EU理事会、クリミアとセバストポリでの追加制裁を実施

(EU、ロシア、ウクライナ)

ブリュッセル事務所

2014年12月26日

EU理事会(閣僚理事会)は12月18日、ロシアによる違法な編入を認めないEUの政策を強化するため、クリミア自治共和国およびセバストポリ市との投資、貿易・サービスに関する追加制裁措置を決定し、20日から実施した。

<ロシアによる編入を認めない政策を強化>
EU理事会が12月18日、クリミア自治共和国とセバストポリ市との投資、貿易・サービスに関する実質的な追加制裁措置を科すことを決定したのは、ロシアによる違法な編入を認めないとするEUの政策を強化するもので、11月17日の外相理事会の決議に従った対応だ。

これにより12月20日以降、クリミア自治共和国とセバストポリ市への投資が禁止され、欧州企業やEUに基盤を置く企業は、当該地域の不動産購入、企業の買収や出資、当該地域企業への融資、関連サービスの提供ができなくなった。

加えて、EUの旅行エージェントなどはクリミア自治共和国とセバストポリ市での観光サービスの提供が認められなくなった。特に、欧州のクルーズ船は緊急時を除き、クリミア半島の港に寄港できなくなった。この措置は、欧州人が所有あるいは管理する全ての船舶や、加盟国の航空会社に適用される。既存のクルーズ契約については、2015年3月20日まで猶予される。

また、クリミア企業やクリミアで使用される特定の商品や技術を輸出することが禁止された。同措置は、輸送、電気通信、エネルギー、石油・ガス・天然資源の試掘、探査、生産が対象となる。当該分野のインフラに関連した技術支援、仲介、建設、エンジニアリングサービスの提供も禁止された。

これらの措置は、クリミア自治共和国とセバストポリ市からのウクライナ当局発行の証明書がない商品の輸入を禁止する6月23日付理事会決定2014/386/CFSPと同日付理事会規則(EU)No692/2014(2014年6月25日記事6月30日記事参照)をそれぞれ改正する12月18日付理事会決定2014/933/CFSPおよび同日付理事会規則(EU)No1351/2014として19日のEU官報に掲載され、20日に発効した。

当該措置は、6月の輸入禁止措置に続き、7月に導入された特定の経済分野やインフラ・プロジェクトに関連した貿易・投資に関連する制限措置(2014年7月31日記事参照)を強化するもの。

(田中晋)

(EU・ウクライナ・ロシア)

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