欧州委、銀行等の自己資本に関する指令の修正案を発表−金融システムの安定化、銀行管理の改善めざす−

(EU)

ブリュッセル発

2008年10月03日

欧州委員会は10月1日、銀行などの自己資本に関する指令の修正案を発表した。金融システムの安定を強化し、投資家が負うリスクの低減とEU加盟国で国境を越えて操業する銀行の管理の改善を目的とする。

<大口エクスポージャーを制限>
修正案では、銀行の限度を超えた融資を制限、加盟国の監督当局が集合体として国境を越える銀行グループの活動を監督すること、などが提案されている。

現行の資本規制に関する指令(the Capital Requirements Directive:2006/48EC、2006/49/EC)は、銀行と投資会社の金融の健全性を確実にすることを目的とする。

同指令は、銀行や投資会社がそれぞれのリスクに対応でき、顧客を保護できる程度の金融資産を持つことを事業の条件として求めている。その内容については定期的な更新、金融システムが求める改善が必要だ。修正案では、大口エクスポージャー(金融資産のうち市場の価格変動リスクにさらしている資産の割合)について銀行の連鎖的破綻を避けるため、銀行間エクスポージャーを自己資産の25%、または1億5,000万ユーロのどちらか高い方に制限するほか、国境を越えた銀行グループの監視、銀行資産の換算方法、流動リスク管理、証券化商品に関する規則についても改善するなどの修正が図られている。

今回の修正は、2008年3月の欧州理事会(EU首脳会議)の議長総括で、サブプライム問題による金融の混乱によって、資本要求指令の改正案を08年9月までに提示するよう欧州委が要請されたことを受けたもの。また議長総括は、09年4月までに修正案を採択するよう要請している。今回の金融危機を受けて、欧州委は10月1日に修正案を発表することになっていた(2008年10月1日記事参照)

欧州委のマクリービー委員(域内市場・サービス担当)は「新しいルールはEUの銀行や金融システムを規制する枠組みを抜本的に強化する。修正案は、現在直面している金融の混乱に対して賢明でバランスのとれた対処になると確信している。厳密さ、透明性、慎重さが健全で安定した金融システムの要になる」と語った。

修正案は欧州委のウェブサイトで閲覧することができる。

(清水幹彦)

(EU)

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