日本はじめ3ヵ国の製品に「クロ」の最終決定-メタクリル酸メチルに対するAD問題-

(中国)

北京事務所

2015年12月03日

 商務部は12月1日、日本、シンガポール、タイを原産地とするメタクリル酸メチルに対するアンチダンピング(AD)調査について、「クロ」の最終決定を下したと発表した(商務部公告2015年第60号)。これにより、最高34.6%のダンピングマージンが5年間にわたって課される。

<ダンピングマージンは最高34.6%>

 今回「クロ」の最終決定が行われたのは、日本、シンガポール、タイを原産地とするメタクリル酸メチル〔HSコード:29161400、英文名称:Methyl MethacrylateMMA)〕。有機化合物の一種で、主にメタクリル酸メチル樹脂(アクリル樹脂の代表例)を製造するための原料として用いられる。

 

 商務部は201488日、中国石油天然ガス集団の吉林石化分公司および黒龍江中盟龍新化工を代表とするメタクリル酸メチル業界からの申請を受け、AD条例の規定に基づき調査の開始を決定した。調査の結果、2015724日付で、ダンピングが存在し、国内の関連産業が実質的な損害を被っていることについて因果関係が認められたとして、「クロ」の仮決定を下していた(2015年7月30記事参照)

 

 最終決定が出たことで、121日以降、日本など3ヵ国を原産地とするメタクリル酸メチルに対して、ダンピングマージン分(6.734.6%)を課すかたちでAD措置が取られている。課税期間は5年。ダンピングマージンは以下のとおり。

 

○日本企業

 (1)三菱レイヨン:14.6%、(2)旭化成ケミカルズ:12.3%、(3)住友化学:13.4%、(4)クラレ:34.6%、(5)三菱ガス化学:34.6%、(6)三井化学:34.6%、(7)その他:34.6

 

○シンガポール企業

 (1Lucite International Singapore6.7%、(2Sumitomo Chemical Singapore14.5%、(3)その他:14.5

 

○タイ企業

 (1Thai MMA15.2%、(2PTT Asahi Chemical11.1%、(3)その他:18.4

 

 なお、公告の内容は商務部のウェブイトで閲覧できる。

 

(真家陽一)

(中国)

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