中小零細企業・協同組合の保護のために留保されている事業分野を定めた添付書類II、および外資出資比率、特定の場所、特別許可など条件付きで開放されている分野を定めた添付書類IIIからなる。原文と仮訳は以下のウェブサイトを参照のこと。

 

○仮訳:本文別添

 

<経済特区での事業活動には例外措置>

 本文は全16条からなる。第3条では、添付書類IからIIIに記載されていない事業分野が、国内外企業に無条件に開放されていることを規定した。第8条は、添付書類IIIIIで制限されている事業分野でも、国内資本市場を通じた間接投資であれば、無条件に開放されていることを規定した。また、同条(2)項で、経済特区(Kawasan Ekonomi Khusus)における事業活動は、添付書類IIIの事業分野を除いて、無条件に開放されることを規定した。第13条は、本大統領規定の前に承認された投資に対して、本規定を適用対象外とする移行規定(グランドファーザー条項)を定めた。

 

 添付書類Iは、国内企業、外国企業を問わず「投資に閉ざされている事業分野」を規定した。今回の改定による変更はなかった。

 

 添付書類IIは、中小零細企業・協同組合に限る、もしくはパートナーシップを要する145の事業分野を規定した。パートナーシップとは、プラズマ・コア(注)、下請け、代理店、フランチャイズなどのビジネス関係を指す。建設関係では、500億ルピア(約4億円、1ルピア=約0.008円)までの建設工事、100億ルピアまでの建設コンサルティングサービスが、中小零細企業・協同組合に限定された。他方、従来は国内企業に限定していた通信販売・インターネット販売〔顧客への直接販売のみ、電子商取引(マーケットプレイス)などを除く〕は、中小零細企業・協同組合とのパートナーシップを条件に外資に開放された。

 

<卸売りや小売りなど複数分野の規制を緩和>

 添付書類IIIは、外資比率、特定の場所、特別許可を条件に投資に開放されている350の事業分野を規定した。このうち、投資ネガティブリストから記載がなくなったことから、外資に開放されたと考えられる主な分野は、コールドストレージ、レストラン、カフェ、映画の製作および配給、投資額1,000億ルピア以上の電子商取引などだ。

 

 また、売り場面積が4002,000平方メートルの百貨店、倉庫、生産系列にないディストリビューター、旅行会社、フレイトフォワーダー、職業訓練などは、外資比率が67%に緩和された。

 

 他方、建設関係については規制を強化した。外国企業は、工事金額や必要な技術やリスクが低・中程度の案件には参入できなくなった。今後は、高度な技術を利用し、かつ・または高リスクかつ・または工事金額500億ルピア超の建設工事、あるいは100億ルピア超の建設コンサルティングサービスに限り、外資比率が67%まで認められる。以前の大統領規定2014年第39号では、外国企業が参入できる工事金額は、建設工事の場合に10億ルピア、建設コンサルティングサービスの場合は規定されていなかった。

 

<外資系百貨店との競合に懸念の声も>

 今回の投資ネガティブリストの改定について、投資調整庁(BKPM)のフランキー・シバラニ長官は地元紙で、企業の投資活動を活発にするだろうと述べ、特にコールドストレージ、映画、製薬の分野の投資が見込めると強調した。プルマタ銀行エコノミストのジョシュア・パルデデ氏も同様に、コールドストレージ、映画、ホテル、レストラン、製薬などの分野で外国投資家の関心が高まると述べた。インドネシア電子商業協会(IdEA)のブディ副会長は、外資と内資のパートナーシップを通じてインドネシアの電子商取引発展に役立つと期待を示した。

 

 他方、インドネシア小売業協会(Aprindo)のロイ・ニコラス・マンディ会長は、既存の百貨店と外資系百貨店が競合することに懸念を示している。

 

(注)大・中規模企業生産設備の提供、技術指導から生産のマーケティングまで、小規模企業を支援し、育成するパートナーシップの形態の1つを指す。

 

(山城武伸)

(インドネシア)

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