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英国の国民投票を受け、欧州の金融センター立地めぐる議論も-隣国アイルランドは「投資誘致の好機」と名乗り-

(EU、英国、アイルランド)

ブリュッセル発

2016年06月29日

 欧州では、金融機関などが一部の機能や人員を国際金融センターのロンドンからユーロ圏内の主要都市に移転する検討に入ったと報じられている。ユーロ・グループ(非公式ユーロ圏財務相会合)のイェルーン・ダイセルブルーム議長も「(英国の離脱は)フランクフルトやアムステルダムを利するだけ」と指摘するなど、英国の国民投票の結果を受けて、欧州の金融センター立地をめぐる思惑が交錯し始めた。アイルランド政府で外国直接投資誘致を担う産業開発庁は「誘致の好機」との声明を発表した。

<「フランクフルトやアムステルダムを利するだけ」>

 ユーロ・グループ議長を務めるオランダのダイセルブルーム財務相は、英国の国民投票の結果が判明した624日に地元のテレビ番組に出演し、国民投票の結果を「ネガティブな驚きだった」と語った。そして、オランダがEUを離脱する可能性について、「(英国とオランダでは置かれた状況が異なり)まともな選択とは思えない」と述べ、EU離脱の是非を問う国民投票の実施を標榜する極右政党・自由党(PVV)のヘルト・ウィルダース党首らの動き(2016年6月27日記事参照)を牽制した。この番組の中で、同財務相は「(EU市場への)アクセスが制限されることは英国が払うべき離脱の『代償』」とも発言し、離脱は(欧州の金融センターである)フランクフルト(ドイツ)やアムステルダム(オランダ)などライバルを利するだけ、との見方を示した。

 

<パリやダブリンも移転候補地に>

 欧州屈指の国際金融センターであるロンドンだが、国民投票の結果を受けて、当面はこれまでの利便性・優位性は維持できなくなる可能性が高い。欧州の主要メディアは、英国の国内銀行を含むグローバル金融機関が、機能や人員をユーロ圏内の金融産業集積地に移転する検討に入ったと報じている。ダイセルブルーム財務相が言及したフランクフルトやアムステルダム以外に、パリやダブリン(アイルランド)なども移転候補地として名前が挙がっている。

 

 こうした中、アイルランド政府で外国直接投資誘致を担当する産業開発庁(IDA)は624日付の声明で、「(英国の国民投票は)望んだ結果ではないが、アイルランドが外国直接投資を誘致する好機になる」とするマーチン・シャナハン長官のコメントを発表した。また「これまでアイルランドは英国がEUに加盟していることで利益があった。しかし、来週以降は英国のEU離脱の影響を1,200社以上の支援企業や今後進出を検討する投資家とも協議する必要がある」「アイルランドは今後もEU市場への完全なアクセスを維持する上、英語圏であり、ユーロ圏でもある点で投資家には有利だ」と指摘した。

 

 アイルランドの首都ダブリンはリース産業など金融業から派生した産業の集積地として欧州では有名で、日系企業では三井住友銀行、三菱商事、オリックスなどが航空機関係のリース事業会社を含めて進出している。

 

 アイルランドは製造業の地方都市への誘致にも成功しており、医薬品・バイオや情報通信など先端分野の米国企業の投資が多い点でも、優位性がある。ファイザーやインテルは欧州の主力生産拠点を置いている。また、欧州統括機能や中東アフリカまでを含む地域本社をアイルランドに置く米国企業も多く、アマゾン・ドット・コム、アップル、イーベイ、オラクル、フェイスブック、グーグル、ツイッター、リンクトインなどがある。

 

(前田篤穂)

(EU、英国、アイルランド)

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