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意匠の審査基準や商標出願条件が変更に−ロシア知的財産権セミナー(2)−

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2014年08月05日

10月1日の民法第4部の改正後は、意匠の審査基準である新規性や独創性に変更が生じ、本質的特徴のみならず外観や過去の出願状況についても考慮される。また、商標登録については、著名人の氏名を含むものが認められなくなるなど、新たな出願却下理由が加えられる。

<意匠権の保護期間が5年に短縮、延長は4回まで可能に>
ゴロジスキー・アンド・パートナーズのアレクサンドル・ワシレツ氏は、意匠の現行実務と民法改正後の変更点について講演した。概要は以下のとおり。

現行法では、意匠は形態、構造、装飾、色彩が本質的特徴と見なされているが、民法改正後はそれに加えて、線、輪郭、素材なども考慮される。意匠登録の出願に際しては、本質的特徴の一覧を提出する必要がなくなるとともに、権利付与決定書の発行前であれば出願後の資料変更も認められるようになる。

意匠の審査は、方式審査と実体審査の2つになる。方式審査では出願資料の内容が審査され、方式審査通過後の実体審査では、優先権の確立や特許性基準の確認などが行われる。特許性基準には新規性と独創性があり、10月1日以降は基準に変更が生じる。新規性については、本質的特徴だけではなく外観も注目されるとともに、過去の意匠出願のほか、発明出願や実用新案出願、商標出願が考慮される。独創性については、ユーザーに類似意匠が知られていないことが重要視される。また、意匠出願の猶予期間は半年から1年に延長となる。

意匠権の現行法での保護期間は15年間で、1度だけ10年を超えない期間の延長が可能だが、改正後の保護期間は5年間となり、5年間を超えない期間の延長が4回まで可能となる。意匠権侵害が発生した場合、現行法の内容に加えて、損害賠償の代わりに、1万ルーブル(約2万9,000円、1ルーブル=約2.9円)から500万ルーブルまでの補償か、意匠権侵害により生じる損失の2倍に相当する補償を請求できる。法的保護は、意匠登録証に記載された本質的特徴の一覧の範囲内で確定する。

改正民法では意匠として認められない理由も改められ、製造者・製造地について誤認される可能性がある場合が加えられた。その例として、a.国家シンボルの構成要素、b.ロシアで保護されている第三者の商標、c.ロシアで保護されている会社名、d.ロシアで広く知られている人物の氏名や肖像、がある。現行法で意匠として認められない建築物(小規模以外)や液体・気体による形成物体は、そうした事由から外され、認められるようになる。また、現行法では意匠登録取消事由である当初の本質的特徴の一覧への追加記載が、改正後は認められることになる。

部分意匠については制度として存在しないが、車のホイールやバンパーなどを組み立て部品の一部として登録できる。独立した部品でない場合は、イラストで全体図を示し、保護したい部分を実線、残りを点線で示すことで登録申請できる。

<類似商標登録時の同意書の承認が困難に>
続いて、民法改正に伴う商標に関する規定の変更点について、ゴロジスキー・アンド・パートナーズのビャチェスラフ・ルィフチャク氏が講演した。概要は以下のとおり。

商標出願時の留意点として、同じ商品で色彩、言語・文字、デザイン、ラベルが異なる際は、全バージョンを個別に出願するのが望ましい。

新たな出願却下理由として、第三者によって著作権で保護された作品、著名人の氏名・仮名・写真・複写物、第三者の意匠権が含まれること、が加えられる。また、国家や国際組織、政府間組織、公式な印章などは、それだけで構成されているものだけではなく、一部を包含、複製、模倣している場合も商標として保護されなくなる。

商標登録手続きに関して、10月1日以降は、連邦知的財産局(ロスパテント)からの公式問い合わせへの回答、請求された資料の提出、出願が拒絶査定された際の不服申し立て、商標出願の優先権が競合する場合の和解、に関する期限についてはいずれも1ヵ月延長され、それぞれ3ヵ月、2ヵ月、4ヵ月、7ヵ月となる。公式問い合わせへの回答と拒絶査定に対する不服申し立てについては、期限内の対応ができなかった場合も、失効日から半年以内であれば期限の復活が可能となる。

類似商標の登録時には登録済みの商標の権利者から同意書を得る必要があるが、改正後は同意書取得元として、同一商標、周知商標、団体商標の所有者からの同意書は認められなくなる。また、類似商標がありロスパテントが消費者を混乱させると判断した場合も同意書は認められない。さらに、10月1日以降は同意書の取り下げが不可となるため、提供が慎重になるとみられる。

商標登録の異議申し立ての理由として、改正後は新たに以下が認められるようになる。

a.第三者の商標と同一または紛らわしい名称が含まれていること
b.商標取得時の行為が不正競争または権利乱用と認められること
c.複数の商標を出願した時に最先の出願日が優先日とされる規定に違反して登録されていること

ロシア国内では広く知られていないが、他国でよく知られている商標の登録可否について、商標審査では一般的に知られている情報を考慮するため、他国で有名であることが審査段階で分かれば、その点を考慮して申請は却下されるだろう。また、10月1日までに審査未了の場合は、申請時の法律にのっとって審査が継続される。

(田端義明)

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