海外における日本産食材サポーター店認定制度
日本食材サポーター店インタビュー ramen55
ラーメンを通じて日本文化をオランダに広める店
所在地:ライデン(オランダ)

古都ライデンのラーメン店
オランダの古都ライデンは、シーボルトが2万5千点にのぼるコレクションと共に日本から帰国した後に住んだ都市であり、ヨーロッパで最初に日本学科を設置したオランダ最古の総合大学のライデン大学や、「夜警」を描いたレンブラントの生誕地としても知られている。
この街で、2018年から、赤いレンガの壁に葛飾北斎の「神奈川沖浪裏」の浮世絵や坂本龍馬の肖像写真を飾り、日本語のラジオ放送が流れる空間の中、ラーメンを提供しているのが、ramen55である。
ライデンに出店した理由
店主の安田さんがライデンでラーメン店を開業するに至ったきっかけは、オランダで出店地を探す中、知人の紹介でこの地を訪れた時、ちょうどシーボルトハウス主催によるジャパン・マルクト(日本文化をテーマにした祭)が開催され、祭りの様子を覗きに行ってみたところ、ライデン大学の日本学科の生徒が「よさこい踊り」を一生懸命踊っている姿に驚き、自分もこの場所で日本文化を発信していきたいと思い、ライデンに出店することに決めたのだそうだ。

レストランとしてのラーメン店
しかし、開業してみたものの、これまでの道のりは平坦ではなかったようだ。全く知り合いもいない中、機材の購入、設置などさっぱりわからず、申請書類も日本とは全く違うことで思うように進まず、ましてやライデンという都市は、土地柄として食習慣が非常に保守的な人も多く、また近年ベジタリアンも多いため、ラーメンという食べ物は、なかなかすんなりと受け入れてもらえなかった。また、当地には日本のように独りで気楽に食事に訪れるような習慣も飲食店もないことがわかってきた。このため、日本のアニメや漫画が好きな子どもの誕生日に家族そろって来店したり、特別な日に友人と連れ立ってくるようなお店となるよう工夫をした。
また、当地の嗜好にあうようメニューを少しずつカスタマイズし、例えば、ベジタリアン対応を含めた数種類の味のラーメンを開発、たい焼きや抹茶アイスなどのデザートもメニューに加え、コロッケやベジ餃子などを追加し、日本茶や焼酎・ウイスキーなども加え、日本の食文化を楽しみつつ、レストランとしても成立するような工夫を重ねた。
ここまで対応が出来たのは、安田さんが、ラーメンだけではなく、日本料理店などでも働いた経験があったからだが、意外だったのは、レストランでお酒を扱うには難易度の高いライセンスを取得しなければならず、試験に合格するまで大変苦労したことだった。食材の多くは当地の産品を使用しているが、試行錯誤の結果、日本のものは絶対に美味しいという自信と経験から、昆布や調味料等味の決め手となるものは、コスト的には割高になっても、日系輸入卸業者を通じて調達している。「お客様が美味しいものを求めて来店する以上、味に妥協はできない」と、語る。

本物にこだわる
通り沿いの大きなウインドーには、「日本産食材サポーター店の認定店」であることを示すステッカーが貼られ、レジ横には認定証やPOPがあるので「これは何ですか?」と尋ねられることも多く、その度に、日本から取り寄せた日高昆布からスープの出汁を取っていることなどの話題に繋げてファンを増やしているそうで、そこでのお客様との会話から新メニュー開発につながるヒントを掴んだこともあるそうだ。
日本文化の架け橋
現在、店の仕込みが出来るスタッフも育ってきている一方、もう少しスタッフに余裕ができれば、もう1店、ラーメンだけに特化した店を開店させてみたいという構想をもっている。
安田さんは、「2店舗目はカウンターだけのお店にしたいのです。いつでも気軽に楽しめるように、シンプルなラーメンにすることでお値段もちょっと安く設定した、学生さん向けのラーメン店にしてみたいのです。まだどこでやるかとか何も決まってはいないのですけれど、近いうちに、ぜひ実現したいと考えているところです」と、語る。
安田さんは、「ラーメンをきっかけに日本の食文化に興味を持っていただくことを出発点にして、やがて日本の文化そのものに興味を持つようなファンを増やしていけるような店舗づくりを続けることを通じて、オランダと日本の架け橋となりたい」また、「ヨーロッパに進出した個人の方のサポート業務もしていきたい」と、抱負を掲げていた。


- Morsstraat 26,2312BM,Leiden
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https://ramen55.nl/