9月のユーロ圏物価上昇率は2.6%と横ばい

(ユーロ圏、EU)

デュッセルドルフ事務所

2012年10月19日

2012年9月のユーロ圏17ヵ国の消費者物価上昇率(前年同月比)は2.6%、EU27ヵ国は2.7%と、ともに横ばいとなった。

<スペインは3.5%へ急上昇>
EU統計局(ユーロスタット)の10月16日発表(PDF)によると、ユーロ圏17ヵ国の9月の消費者物価上昇率は2.6%で、9月28日発表の速報値(PDF)より0.1ポイント下回った(表参照)。

EUおよび加盟国の消費者物価上昇率

ユーロ圏の物価上昇率は2010年12月に欧州中央銀行(ECB)が目安値としている「2%未満」(注)を2年ぶりに超え、その状況が22ヵ月連続で続いている。

ECBは10月4日開催の政策理事会で政策金利を3回連続で0.75%に据え置いた。中期的な動向に関し、ドラギ総裁は「インフレ率は原油価格の高騰により予測より高いが、2013年中には、また2%を下回るだろう」と述べた(2012年10月5日記事参照)

国別にみると、ギリシャは0.3%と前月の1.2%から0.9ポイント急落した。スペインは3.5%と前月より0.8ポイント上昇した。キプロスは8月に4.5%まで上昇した後、また低下傾向に転じ、9月には3.6%となった。ユーロ圏ではないハンガリー(6.4%)、ルーマニア(5.4%)とポーランド(3.8%)は依然として高水準にとどまっている。

<エネルギー関連項目が上昇の主因>
ユーロ圏の物価上昇率を項目別にみると、輸送(4.8%)、住宅(4.1%)とアルコール・たばこ(4.0%)が上位を占めた。一方、物価が下落した項目は通信(マイナス3.3%)など。物価上昇の主因となった項目は、輸送用燃料(寄与度0.41ポイント)、電気(0.10ポイント)、ガス(0.09ポイント)と暖房用燃料(0.09ポイント)。物価引き下げ要因となったのは、通信(マイナス0.19ポイント)、家賃(マイナス0.07ポイント)と自動車(マイナス0.07ポイント)。

(注)ECBは経済が物価安定の利益を十分に享受できる消費者物価上昇率の上限目標を2.0%と設定し、それを下回る値になるよう金融政策を行っている。

(ゼバスティアン・シュミット)

(EU・ユーロ圏)

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