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パナマとのFTA批准承認を発表-関税削減は7通りのスケジュールで実施-

(メキシコ、パナマ)

メキシコ事務所

2015年05月01日

 メキシコ政府は4月20日、パナマとの自由貿易協定(FTA)の批准が上院により承認されたことを連邦官報で公布した。同FTAの関税削減スケジュールは7通りあり、FTA発効時に関税品目の72%が撤廃となる。一方、太平洋同盟への加盟を目指すパナマにとっては、4加盟国とのFTA発効という加盟の条件を1つクリアすることになり、残るはコロンビアとのFTAのみになる。

<FTA交渉開始の発表から2年で批准承認>
 メキシコの通商政策は北米自由貿易協定(NAFTA)締結以降、FTAや経済連携協定(EPA)を積極的に締結し、経済活動を活性化させるという自由貿易主義が基本となっている。現在までにパナマを含む46ヵ国と協定を結んでいる(パナマとの署名は2014年4月3日)。2013年5月にコロンビアのカリ市で開催された第7回太平洋同盟首脳会合で、パナマとのFTA交渉開始が発表されてから、約2年で批准承認の官報公示に至った。これを受け、ペニャ・ロハス駐メキシコ・パナマ大使はメキシコのテレビ番組で、「メキシコとの2国間FTAは間違いなくモノとサービスの流れを活発化させる。2国間のさらなる経済交流に寄与することを期待している」と述べた。

 パナマは2014年11月25日付官報でメキシコとのFTAの批准を公布しており、メキシコが官報で公布した旨をパナマに通達した後、30日後にFTAは発効する。

<関税品目の72%が即時撤廃>
 輸出入にかかる関税の撤廃スケジュールは2014年の条約締結時に発表されている。対象となるタリフライン(関税品目数)は約4,000で、削減スケジュールはA、B、B8、C、C12、C15、Dの7通りある(表1参照)。

 Aに指定されたのは全品目の72%で、FTA発効と同時に関税が撤廃される。Bについては削減基準関税(ベースレート)から4年間で5回に分けて段階的に撤廃される。例えばベースレートが15%の場合、削減率は毎年同率で、3%ずつ削減され、2015年(初年)に12%になり、2019年に完全撤廃となる。また、例えばメキシコ・ペルーFTAの場合はA、B、C、Dの4種類のスケジュールだが、パナマとのFTAではBとCのカテゴリーが細分化され、B8では7年間で8回に分け撤廃、C12およびC15では11年間で12回、14年間で15回にわたり削減される。

 一方、Dカテゴリーに指定された7品目については付属書3.4(添付資料参照)で、それぞれに適応される削減スケジュールが示されている。7品目のうち「乳脂肪由来製品および塗布用乳由来ペースト」(HS:0405.20.01および0405.90.99)、また「ヒマワリ油およびトランス脂肪酸(硬化油)」(HS:1512.19.99および1516.20.01AA)以外は完全撤廃には至らない。

<除外品目は農産品や繊維製品>
 メキシコ・パナマFTAで関税削減の対象外となる除外品目選定のために、FTA交渉期間中に5回の事務レベル会合が開催された。除外品目はタリフライン表に「EXCL」(除外)と記載されたものだ。メキシコの除外品目はバナナ、エビ、繊維製品および一部の工業製品、パナマはコメ、鶏肉、豚肉、腸詰め製品、小麦粉および乳製品で、いずれもほぼ基礎生活食品で占められている。また、2014年のラテンアメリカ世界経済フォーラムで、メキシコのグアハルド経済相は、全国繊維産業会議所(CANAINTEX)の要望についてインタビューで言及しており、メキシコが繊維製品を除外指定した背景には繊維産業の声があるとされる。

<パナマの太平洋同盟加盟が加速>
 メキシコとのFTA締結でパナマは太平洋同盟への正式加盟に向け大きく前進した。太平洋同盟はメキシコ、コロンビア、ペルー、チリを加盟国とする、ラテンアメリカ諸国の自由貿易主義同盟だ。同経済圏内ではタリフラインのほとんどが無税となっており、ヒト・モノ・サービスのスムーズな流通を実現している。

 太平洋同盟は2011年4月のリマ宣言で創設が決定した。各国大統領が首脳会合を、外相と貿易担当相が閣僚会合を定期的に開催しており、2014年2月の第8回首脳会合(コロンビア・カルタヘナ市)では追加議定書が締結され、タリフラインの92%が即時撤廃、残り8%は段階的に関税が削減されることとなった(2014年2月18日記事参照)

 現在、パナマはコスタリカとともに加盟候補国(オブザーバー国)だ。オブザーバー国は首脳会合や閣僚会合に参加できるが議決権は持たない。太平洋同盟に正式加盟国するには、当該候補国がメキシコ、コロンビア、ペルー、チリの4ヵ国と2国間FTAを締結していなければならない。パナマは2008年にチリと、2012年はペルーとのFTAを発効、2013年にコロンビアとのFTAに署名しているが、まだ発効していない(注)。

 太平洋同盟はパナマの加盟を自由貿易主義圏の拡大と歓迎している。メキシコのペニャ・ニエト大統領は2015年4月にパナマ市で開催された第7回米州首脳会議において「パナマの商業を活発化させ、最高の投資環境を生み出すチャンスがあるほか、知的財産権保護に最良の条件が整うだろう」と発言している(パナマ「エストレージャ」紙4月10日)。

<パナマの太平洋同盟加盟国との貿易は常に赤字>
 パナマは第二次産業(鉱工業)が発達した国ではなく、財の貿易では常に輸入超過となっている(表2、3参照)。太平洋同盟国の中ではとりわけメキシコとコロンビアとの貿易額が大きい。例えば、最近10年間のメキシコ・パナマの往復貿易額では、メキシコからの輸出が平均92.0%を占めている(表4参照)。主要輸出品はコンピュータのマイクロプロセッサー、インフルエンザ用の抗生物質、鉄骨用およびコンクリート強化用鉄棒、1500~3000ccのバイク(中古を除く)だ。またコロンビアからの主な輸出品は歴青炭(石炭)、点眼薬、セメントなどとなっている。

(注)コロンビアがパナマのコロン・フリーゾーン(ZLC)から出荷される靴や衣料に対し増税措置を実施したのに対し、パナマ政府はこの措置をWTOに提訴しており、両国のFTA発効が遅れている。ちなみに、パナマと同じくオブザーバー国のコスタリカとのFTAは2008年に発効済み。

(志賀大祐)

(メキシコ、パナマ)

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