カザフスタンがWTOの正式加盟国に
(カザフスタン)
欧州ロシアCIS課
2015年12月07日
カザフスタンは11月30日、WTOに正式加盟し、162番目の加盟国となった。加盟に伴って関税が引き下げられ、1,347品目についてはユーラシア経済連合(EEU)の共通関税率(ETT)より低くなる。また、資源開発や外国人雇用などの分野で規制緩和が行われる。
<1,347品目はETTより低い関税率>
WTOの発表(11月30日)によると、カザフスタンは162番目の加盟国となった。2015年6月22日の加盟作業部会と7月27日の一般理事会で加盟が承認された(2015年6月26日記事参照)。その後、カザフスタンで加盟議定書の批准が行われ、10月31日に同国から加盟受諾書がWTO事務局に寄託されたため、30日後の11月30日に正式加盟となった。
ナザルバエフ大統領は同日の国民向け演説で、WTO加盟国になったことを発表し、「カザフスタン独立以降の歴史の中で重要な出来事であり、わが国の輸出や重要産業への外国投資に新しい機会をもたらす」と述べた。
関税率は、品目により2020年までに段階的に引き下げられる。平均関税率が6.1%(2014年時点で8.6%)、うち農産品は7.6%(11.6%)、非農産品は5.9%(8.1%)に引き下げられる。
カザフスタンはEEUにも加盟し、自動車の特定品目などを除き、EEUのETTを採用している。これとは別に、カザフスタンはEEUの前身となる関税同盟の発足(2010年)前から、WTO加盟国との個別交渉で関税引き下げに合意していた品目がある。これらの品目についてEEU加盟国が協議した結果、ETTより関税率が低くなる1,347品目(軽工業品、食品、木材、乗用車など)を承認した(10月14日付ユーラシア経済委員会評議会決定第59号)。
これに関連して、EEU加盟国の大統領で構成される最高ユーラシア経済評議会は10月16日、「EEUの関税領域における物品の輸入および流通の諸問題に関する議定書」を締結し、ETTより低い関税率でカザフスタンに輸入された品目が、他のEEU加盟国に輸出されることを防ぐため、カザフスタンに必要な措置を取るよう求めた。
なお、カザフスタンによる関税引き下げは加盟議定書の発効後とされているが、議定書は今のところ発効していない。
<資源開発や外国人雇用で規制緩和>
加盟に伴う規制緩和の主なものは、10月27日付共和国法第365-V号に示された。国などとの投資契約に基く資源開発に課される国内調達要件から、モノが外れて役務・サービスのみとなり、さらに役務・サービスの国内調達率の上限は50%とされた。
日本企業からも改善要望が出ていた、外国人の雇用面でも規制緩和が行われ、新たに企業内転勤という枠組みが導入された。この枠組みで原則3年を限度に外国人の経営者、管理職、専門職が働くことができるようになり、これらは外国人雇用枠外となる。既存の枠組みでは経営者を除き、労働許可の有効期間は1年で、延長も1年のみとなっている。
サービス業では、外国企業の参入規制が緩和される。通信業では、加盟から2年半以内に外資比率の上限(49%)を撤廃する(ただし、カザフテレコムを除く)。金融・保険業では、加盟から5年以内に外国企業による支店開設が認められる。
(浅元薫哉)
(カザフスタン)
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