卸・小売り外資規制を緩和
(ラオス)
ビエンチャン事務所
2015年07月02日
これまで外資の参入が認められてこなかったラオス国内の卸・小売りについて、登録資本金40億キープ(50万ドル)以上の案件に対し、外資を認めることになった。特に登録資本金が200億キープ(250万ドル)以上であれば外資100%でも参入を認められ、大規模卸・小売りに対して大きく門戸が開かれた。一方、別途起草中の法律で付帯条件が示されることになっており、詳細な条件については今後とも注意を払う必要がある。
<まずは大規模卸・小売りの規制緩和へ>
2015年5月22日に卸・小売りにおける外資進出の規制緩和となる「卸売り・小売りに関する商工大臣合意(No.1005/MOIC.DDT)」が発布された。本合意13条において、外国投資家や外国企業は、(1)登録資本金が200億キープ(250万ドル)以上であれば外資100%、(2)100億キープ(125万ドル)以上200億キープ(250万ドル)未満であれば外資70%まで、(3)40億キープ(50万ドル)以上100億キープ(125万ドル)未満であれば外資50%まで卸・小売りへ参入できるとしている(表1参照)。
これまでラオスでは、卸・小売りに関する商工大臣合意(No.0891/MOIC.DDT、2012年5月7日付)で外資の卸・小売りへの参入を認めないと規定し、また「ラオスにおける卸売りのための輸入企業設立に係る外国人投資家との合弁が可能な商品と投資比率についての商工大臣告示(No.1265/MOIC.SLT、2012年6月28日付)」では、卸売りを行う外資会社設立については、在ASEAN企業かつ繊維、衣服、靴製品のみ外資比率49%を最大として、外資企業の参入を認めるとしていた。
今回、登録資本金が40億キープ以上の大規模な卸・小売りについて、外資へ開放されることとなったが、これは近年、ラオス国内における卸・小売りに対して、外資参入に係る規制の緩和の要望が高まっていたことが背景にある。2015年3月には日本とラオスの外交関係樹立60周年を記念してトンシン首相が訪日した際にも、ジェトロの石毛博行理事長から小売りなどサービス分野の規制の規制緩和が他分野にも良い影響をもたらすとして、その緩和を要望していた(詳細はジェトロ・トピックス「外交関係樹立60周年記念『ラオス・セミナー』開催とトンシン首相との会談」参照)。
今回の規制緩和によりラオス国内の小規模事業者を保護しつつ、大型事業者に門戸を開放することとなった。一方、既に進出済みの企業についても、最大3年以内に登録資本金の条件を満たす必要があるとしている(表2参照)。
<起草中の付帯条件に注意>
加えて、商工大臣合意第13条では、資本金と外資比率の上限とともに、商工省が別途規定する「ショッピングセンター、デパートに関する大臣合意」の条件に従い、政府が規定するショッピングセンター、デパート、その他の場所において事業を実施すること、と規定されている。現時点では「ショッピングセンター、デパートに関する大臣合意」は起草段階であり、「政府が規定する場所」についても、その詳細は不明だ。現在首都ビエンチャンを中心にショッピングモールの建設が急速に進められており、こうした事業についても少なからず影響が出るとみられる。
(山田健一郎)
(ラオス)
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