外資トラック組み立て大手2社と特別投資協定締結へ

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2018年05月23日

工業商務省は5月15日、「特別投資契約締結可能性評価に関する省庁間委員会」の定例会合で、トラック組み立て案件2件、農機組み立て案件1件につき契約締結を承認した。「特別投資契約」とは、政府(工業商務省)と企業間で投資契約を締結。製造投資(設備更新を含む)、特定期間内・割合での現地調達率達成などを条件に、連邦・地方政府、市町村から投資企業へ税制優遇などの措置が提供されるもの。

同省の発表によると、トラック組み立てについては、工業商務省と、a.地場トラック組み立て大手「カマズ」と独ロ合弁企業「ダイムラー・カマズ」との3者契約、b.日ロ合弁企業「いすゞ・ソレルス」との契約が対象。内容は、a.が製造車種の拡充、b.はウリヤノフスク州でのいすゞとウアズ(同州所在の地場自動車メーカー)ブランドの車両製造としている。

「いすゞ・ソレルス」による特別投資契約について、ロシア側パートナー・ソレルスの説明によると、両社は合弁会社を設立、投資総額は60億ルーブル(120億円、1ルーブル=約2円)を予定。中型トラックを組み立て、生産能力見込みは年間7,000台。生産台数の30%を輸出する。現地調達化率の目標は80%以上で、エンジン、ギアボックス、ランプ、エンジンコントロールユニット、先進運転支援システム(ADAS)などが含まれる(RNS通信5月15日)。

いすゞはウリヤノフスク市のウアズ工場で2006年から5.5トン積みトラックの組み立てを開始。2008年から2012年までタタルスタン共和国エラブガへの移転を経て、2014年からは溶接・塗装工程を含め現地化を推進。現地に合わせたモデル開発、排ガス規制ユーロ5への対応などを実施。自動車専門調査会社アフトスタトの資料によると、自動車市場全体の回復も追い風となり2017年に販売台数が増加(2018年4月6日記事参照)している。製造台数は前年比2.2倍の5,160台と大幅に増加している。車両はベラルーシ、カザフスタン、アゼルバイジャンにも輸出されている。

工業商務省の資料によると、特別投資契約は2015年の制度創設から2018年第1四半期末までに17件が締結されている。

(高橋淳)

(ロシア)

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