海外における日本産食材サポーター店認定制度

日本産食材サポーター店インタビュー すし誠レストラン

ぶれない日本の味を提供し続け最上級を目指す

所在地:ブダペスト(ハンガリー)

エレガントな店に

ハンガリーの首都ブダペスト、古い石畳に趣のある建物が並ぶオーブダ (古いブダ) と呼ばれる地域にSushi Sei Étterem (すし誠レストラン)はある。市中心からは少し外れているが、その分、広くゆったりしている。店内では85人、気候の良い夏場に設けるテラスではさらに25人のもてなしが可能。仕切り扉で個室になるスペースもあり、接待や家族や友人の祝い事に使える。一方で日本酒や日本産ウィスキーやクラフトジンなど多様なアルコールが楽しめるバーカウンターも備える。

もともとの開店は2000年で、当地の和食レストランとしては老舗である。その後オーナーが変わり、2015年に現在の場所に移転した。新オーナーのイルマ・へーデル氏は、内装に多くの資金を投入。その結果、すし誠は、モダンで洗練された店に生まれ変わった。

「良い」レストランでは不十分

オーナーが変わっても、伝統的な日本の味を提供する路線は変わらない。メニューに並ぶのは、定番の刺身や寿司の他、天ぷら、シイタケの佃煮、揚げ出し豆腐、そば、うどんなど。

へーデル氏は、「フュージョンはしない。ハンガリー人が好きな濃い味付けにもしない。あくまでも本物の和食を知ってもらい、それを楽しんでもらう」のがモットーと掲げる。

そんな彼女が目指すのは、「最高峰のレストラン」だ。「街には『良いレストラン』はたくさんあるから、『良い』だけでは不十分。『最上級』にならないと」と意気込む。

客の95%は地元の人たち、つまりハンガリー人および在住の日本人など外国人である。日系企業や政府系機関にもよく使われている。外国人観光客は、新型コロナウィルスの発生前も5%程度。様々な制限措置で深刻な影響は受けてはいるが、地元の常連客に支えられているのは「幸い」である。(へーデル氏)

すし誠オーナー へーデル氏

「和食ワールドチャレンジ」でファイナリストに

料理長を務めるのは、姫路出身のベテラン・楠本誠一氏。大阪で和食の修業を積んだ。開店当初から20年、厨房に立ち続ける。その下で現在、日本人1人、ハンガリー人7人のシェフが働き、日本料理の技能を日々磨いている。

楠本氏の改善への努力を、へーデル氏はレストランの外で支える。楠本氏には、毎年一時帰国できるよう手配し、日本で新たなアイディアを得てきてもらう。自分自身も毎年、東京、大阪、京都を訪問。その際、シェフを必ず同伴し、日本の味や和食文化への理解を深めさせている。

こうした絶え間ない努力が実を結んだ。パリで2018年秋に開かれた、外国人による日本料理コンテスト「和食ワールドチャレンジ」の欧州予選(農林水産省主催)では、すし誠のシェフ、クルコー・ジョルト氏が1位に輝いたのだ。その結果、クルコー氏は翌年1月に東京で開かれた第6回決勝大会に進出。最終的には4位と受賞には及ばなかったが、へーデル氏は大きな自信につながったと胸を張る。次の目標は、決勝大会で3位以内だ。

料理長 楠本誠一氏

人気メニューと将来の目標

すし誠の一番人気は、いろいろ楽しめる「お弁当」である。刺身、巻き寿司、味噌汁、ご飯がベースで、焼鮭、うなぎ、トンカツ、唐揚げなどをお好みで組み合わせるパターン。かなりのボリュームである。ヴィーガン用のお弁当も備えている。また鍋、キムチ味噌ラーメンも評判が良い。4~5人以上のグループは、寿司や天ぷら盛り合わせをアラカルトで注文し、シェアすることが多いという。

その他、季節に合わせたシェフの日替わりおススメメニューで少し新しいものを提供し、客の反応を見る。この夏は、生ガキに特製のたれをつけたもの、またアンコウの肝の売れ行きが良かった。好評ならば、今後のメニューに加える。

日本食材の多くは、JFCグループ(ウィーン)から調達している。日本産酒類はハンガリーのアルコール飲料輸入業者インターコーポレーション。新鮮な魚介類の調達先はいくつかあるが、中でも最大なのは、現地では卸売・小売で有名なフィッシュモンガーだ。ジェトロの日本食材サポーター店認定を受けたことについて、へーデル氏は、「お客様からの信頼につながっている」と話す。

オーナーとしての次の目標は、これまで積み上げた経験とアイディアを生かし、最高の食材と最高の味でもてなす懐石料理レストランを市の中心部でオープンすること。コロナが収束したら準備を進めたいと語った。

(2020年取材)

Sushi Sei Étterem
1036 Budapest, Bécsi út 58
+36-30/435-05-67
+36-1/240-40-65
E-mail: info@sushisei.hu
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