日本など3ヵ国製品に「クロ」の仮決定-メタクリル酸メチルに対するAD問題-

(中国)

北京事務所

2015年07月30日

 中国商務部は7月24日、日本、シンガポール、タイを原産地とするメタクリル酸メチルに対するアンチダンピング(AD)調査の結果、「クロ」の仮決定を下したと発表した(商務部公告2015年第29号)。

<ダンピング・マージン分を徴収>

 今回「クロ」の仮決定が行われたのは、日本、シンガポール、タイを原産地とするメタクリル酸メチル〔HSコード:29161400、英語名:Methyl MethacrylateMMA)〕。有機化合物の一種で、主にメタクリル酸メチル樹脂(アクリル樹脂の代表例)を製造するための原料として用いられる。

 

 商務部は201488日、中国石油天然ガスの吉林石化分公司および黒龍江中盟龍新化工を代表とするメタクリル酸メチル業界からの申請に対し、中華人民共和国AD条例の規定に基づき、AD調査の開始を決定。調査の結果、ダンピングが存在し、国内の関連産業との間に実質的な損害について因果関係が認められた、としている。

 

 仮決定に従い、81日以降は日本、シンガポール、タイを原産地とするメタクリル酸メチルに対しては、ダンピング・マージン分を徴収(6.834.6%)する形式でAD措置が暫定的に取られることになる。ダンピング・マージンは以下のとおり。

 

日本企業

 (1)三菱レイヨン14.4%、(2)旭化成ケミカルズ12.2%、(3)住友化学13.3%、(4)クラレ34.6%、(5)三菱ガス化学34.6%、(6)三井化学34.6%、(7)その他14.4

 

○シンガポール企業

 (1Lucite International Singapore 6.8%、(2Sumitomo Chemical Singapore 14.5%、(3)その他6.8

 

○タイ企業

 (1Thai MMA 15.2%、(2PTT Asahi Chemical 10.7%、(3)その他15.2

 

 公告の内容は商務部のウェブサイトで閲覧できる。

 

(真家陽一)

(中国)

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