アルコールや酢は輸入業者と商品の登録が必要-中南米における基準・認証制度の動向-

(チリ)

サンティアゴ発

2016年02月02日

 チリで食品を輸入・販売するためには、製造国で発行された衛生証明書または自由販売証明書、ラベルなどを保健省地方事務局に提出し、承認・許可を得る必要がある。アルコール飲料や酢を輸入する場合は、事前に輸入業者および輸入商品を農牧庁に登録しなければならない。さらに通関時にはサンプリングの分析が行われ、その結果、輸入可能との通知を受けた後に商品を税関から取り出し、販売することができる。チリ編の2回目。

<食品はラベル承認でよく、登録は不要>

 食品の輸入・販売に関しては、保健省令977号(1997513日官報掲載)に基づき、保健省地方事務局(SEREMI de Salud)が管理を行っている(表参照)。食品の輸入・販売を行うためには、税関宛て証明書(CDA:税関からの荷物取り出しを許可する)および使用・販売許可を取得しなければならない。

 CDA申請の際には、インボイス、チリ国内での保管場所の許可証、貨物運送状が必要とされており、使用・販売許可申請の際には、CDA、インボイスのコピー、保管場所の許可証、製造国で発行された衛生証明書または自由販売証明書、製造者が作成した仕様書(スペイン語)、ラベルなどの提出が必要だ。これらの手続きはオンラインでも行える。ラベルに関しては2016627日以降、熱量、ナトリウム、砂糖、飽和脂肪酸の含有量が多い食品には警告マークを付けなければならないとされている(2015年7月28日記事参照)

 

 酢、アルコール、アルコール飲料の輸入に関しては、農牧庁(SAG)が管理している。これらを輸入するには、SAGで輸入業者および輸入商品の登録を行わなければならない。また通関時にSAGに対し、検査およびCDAの申請を行う。SAGはサンプリング分析を実施し(商業的価値がないと見なされ、30リットルを超えない場合などは対象外)、基準が満たされているか確認する。その結果、輸入可能との通知を受けた後に貨物を税関から取り出し、販売することができる。ラベル表示(商品名、アルコール度、内容量、原産国、輸入業者の名称および住所など)は、農業省法1845535条および農業省令7863条に規定の内容に従う。

 

<危険化学品は保険省地方事務局が管轄>

 危険化学品の管理当局は保健省地方事務局で、商品が税関に到着後、CDAの申請を行い、倉庫に輸送後、使用・販売許可の申請を行う。これらの手続きはいずれもオンラインで行える。また、これらの申請時に必要な書類は、インボイス、倉庫の許可、化学物質の安全性に関するデータ(NCH2245に従った形式でスペイン語表記)とされている。

 

 おもちゃに関しては、輸入時にヒ素、バリウム、カドミウムなどの化学物質の含有量が最大許容量を超えていないこと(保健省令11416条-NCh1936)、およびトルエンの残留量が170ppmを超えていないこと(18条)を示す証明書およびそれらを裏付ける分析データが必要とされており、販売前にラベル表示(製造者名または輸入業者名、製造国、おもちゃの推奨年齢など)が義務付けられている(23条以降)。

 

 また、財務省法1816412条(1982917日官報掲載)によると、医薬品、化粧品、食品、人体に有害・危険な物質などの通関時には、それらの保管場所の許可、税関から保管場所までの運送ルート、その際の運送条件の示された保健当局発行の証明書が必要とされている。同様に、アルコール・アルコール飲料・酢、植物製品・植物に危害を及ぼす製品(農薬、肥料、中古品など)、動物製品・家禽(かきん)製品・動植物起源の製品およびそれらの派生品、肥料、農薬に関しては、SAG発行の証明書が必要とされている。なお、農林畜産物を起源とする食品を輸入する場合は、保健当局およびSAG双方の証明書を取得しなければならない。

 

 なお、動物用医薬品と動物用飼料はSAGが管理当局となっている。

 

(小竹めぐみ)

(チリ)

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