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最低賃金を2015年1月に引き上げ、最大で14.8%

(ベトナム)

ハノイ事務所

2014年11月26日

政府は11月11日、2015年1月以降の国内・外資系企業の最低賃金引き上げに関する政令103号(103/2014/ND−CP)を公布した。改定後の最低賃金(月額)は地域1(ハノイ市、ホーチミン市など)で310万ドン(約1万7,050円、1ドン=約0.0055円)に引き上げられる。引き上げ幅は最大で14.8%(地域1)。

<2015年は2011年1月の2倍前後に>
政令103号は2015年1月1日から適用される。前回の最低賃金引き上げは2014年1月1日に行われている。ベトナムの最低賃金は地域1〜4の地域別に策定されており、2011年10月以降は国内企業と外資企業の賃金が統一されている。今回の改定では適用地域区分について若干の修正はあったものの、大きな変更はなかった。

今回の改定により、地域1の最低賃金は310万ドン(14.8%増)、地域2(ダナン市、バクニン省など)が275万ドン(14.6%増)、地域3が240万ドン(14.3%増)、地域4が215万ドン(13.2%増)となる(表参照)。

地域別最低賃金(月給)引き上げの推移

今回の最低賃金引き上げに向けて、国家賃金評議会は8月に国内・外資系企業の2014年の最低賃金引き上げに関する政令改正案を政府に提出していた(2014年8月22日記事参照)。今回の政令103号は同改正案にほぼ沿ったかたちとなった。

最低賃金はこの4年間で急上昇している。2011年10月が最大32.5%と最も引き上げ幅が大きく、その後も上昇を続けている。2015年に改定される最低賃金は全地域で2011年1月の2倍前後となる。2015年の引き上げ幅が13.2〜14.8%なのに対し、インフレ率(2014年1〜10月)は前年同期比4.47%にとどまっており、生活水準の向上を狙った引き上げといえる。

労働傷病兵社会問題省によると、現状の最低賃金はまだ低く、「労働者の最低限の生活水準の75%」程度とし、最低賃金のさらなる引き上げが必要という。このようなことから、政府は2018年までに最低賃金を地域1で400万ドンまで引き上げる目標を掲げており、今後も引き上げは続く見通しだ。その後は、インフレ率に応じて引き上げられるという。

こうした政府の方針は日系企業の経営に与える影響が大きいとして、ベトナム日本商工会(JBAV)は2014年8月末にグエン・タン・ズン首相と同省宛てにレターを送付し、2015年の最低賃金上昇率を10%以内とするよう要望した。また、2016年以降の最低賃金の協議については、国家賃金評議会の決定が労働者側、企業側のどちらにも偏らないよう、大学教授や弁護士など中立的な公益代表者を加えるなど、引き上げプロセスの改善を申し入れている。

<進出日系製造業にとって頭の痛い問題ながら冷静な反応も>
今回の最低賃金引き上げは、多数の従業員を雇用する労働集約型の企業にとっては固定費上昇につながるため、頭の痛い問題となる。また、インフレ率がここ数年安定しているにもかかわらず、毎年10%以上の引き上げに対応しなければならないことから、「この状況がいつまで続くのか」と不安視する声も聞かれる。

輸出加工型で生産を行う当地日系メーカーの代表者は「以前は通貨ドン安により賃金上昇分がある程度相殺されていたが、最近はドンの為替レートが安定しており、より一層の生産性向上などで対応する必要がある」とコメントした。

別の日系企業担当者も「賃金上昇のスピードが速過ぎる。政府が産業の高度化・高付加価値化に真剣に取り組まないと、ベトナム自体のコスト競争力を低下させかねない」と懸念を表明した。日系企業のみならず、一部の地場メーカーからも、経営に与える影響が大きいという声が出ている。

こうした将来への不安や懸念がある一方、進出日系製造業の間には、事前に国家賃金評議会による最低賃金引き上げ案に関する報道があったことや、2015年1月の給与改定前に政令が公布されたことから、冷静な反応もみられる。北部の日系製造業の多くは既に、従業員の月給を基本給と手当を含めて400万ドン程度に設定しており、改定される最低賃金の金額を上回っている。他方、内需向けの生産・販売を行う日系企業にとっては、最低賃金の上昇は消費の刺激にもつながるため、決して悪いことばかりではないとの見方もある。

(佐藤進、竹内直生)

(ベトナム)

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