新たに携帯電話契約数を掲載-韓国統計庁が北朝鮮の主要統計指標を発表-
(韓国、北朝鮮)
中国北アジア課
2015年12月22日
韓国統計庁は、2015年版「北朝鮮の主要統計指標」を発表した。この統計資料は、韓国が北朝鮮の経済や社会の実情などに対する国民の理解を深め、併せて北朝鮮統計の体系的な管理を行うために1995年に始めたもので、21回目に当たる今回、新たに携帯電話契約数が掲載された。
<前年に比べ小幅な変更>
統計庁は12月15日、2015年の「北朝鮮の主要統計指標」を発表した(表1参照)。1995年から始まったこの北朝鮮の統計資料発表では、北朝鮮の統計を自然環境、人口、農林水産業、鉱工業、対外取引、南北間交流などの14部門に分類し、合計で131の統計項目を公表している。
2014年12月16日に発表された2014年版(2015年1月9日記事参照)では、容易に統計を利用できるように、市場経済、対外貿易、農業などの分野について「北朝鮮統計説明・分析資料」を追加したり、外国人が利用しやすいように英文表記を併記したり、北朝鮮の行政区域名、住宅の形態別世帯数、北朝鮮の主要国別品目別輸出入額が追加されたりするなどの特徴がみられた。2015年版では、人口、国民経済計算、産業分野の「北朝鮮統計説明・分析資料」を加えたことや、国際電気通信連合(ITU)から携帯電話契約数を収録したことが特徴として挙げられる。前年に比べると小幅な変更になっている。
<携帯電話契約数は韓国の10分の1以下>
統計庁は12月15日に発表したプレスリリースで、幾つかの重要な項目を取り上げて、2014年を基準とした南北比較を行っている(表2参照)。まず人口は、北朝鮮が2,466万人に対し、韓国は5,042万人でほぼ2倍だ。2013年の基準と比較すると、北朝鮮の人口が11万5,000人、韓国の人口が20万人増加している。また、経済総量部門の名目国民総所得(GNI)は、北朝鮮が34兆2,360億ウォン(約3兆4,236億円、1ウォン=約0.1円、注)、韓国が1,496兆5,930億ウォンで、43.71倍の規模になる。1人当たりのGNIは、北朝鮮が139万ウォン、韓国が2,968万ウォンと21.35倍で、2013年時点の20.8倍より拡大傾向にある。
対外取引の貿易総額は、北朝鮮が76億1,000万ドルなのに対し、韓国は1兆981億8,000万ドルで、韓国が北朝鮮の144倍強の規模になっている。鉱工業の粗鋼生産量は、北朝鮮が122万トンなのに対し、韓国は7,154万3,000トンと60倍弱、セメントは北朝鮮が667万5,000トン、韓国が4,704 万8,000トンと7倍だ。農水産業では、食糧難が続く北朝鮮のコメの生産量が215万6,000トン、韓国が424万1,000トンで約2倍になっている。
その他部門に初めて掲載された2014年の携帯電話契約数は、北朝鮮が人口100人当たり11.19件なのに対し、韓国は115.54件で(1人で2台使用している人もいる)、北朝鮮は韓国の10分の1以下の普及率にとどまっている。
(注)北朝鮮のGNI推計は全て韓国ウォンで計算している。
(根本光幸)
(韓国、北朝鮮)
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