日本産リンゴのPRセミナーをハノイで開催

(ベトナム)

ハノイ発

2016年01月14日

 ジェトロは2015年12月19日、ハノイ市内のイオンモール・ロンビエン店において日本産リンゴのPRセミナーを開催した。当日は、当地の食品関連事業者や輸入業者、政府関係者ら約70人が参加し、質疑応答も相次ぐなど日本産リンゴへの関心の高さがうかがえた。

5品種、25トンを販売予定>

 ベトナム政府が2015917日に実施した日本産リンゴ生果実の輸入解禁(2015年10月5日記事照)を受け、11月下旬に青森県産リンゴ13トンが試験販売用に輸出され、ベトナム国内のイオン、イオンフィビマート、イオンシティマート、ミニストップの計75店舗で販売が開始された。この輸入解禁後、日本産リンゴがベトナムで販売されるのは今回が初めてとなる。販売されたのは、「世界一」「金星」「陸奥」「ふじ」「ジョナゴールド」の5品種。販売価格は1キロ当たり179,900289,900ドン(約9351,507円、1ドン=約0.0052円)で、米国産ふじ(89,900ドン)と比べて約23倍になっている。

 

 青森県からは今後さらに12トンが輸出され、前述の13トンと合わせ計25トンがベトナム市場に販売される。2016年度以降は、本格的な輸出が始まる見通しになっている。

 

<独自の品種開発や鮮度維持の工夫などを説明>

 セミナーでは、青森県のリンゴの専門家やJA関係者が講演を行った(主催:ジェトロ、後援:在ベトナム日本大使館、イオン)。

 

 弘前大学の黄孝春教授は、青森県産リンゴの魅力について、(1)雪が多い同県の気候に適合した開心形の樹状形成に加え、大玉で甘い果実とするための摘花、玉回し、葉取りなどといった栽培技術、(2)「ふじ」や「王林」など日本独自の品種開発、(3)収穫後の選果施設や、保冷設備などの流通面でも鮮度を維持する工夫がなされているなど、高付加価値・高品質であること、を紹介。今回、解禁条件となっている有袋栽培のリンゴについては、生産量全体の3割と少なく、手間暇がかかることから、無袋のものより2割程度コストが高くなる、と説明した。現在、日本で販売されている無袋栽培のリンゴに関しても残留農薬の心配はないため、輸出量の拡大やコスト低減の観点から検疫条件のさらなる緩和が求められる、と述べた。

 

 JA全農あおもりの笹森俊充りんご課長は、世界の主要リンゴ産地と比較して降水量が多く、寒暖差が激しい青森で収穫されたリンゴは、多果汁で甘みが多い、と説明。さらに、生産者が1個当たり最低10回も手をかけ丁寧に育てられたリンゴを、ベトナムの消費者にも味わってほしい、とアピールした。

 

 講演後の質疑応答では、参加者から「日本から輸入するにはどうすればよいのか」「今回販売された品種以外のリンゴを輸入するにはどこにコンタクトすればよいか」「常温下での保存方法は」など、積極的な質問が多く寄せられた。

 

<「新鮮」「安全・安心」をキーワードに>

 セミナー後半には、今回試験販売された5品種の試食が行われ、参加者からは甘みの多い「金星」や他国産でなじみのある「ふじ」が高い人気を集めていた。参加者へのアンケートでは、香りの良さや歯応えなどを評価する声が多かった。ベトナムで、海外産のリンゴを食べる機会としては、誕生日や旧正月(テト)などの祝日が挙がった。ジェトロ青森事務所によると、県産リンゴの輸出が多い中華圏では大玉で贈答用に適した「世界一」が人気で、イオンモールの店頭などでも同品種の売れ行きは好調だという。

 

 また、参加したバイヤーからは、「新鮮で栄養が豊富」「保存料などを使わず安心・安全」といった日本産リンゴの特長が理解できた、というコメントがあった。こうしたキーワードが今後、他国産との差別化やベトナム人消費者への訴求において重要になっていくとみられる。

(竹内直生)

(ベトナム)

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