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中小企業の国際化への貢献に期待−日EU・EPAセミナーをベルリンで開催(1)−

(日本、EU、ドイツ)

ベルリン事務所・欧州ロシアCIS課

2015年02月06日

2013年4月に交渉を開始した日EU経済連携協定(EPA)は、2014年4月に安倍晋三首相がメルケル首相との首脳会談で2015年内の大筋合意を目指すべきとの立場を示しており、年内の大筋合意を目指して日EU間での交渉が本格化している。他方、日本とドイツ双方の経済を支える中小企業の国際化は両国にとって共通の課題だ。中小企業の国際化に対する日EU・EPAの貢献などについて、ジェトロとコンラート・アデナウアー財団は1月19日にベルリンでセミナーを開催し、有識者が講演した。講演の内容を3回に分けて報告する。1回目はセミナー冒頭の講演について。

<中小企業の国際化は日本の重要なテーマに>
2015年1月19日、ジェトロは、ドイツ与党のキリスト教民主同盟(CDU)関連のシンクタンクであるコンラート・アデナウアー財団(KAS)と共同で日EU・EPAと中小企業の国際化をテーマにしたセミナーをドイツの首都ベルリンで開催した。日本もドイツも全企業の9割以上を中小企業が占め、中小企業の国際化は共通の課題で、日EU・EPAにより、日独双方の中小企業が相手国市場、あるいは相手国の周辺であるアジアや欧州市場などにビジネスを広げることが期待されている。

冒頭の講演で、KASのバーラース事務次長兼ヨーロッパ・国際協力局長は、グローバリゼーションの進行の中で、共通の価値観、つまり法の支配、平和、人権に対する共通の考え方を持つ日独両国、日本とEUがEPAを通じて協力する意義が大きいことを強調した。また、経済の構造改革が日EU双方で進むことに期待を示し、世界的な金融危機に共同で取り組むべきだとの考えを示した。

中根猛駐ドイツ大使は、安倍首相が2014年4月にドイツを訪問した際、中小企業間交流の重要性を訴えたこと、日独首脳会談では日EU・EPA締結への意志が確認され、メルケル首相からは2015年が締結に良い年になるだろうとの発言があったことを紹介した。

また、中小企業の国際化は安倍政権が掲げる日本の重要な課題の1つである「地方創生」と合致すると述べた。ドイツの「隠れたチャンピオン」と呼ばれる国際競争力のある中堅・中小企業と同様に、日本の中小企業は日本経済の大黒柱であり、その数は約400万社、総企業数の99%に及び、中にはユニークな技術力で世界のサプライチェーンを支えている企業もあると紹介した。とはいえ、ドイツに比べ日本の中小企業はより国際化することが必要で、日EU・EPAが両国の中小企業間交流を促進することに期待を表し、大使館としても引き続き中小企業を支援していくとの方針を示した。

中根大使は、日EU・EPAが中小企業の国際化に貢献するとの考えを示し、2015年春ごろのメルケル首相の訪日や、6月のドイツで開催されるG7首脳会議など、EPA交渉を推進するさまざまな機会が予定されていると述べた。

<日本の構造改革とアジアとの関係強化がドイツ企業にビジネス機会>
ジェトロの長島忠之理事は基調講演の冒頭、EUが関心を持っている公共調達に関連して、ドイツのブレーキ大手クノールブレムゼのブレーキシステムが北陸新幹線や東北新幹線に採用されている事例を紹介した。また、併せてドイツ人観光客の訪日を呼び掛けた。続いて、日独経済交流の可能性、アベノミクスの現状、そして日EU・EPAの意義について考えを以下のように述べた。

日独経済交流については、ドイツには1,500社以上の日本企業が拠点を持つ一方、ドイツ企業も自動車関連を中心に日本で製造拠点を構え、相互の投資は活発に行われている。また、ドイツ企業がアジアの成長を取り込むために日本企業のパートナーを探す動きがあることや、中小企業間レベルでも日独企業が共同でイノベーションを創出し、新規市場を開拓する連携を図っている。日本でイノベーションや新産業を地方で生み出すことが課題になっている中、ドイツの応用研究機関であるフラウンホーファー研究機構がドイツ各地で産学連携によるイノベーション創出を実現していることが日本の政策の参考となるなど、ドイツが日本の良いモデルになっている。

アベノミクスについては、企業収益の増加が直ちに賃金上昇と雇用創出につながっており、それが結果としてさらなる企業収益の増加に結び付く好循環が生まれている。安倍政権は力強く改革への取り組みを進めており、長年の課題だった電力市場の自由化や農業などの構造改革も進めている。さらに、日本企業の海外展開を通じた「外へのグローバル化」と、外国から高度人材の流入や優れた企業の投資を促す「内なるグローバル化」を両輪として、「開かれた国づくり」を進める中、農薬分野で日本をハブにしてアジアでビジネスを広げようとしているドイツ化学大手BASFのように、ドイツ企業にとってビジネス機会が生まれている。

また、「開かれた国づくり」を国内で進める重要な施策である対日投資について、日本が世界3位の経済大国であること、アジアのハブであることなどからドイツ企業にとってメリットがある。ジェトロは対日投資支援の中核機関として、対日投資を行うドイツ企業を積極的に支援する。

さらに、日本は日EU・EPAと同時に環太平洋パートナーシップ(TPP)や中国やインドを含む東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の交渉を推進している。ドイツは、アジアとのつながりを強める日本とのEPAを通じてアジアの成長を取り込むことができる。日本を拠点にアジアの成長を取り込んでいる企業としてドイツの大手認証機関テュフラインランドがあり、同社は日本国内外の高度人材を活用し、日本を拠点にアジア市場をカバーしている。また、日EU・EPAはWTOのルール作りにも貢献する。中小企業の国際化を推進する観点からは、EPAでルールを作るだけでは不十分で、貿易投資促進機関が連携を強めて中小企業の国際化を支援することが重要だ。ジェトロは、欧州の各国貿易投資促進機関との協力の覚書(MOU)締結を進めている。

(平林孝之、木場亮)

(ドイツ・EU・日本)

2015年内の大筋合意に期待−日EU・EPAセミナーをベルリンで開催(2)−
日独双方で中小企業国際化を支援−日EU・EPAセミナーをベルリンで開催(3)−

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