クラフト紙のAD問題で日米、EUに「クロ」の最終決定

(中国)

北京発

2016年04月12日

 中国商務部は4月9日、日本、米国、EUを原産地とするクラフト紙に関するアンチダンピング(AD)調査について、「クロ」の最終決定を下したと発表した(商務部公告2016年第8号)。

<日本企業は20.5%、課税期間は5年間>

 今回「クロ」の仮決定が行われたのは、日本、米国、EUを原産地とするクラフト紙〔HSコード:4804210048043100、英文名称:Unbleached Sack PaperUnbleached Sack Kraft PaperUnbleached Bag PaperあるいはUnbleached ExtensibleSemiExtensibleSackKraftPaperなど〕。クラフトパルプなどから製造された漂白工程のない紙で、強度や防湿性が高いため、産業用資材の包装や段ボールの材料などに使用される。

 

 商務部は、福建省青山紙業を代表とするクラフト紙業界からの申請を受け、中華人民共和国AD条例の規定に基づき、2015410日にAD調査の開始を決定。調査の結果、20151210日付で、ダンピングが存在し、国内の関連産業との間に実質的な損害について因果関係が認められたとして、「クロ」の仮決定を下していた(2015年12月14日記事参照)

 

 最終決定が下されたことで、410日以降は日本、米国、EUを原産地とするクラフト紙に対しては、ダンピングマージン分を徴収(14.929.0%)するかたちでAD税が課されることになる。課税期間は5年。ダンピングマージンは以下のとおり。

 

○日本企業

 (1)王子製紙:20.5%、(2)王子マテリア:20.5%、(3)中越パルプ工業:20.5%、(4)大王製紙:20.5%、(5)日本製紙:20.5%、(6)その他:20.5

 

○米国企業

 (1Kapstone Kraft Paper Corporation14.9%、(2)その他:14.9

 

EU企業

 (1BillerudKorsnas Sweden23.5%、(2Mondi Stambolijski29.0%、(3BillerudKorsnas Finland26.2%、(4Mondi Frantschach26.2%、(5Mondi Steti26.2%、(6Mondi Dynas26.2%、(7)その他:29.0

 

 公告の内容は商務部のェブサイトで閲覧できる。

 

(真家陽一)

(中国)

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