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日智租税条約交渉が実質合意、発効すれば企業の税負担変わらず

(チリ、日本)

サンティアゴ事務所

2015年10月22日

 日本とチリとの租税条約の交渉が10月19日、実質合意に至った。10月1日の交渉開始から、3週間弱でのスピード合意となった。発効すると法人税は全額控除となるため、チリで進められている法人税の段階的引き上げ、2017年から適用となる新たな課税制度にかかわらず、日系企業の最終的な税負担は現状と変わらない。

<法人税は全額控除、追加税35%のみに>

 租税条約は両国間の投資・経済活動に係る課税関係を明確にし、二重課税を調整するとともに、両国間の相互協議手続きを設けることで、相互の投資・経済交流を一層促進することを目的としている。

 

 チリとの租税条約で、日系企業にとって大きなポイントとなるのが法人税率だ。20143月に就任したミチェル・バチェレ大統領は税制改革を進めており2015122日記事参照)、法人税率が2014年以降、段階的に引き上げられるとともに、2017年以降は課税方式が変更される。これにより2018年以降には、国外への配当・送金を行う企業への課税率は最大で44.45%となるため、日系企業についても税負担の増加が懸念されていた。しかし、配当・送金先がチリと租税条約を締結していれば法人税は全額控除されるとの規定により、最終的な税負担は会計年度の利益に課される追加税の35%のみとなる。

 

<関係者からは早期発効を望む声>

 これまでも租税条約締結の要望が出ていたが、20147月の安倍晋三首相のチリ訪問時に、二重課税防止条約の締結に向けた実務協議の加速、交渉の早期開始に関する共同コメントが発表されたことで、今回のスピード合意に至った。当地進出日系企業からは条約の早期発効を望む声が上がっている。

 

 今回の合意に関し、ロドリゴ・バルデス財務相は「条約が議会で批准されると、国外展開するチリ企業、チリに投資する外国企業にとって特別なインセンティブとなる」と述べた。また、日智経済委員会チリ側代表機関であるチリ製造業振興協会(SOFOFA)のレウス国際マーケティング部長は「以前から、日智経済委員会は両国政府に租税条約の締結を申し入れてきたが、ようやく日本からチリへの投資を促進する、有用で効果的な仕組みを整備することができた。本条約締結により、両国間の経済、貿易関係の展開に欠けていた法的枠組みがようやく完成となる。本条約が早期に締結され、発効することを期待している」とコメントした。

 

 チリはこれまで、25の租税条約を締結している。2015年だけで新たに日本、イタリア、アルゼンチン、中国と合意に至っており、アルゼンチンと中国との条約は署名済みで各国の批准手続き中、イタリアとは10月のマッテオ・レンツィ首相のチリ訪問時に署名が予定されている。日本は租税条約を64ヵ国・地域と締結し、南米ではブラジルに次いで2ヵ国目となる予定。

 

 なお、条約案は今後、両国での承認手続きを経た上で発効となる。

 

(中山泰弘)

(チリ、日本)

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