国産品使用義務などに例外措置−フランチャイズ規制セミナー（1）−

＜フランチャイズビジネスの環境整備が目的＞
セミナーでは、まず商業省のヌルライラ国内貿易局長が30分ほど今回の規制の目的などを説明した後、1時間半にわたり活発に質疑応答が行われた。

フランチャイズに関する規制は、政令2007年第42号、商業大臣規定2012年第53号（同規定2008年第31号の改定）の2つある。第53号規定（2012年9月4日記事参照）の目的は、フランチャイズビジネスに関わる企業に対して、法的確実性を強化し、フランチャイザー、フランチャイジーの双方が被害を受けることなくフランチャイズビジネスを行うことができるよう、ビジネス環境を整えることだ。政府は、急成長しているフランチャイズビジネスの環境を整えることにより、雇用の促進、若手起業家の支援を進めたい考えだ。

＜規制内容と商業省の見解＞
セミナーでの説明は以下のとおり。

（1）フランチャイズの登録義務（第9条、第10条）
フランチャイザー、フランチャイジーともに提案趣意書（STPW）の登録を行う必要があり、登録の有効期間は5年間。就労者の構成、使用する物品の登録、過去2年の監査済み財務報告書の提出が義務付けられている。

商業省は、フランチャイズの登録を義務付けることで、フランチャイザー、フランチャイジーともにリスクのあるフランチャイズ契約を回避することができると考えている。

（2）国産品80％の使用義務（第19条）
原材料、販売する物品などについては、国産品が80％以上であることが義務付けられている。ただし、第19条2項には例外措置も定めている。

商業省は、国産品の使用義務を例外なく厳格に運用することは考えていないとして、以下の例を挙げた。

日本食を取り扱うレストランの場合、日本産の食材を使わなければならないケースが想定される。また、輸入書籍専門の書店では、インドネシアの本を置くことができないことも想定される。また、教育などの分野では、品目のカウントが困難であることも認識しており、これらのケースでは例外措置が適用されるとした。

例外措置の適用申請では、外国産品の使用が正当である理由を説明あるいは証明し、申請内容について評価チームによる評価を受けることが必要になる。評価結果を基に商業相の承認を経れば、例外措置が認められる。評価チームは政府関係者、業界団体などで構成される予定で、詳細は総局長規定で別途定められる。

また、業種や企業によっては、直ちに80％以上を充足できないこともあり、段階的に年20％ずつ引き上げ、4年で規定を満たせるようにする措置も検討されている。

（3）事業許可に基づいた業務遂行の義務付け（第21条）
フランチャイザーとフランチャイジーは、事業許可に基づいた業務遂行が義務付けられているが、事業許可に関係しない物品の販売なども、その販売品目数が全体の10％以内であれば認められる。

同規定の考え方について、商業省は以下の例を挙げて説明した。

仮に、A社がミニマーケットの事業許可を保有している場合、取扱商品の90％はミニマーケットで売られている物品を主要商品とする必要があり、残りの10％は例えばコーヒー飲料など、飲食店で提供されるような商品を売ることができる。また、B社がレストラン・カフェの事業許可を保有しているとすると、B社はレストラン・カフェの業態に沿った店を運営する必要があり、残りの10％で補助的な活動（物品の販売など）を行うべきだ。

さらに、商業省はミニマーケット、レストラン・カフェなどの業種により取扱品目のリストを設けているわけではないとしながらも、事業許可の分類に関してはある程度常識的な判断ができるとした。

例えば、カフェテリアは飲食のために訪れる場所で、本やたばこを買いに行く場所ではない。一方で、ミニマーケットは日用雑貨などを買いに行く場所で、飲食を目的に行く場所ではない。ミニマーケットの中には、電子レンジを置き、ホットチョコレート、カップ麺などを販売して飲食用のテーブル、椅子を置いている店もあるが、あくまでも主体は雑貨などの販売で、飲食はついでに行われることが明らかだ。そのような観点で、レストラン・カフェとして業務を行う場合と、ミニマーケットとして業務を行う場合の違いは判断ができるとしている。

後編は、今回の規制により警告状が出されているコンビニエンスストアに対する当局の見解と、今後公布が予定されている新規定について。

（春田麻里沙）

（インドネシア）