欧州委、高騰するエネルギー価格対策として国家補助規制の暫定緩和策を採択

(EU、中東)

ブリュッセル発

2026年05月07日

欧州委員会は4月29日、中東危機に端を発するエネルギー価格高騰への対応策として、加盟国による財政支援を容易にする国家補助規制の新たな緩和策「中東危機暫定国家補助枠組み(METSAF)」を採択した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。METSAFは、欧州委が4月22日に発表した「アクセレレートEU」(2026年5月1日記事参照)の一環であり、燃料や肥料の価格上昇の一部を補填(ほてん)するための補助や、少額補助に関する簡素化手続きなどが含まれる。エネルギー価格高騰の影響を特に受ける農業、漁業、運輸と、エネルギー集約型産業を支援対象とし、2026年12月末まで適用される。加盟国が実施できる支援内容は次のとおり。

  • 農業、漁業、陸上輸送およびEU域内短距離海上輸送について、加盟国は燃料および肥料の価格上昇に起因する追加費用の最大70%まで補償することができる。
  • 上記の分野については、国家補助の申請を容易にすべく手続きの簡素化を認める。これにより、加盟国は、受益者による実際の消費量の詳細な証明ではなく、受益者の活動規模および種類、当該分野における燃料消費の一般的な推計またはその他の代替となる指標に基づき補助額を設定することが可能となる。受益者は、最大5万ユーロまで簡素化手続きを利用することができる。
  • エネルギー集約型産業については、クリーン産業ディール国家補助枠組み(CISAF、2025年6月30日記事参照)を一時的に改正。CISAFにおいて最大50%だった加盟国が提供する電力価格に対する補助金の割合を、最大70%まで引き上げる。補助金の対象となる電力消費量の上限に変更はなく受益者の総消費量の最大50%までだが、補助金の最低50%を脱炭素化投資に回す義務については、引き上げ分に対する追加的な投資義務は課さない。

(吉沼啓介)

(EU、中東)

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