金融安定化に向け欧州主要国首脳が緊急会合へ
ブリュッセル発
2008年10月01日
EU議長国フランスのサルコジ大統領は、金融安定化に向けた対応を検討するため、世界レベルで緊急首脳会議を開くよう提案した。首脳会議に先立ち、フランス、ドイツ、イタリア、英国に加え、トリシェ欧州中央銀行(ECB)総裁、バローゾ欧州委員会委員長、ユンケルユーログループ議長らが出席する準備会合を近く開催する。同時に欧州委員会は、金融サービス分野の体制強化に向けて資本要求指令に関する修正案を10月1日に発表する。
<数週間内には世界レベルの首脳会議も>
サルコジ大統領は9月29日、金融安定化への対応を話し合う世界レベルでの首脳会議の準備のため、欧州主要国が近くパリに集まる予定だと述べた(「フィナンシャル・タイムズ」紙電子版9月29日)。
報道によると、パリ会合にはフランス、ドイツ、イタリア、英国が参加し、ECBのトリシェ総裁、欧州委員会のバローゾ委員長、ユーロ圏非公式財務相会合(ユーログループ)のユンケル議長(ルクセンブルク首相兼財務相)も出席する予定だという。
「われわれは(金融の)不安定化に屈してはならず、銀行を支援しなければならないが、構造的な問題がある。新たな国際金融システムの基盤を構築するために提案している(世界レベルの)首脳会議を数週間のうちに開催したい」とサルコジ大統領は述べた。
<金融サービス分野に新たな規制導入か>
欧州委は今回の金融危機を教訓に、今後の金融サービス分野の体制強化が必要であるとし、マクリービー委員(域内市場・サービス担当)は資本要求指令(CRD:the Capital Requirements Directive)の修正案を10月1日に発表する。
マクリービー委員は9月22日、「今回の事態が終わった後、金融サービス分野は今とは異なる状況になると予想され、同様に今とは異なる規制の枠組みを持つことになろう」、「資本要求指令の修正案は債務残高の管理を向上させ、複合型資本の調整による資本の質を向上させるであろう」と欧州議会で説明した。
修正案によりEUレベルでの監視も向上することが見込まれるという。特に、巨額な債務残高について、修正案は市場で起こる不測の事態の影響を受けやすい銀行に関するルールを改善するとされる(「ユーロポリティクス」紙9月30日)。
(清水幹彦)
(EU)
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