ダンマン港・空港の通関に大幅な遅れ

(サウジアラビア)

リヤド事務所

2012年10月10日

ダンマン港と空港の混雑状況が2012年6月ごろから悪化し、輸入通関が大幅に遅れている。当地日系企業などによると、4月にリヤドの貨物の保管・通関施設(ドライポート)の管理業者が交代したことに伴う混乱により、リヤド向け海上貨物の通関手続きがダンマン港に回されたことが原因とみられる。

添付ファイル: 資料PDFファイル( B)

<大口の海上貨物で輸入通関に約1ヵ月>
ダンマン港での輸入通関には、海上貨物の大口貨物(FCL:Full Container Load)で1ヵ月程度、混載貨物(LCL:Less than Container Load)で1ヵ月以上かかっているようだ。また、通関以前に、そもそも港の混雑のため、ダンマンに入港するまでに2週間ほどかかることも多い。

このため、航空貨物の利用が増えているが、航空貨物でも通関に2週間ほどかかる状況だ。

<リヤド・ドライポートの管理業者の交代に伴う混乱>
ジェトロが当地日系企業などから収集した情報によると、今回のダンマン港混雑の原因は、4月のリヤド・ドライポートの管理業者の交代にある。

港湾局(Saudi Port Authority)は、全ての港の運営・管理(通関業務など)を民間業者(オペレーター)に委託している。港湾局が4月にリヤド・ドライポートのオペレーターを、サウジ鉄道公団(SRO:Saudi Railways Organization)に変更したところ、ドライポート内にある2万個以上のコンテナの場所や内容が把握できなくなり、輸入通関が滞ってしまったという。

このため、5月3日付でドライポートの税関が通関業者に、「ダンマン港で輸入通関を行うことを勧める」と通達した(添付資料参照)。

その結果、リヤド向けの海上貨物も全てダンマン港で対処しなければならなくなり、6月から7月にかけてダンマン港の混雑が悪化した。加えて、業務が停滞するラマダン(断食月)およびイード休暇(断食明け休暇)を控え、その前のタイミングを狙って発送された貨物のラッシュが重なった。

そのまま事態が改善されることもなく、8月のラマダンとイード休暇に入り、状況がさらに悪化したところへ、イード休暇明けに輸入を開始しようと考えていた輸入業者の貨物の到着も重なり、9月にはさらに多くの海上貨物がダンマン港に流れ込んでいるようだ。

一部では、リヤドのドライポートの貨物整理が徐々に進み、輸入通関も少しずつ行われるなど、改善の傾向もみられるという情報もある。しかし、この事態がすぐに収束するとも考えづらいため、リヤド・ダンマン向けの輸出品を扱う企業は、通関の遅れを想定して早めの対応を行うなど、注意が必要だ。

(米倉大輔)

(サウジアラビア)

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