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太平洋同盟の統合プロセスが加速−3月末までに自由化例外品目を見直し−

(コロンビア、チリ、ペルー、メキシコ)

中南米課

2013年02月19日

チリ、コロンビア、メキシコ、ペルーの太平洋同盟4ヵ国首脳は1月27日、チリのサンティアゴで会談し、同盟の枠組みで進めている「関税協定」と「原産地規則に関する協定」に関する交渉を3月31日までに終了させることで合意した。また、現時点で交渉中のその他の分野についても2013年上半期中に交渉を終了させるとした。交渉内容について、メキシコ経済省の交渉担当官に聞いた。

<センシティブ品目を一本化>
太平洋同盟は既に2国間自由貿易協定(FTA)を相互に締結している自由貿易主義を標榜する4ヵ国が形成する経済統合の枠組みで、2012年6月6日に発足した(2012年6月20日記事参照)。また、2013年1月27日の第6回首脳会合では、日本のオブザーバー参加が正式に承認された(2013年2月14日記事参照)。ジェトロは2月8日、急速に進展している太平洋同盟の交渉内容について、メキシコ経済省で太平洋同盟の交渉を担当するロサウラ・カスタニェーダ国際交渉ユニット長にインタビューした。

第6回首脳会合では90%以上の域内産品についての関税を撤廃し、残る10%未満のセンシティブ品目については新たに関税削減スケジュールを設定する「関税協定」の交渉を終了させることが合意された。同ユニット長によると、この「90%」というのはタリフライン(関税品目数)ベースで90%であり、「2国間で個別に設定するのではなく、各国が全加盟国に共通に設定する。例えば、メキシコの90%以上の自由化品目と10%未満のセンシティブ品目は、コロンビア、ペルー、チリの3ヵ国に対して共通に設定され、対コロンビア、対ペルー、対チリで異なる設定をするのではない」ことを明らかにした。

また、ノルベルト・アマドール・ラテンアメリカ地域交渉課長によると、センシティブ品目を除く90%以上の品目は全て関税協定の発効時点で即時撤廃となり、4ヵ国は既に同即時撤廃対象リストを作業部会に提出済みとのこと。10%未満のセンシティブ品目についても関税を段階的に削減し、将来的に撤廃することを視野に入れているが、詳細は固まっていないという。

太平洋同盟加盟4ヵ国が相互に締結する2国間FTAでは、それぞれ2国間で自由化例外品目が設定されているほか、メキシコ・ペルーFTAのように発効が最近(2012年2月)のFTAの場合、一部の品目については関税が完全に撤廃されるまでに長い期間を要することがある。例えば、メキシコ・コロンビアFTAでは一部の工業製品が例外品目に設定されているため、メキシコからコロンビアへの輸出に関税メリットがない。またメキシコ・ペルーFTAではメキシコ製完成車の関税について、2006年時点のMFN関税率(12%)から9年間で10回に分けて撤廃されるため、2016年までは関税削減メリットがない。

「太平洋同盟におけるセンシティブ品目の見直しにより、メキシコ製完成車に対するペルーの関税が前倒し撤廃されたり、メキシコ製工業製品に対するコロンビアの関税率が撤廃されたりするメリットは想定できるか」というジェトロの問いに対し、「今後の交渉次第だが、そのようなメリットが想定される。メキシコ自動車工業会(AMIA)など産業界とは密接に連絡を取り合っており、産業界にとって魅力ある内容を獲得したいと考えている」と同ユニット長は答えた。

<原産地の域内累積が可能に>
首脳会合では「原産地規則に関する協定」の交渉も2013年3月末までに終了させることが合意されたが、同ユニット長によると、この原産地規則に関する協定は、「メキシコ・中米単一FTA」(2011年12月5日記事参照)のように2国間FTAで個別に定められていた原産地規則を統一し、4ヵ国の原産地累積も認める内容になるという。

複数あった原産地規則が統一されることで輸出業者・製造業者にとって原産性の把握が容易になるだけでなく、4ヵ国全体で原産地の累積が可能となるため、メキシコ製の自動車部品を利用したコロンビア製の乗用車をチリに輸出するなどの場合、従来のコロンビア(アンデス共同体)−チリ間の原産地の累積に加え、メキシコで製造された自動車部品の段階から「太平洋同盟の原産品」として扱われることになり、原産地規則をクリアすることが以前より容易になる。

<ハイピッチで着実に進む交渉>
1月27日の第6回首脳会合では、関税協定や原産地規則に関する協定以外の交渉中の内容についても、2013年上半期中に交渉を終了させることが合意された。「現時点で交渉が進展しているテーマは何か」というジェトロの問いに対し、同ユニット長は、「人の移動」(出入国の円滑化)と「サービス」を挙げた。

人の移動については、加盟国間でビザなしの入国(滞在期間180日まで)を認めるようになった。これについては2012年11月(メキシコの場合、11月9日)から発効している。

サービスについては、金融や通信、専門サービス(弁護士、会計士など)の域内取引拡大を目指すものだが、具体的なプロジェクトとしては、コロンビア、ペルー、チリが参加するラテンアメリカ統一証券市場(MILA)へのメキシコ証券市場(BMV)の統合計画が進展しているという。「株式の上場や社債の発行などに関する規制や基準を統一する必要があり、国家銀行証券委員会(CNBV)やBMVとともに規則統一に備えた準備をしているところ」と同ユニット長は語る。

太平洋同盟の交渉が円滑に進んでいる要因について、同ユニット長は「4ヵ国首脳の強い意志と指導力もあるが、同じ言語を話し、同じ自由貿易主義を標榜する4ヵ国であるため」と語っている。

太平洋同盟は外相と貿易担当相から成る「閣僚審議会」を意思決定機関とし、必要に応じて「高級事務レベルグループ」(Grupo de Alto Nivel:GAN)の会合を召集できることになっている(枠組み協定第4条)。GANの下には「市場アクセス」や「貿易円滑化および税関協力」など個別交渉テーマ別に形成された「作業部会」(Grupo de Trabajo)が設置されている。

同ユニット長によると、作業部会とGANは月に1回程度開催され、閣僚審議会は枠組み協定によると「年に最低1回開催」と規定されているものの、必要に応じて臨時会合を召集できるため、実質的には4〜5ヵ月に1回程度開催されているという。首脳会合は4ヵ国首脳が一同に集まれる時機をみて開催され、次回会合は5月24日にコロンビアのカリで開催される。議長国(現在はチリ)は持ち回りで年に1度交替し、カリ首脳会合時にコロンビアが議長国となる。

(中畑貴雄)

(メキシコ・コロンビア・ペルー・チリ)

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