大型商業施設建設への外資参入条件を明確化

(ラオス)

ビエンチャン事務所、アジア大洋州課

2015年10月07日

 ラオス商工省は卸売り・小売りに関する商工大臣合意(No.1005/MOIC.DDT、2015年5月22日付)に次いで、ショッピングセンター・百貨店に関する商工大臣合意(No.1950/IC.DDT、2015年9月22日付)を発布した。大型商業施設建設に対する外資規制や商業スペースの販売・リースの規則を定めたもので、外資の参入では100万ドル以上の投資が必要と明確化された。

<投資額により外資比率を規定>

 ラオスでは首都ビエンチャンを中心に大型商業施設の建設が相次ぐ一方、法的整備が追い付いておらず早急に対応する必要性が高まっていた。今回のショッピングセンター・百貨店に関する商工大臣合意は、ショッピングセンターや百貨店の定義、基準、設立許認可、商業スペースのリースや販売などを定めている。まず大型商業施設は、サービス面積が51平方メートル以上のショッピングセンターと、5,001平方メートル以上51平方メートル未満の百貨店と定義し、百貨店はハイパーマーケット、スーパーセンター、スーパーマーケットに分類され、ショッピングセンター内もしくは独立して設立することができるとされる(表1参照)。面積5,001平方メートル未満の商業施設については明示されていない。

 商工大臣合意では大型商業施設建設への投資について、一定の範囲で外資の進出を認める内容となっている。第9条で、外国投資家や外国企業は、(1)建設費を含む投資額が1,600億キープ(2,000万ドル)以上であれば外資100%、(2)800億キープ(1,000万ドル)以上1,600億キープ未満であれば外資70%まで、(380億キープ(100万ドル)以上800億キープ未満であれば外資51%まで参入できるとしている(表2参照)。一方、独立して建設されるコンビニエンスストアや各種卸売り・小売りを含む80億キープ未満の投資事業についてはラオス人投資家・企業に限定されるとしている。

 なお、大型商業施設内で営業するコンビニや卸売り・小売りについては、別途2015522日付の卸売り・小売りに関する商工大臣合意で規定されており、40億キープ(50万ドル)以上の登録資本金があれば外資が参入できるとされている(2015年7月2日記事参照)

 

 また第16条で、大型商業施設建設に投資する事業主は、全面積の30%を限度に自ら卸売り・小売りを営むことが可能としているが、同様に卸売り・小売りに関する商工大臣合意に従い、卸売・小売業としての企業登録もしなければならないと規定されている。

 

<先行販売が不振で建設中断も>

 ラオスで相次いで建設されている大型商業施設は、テナントを集めるよりも商業スペースを30年間などの期限付きで販売するスタイルが多く、購入者は自ら事業を行うほか、他の事業者にリースしたり転売したりするケースが多い。また、施設側も十分な建設資金を調達できず、建設中に先行販売を行うものの、販売が不振で建設自体が中断してしまう事例もある。

 

 こうした混乱を避けるため、今回の商工大臣合意(第14条)では、建設が70%以上完成するまで商業スペースのテナント募集や販売を行ってはならない、商工省などの役人で構成される特別委員会が販売収入や建設資金を監視し、販売収入の80%相当を建設完了のために使用しなければならない、と規定している。

 

(山田健一郎)

(ラオス)

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