日本からの輸出に関する制度

調味料の輸入規制、輸入手続き

ロシアの輸入規制

1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)

調査時点:2025年6月

ロシアとユーラシア経済連合:規制の相関関係

ロシアはカザフスタン、ベラルーシ、アルメニア、キルギスと同一条件でユーラシア経済連合(EEU)を形成しています。EEUの域内で、商品は自由に、税関申告や規制なしに移動させることができ、EEUの構成国はEEU法全体に従い、それらは国内法の上に位置しています。

EEUの規制の根幹をなすのは、ユーラシア経済連合条約、ユーラシア経済連合関税基本法、ユーラシア経済委員会の決定(設定された統一関税率表、関税率やEEU統一品目など)で、ロシアを含むすべてのEEUの構成国が順守すべきものです。

規制に関して国レベルで個々の違いがある場合もありますが(例えば、輸入にかかわる付加価値税)、あくまでEEUが定めた範囲内での違いとなります。ロシアの国家関税規制の基本となる法は、ロシア連邦法「ロシア連邦における税関規制並びにロシア連邦個別法令の修正について」、またロシア連邦政府の規定やロシア連邦税関局の個々の件に関する指令です。

ロシアへの輸入時には必ず、第一にEEUの規則に従う必要があり、特別なケースにおいてはロシアの国内法に従う必要があります。

東京電力福島第一原子力発電所の事故と関連して、群馬県、福島県、千葉県、茨城県、栃木県、東京都の6都県で生産された食品の輸出には、政府作成の放射性物質検査証明書(放射性物質検査報告書を添付)が求められます。

  • 放射性物質の含有量が次のレベルを下回ることの検査証明書
    放射性物質の規準指数と許容量
    製品名 規準指数 許容量
    マヨネーズ、マヨネーズソースおよび植物油由来のソース(EEU TN VEDコード2103のグループ) 1. セシウム137の比放射能、Bq/kg(l) 60
    2. ストロンチウム90の比放射能、Bq/kg(l) 80
  • 放射性セシウムの含有量の測定示度の検査報告

    ロシア連邦消費者権利保護・福利監督局(Rospotrebnadzor)は、設定された規準量に適合しているかどうかを調べるため、日本からの食品に関して放射性物質のサンプル検査(書類検査、ロシアへの商品到着時の試料抽出など)を行うことができます。

対ロシア輸出入等禁止措置

現在、輸出貿易管理令により、輸出規制対象貨物のロシアを仕向地とする輸出は、原則として承認されません。
ただし、例外の一つである食品・医薬品の場合、輸出の承認を行うことがあります。詳細は関連リンクを確認してください。

2. 施設登録、商品登録、輸入許可等(登録に必要な書類)

調査時点:2018年11月

調味料の輸入にあたり、登録や許可の取得は、通常は必要ありません。
また、輸出にあたり、製造者の施設登録も必要ありません。

1. 商業許可証

既成の製品の中に0.5%以上のエチルアルコールを含んでいる場合、連邦アルコール市場規制庁が発行するアルコールを含む製品の商業許可証(アルコールを含む製品の購入、保管、納入の許可証)を要求される場合があります。

2. 適合証明

調味料(酢:EEU TN VEDコード2209 00を除く)の輸入とその後の販売には、製品が技術規則021/2011と適合していることを証明する必要があります。
適合証明にあたっては、生産者が自己証明のかたちで適合申告書を作成します。調味料に関しては、食品に関する要求に適合した申告書の提出が必要となります。このほか、新規食品の場合は、当該製品の国家登録が必要となります。

適合申告の手順:

申告は生産者が行うべきですが、ロシア国外の生産者である場合は、ロシア企業と適合の確認を行うための契約を結ぶ必要があります。適合証明のための申告は、例えば輸入者がコンテナで仕入れる場合には、その輸入ロット単位で行えます。また、生産者側が申告する場合には取扱製品についてのみ申告することができます(その場合も生産者は適合証明のための申告にあたり、ロシアの会社と契約を結ぶ必要があります)。

一般的に、適合申告書の発行には次の手続きが必要です。

  • 申請人による証明書発行機関または試験研究所への照会(後述の国家登録統一一覧への登録も含まれます)
  • サービスの提供に関する契約を締結し、適合確認の実施申請依頼を行います。
  • 適合の確認は申請者が独自に行った製品のサンプルの試験(もし会社が独自に試験を施行できる場合)、あるいは証明書発行認定機関または試験研究所が行った製品のサンプル試験を元に行います。試験実施の目的で製品のサンプル(検体)をロシアに送る場合は、簡素化された手順でロシアに輸入できます。その場合、通関手続きの際に、許可書類は必要なく、証明書発行機関との契約書の写しと試験のための製品の個数を記した試験研究所の文書が必要となります。
  • 証明書発行機関は、技術規則に対応した項目で商品の試験を行います(あるいは、会社が自分で試験をした場合、証明書発行機関はその結果の正確さを調査します)。
  • 試験や検査が問題なく終了すれば、適合申告書が作成され、証明書発行機関で国家登録統一一覧に登録され、申告者に登録番号が付与され申告書が交付されます。

法的に試験の最大期間は設定されていません。検査のプロセスの長さは、証明書発行機関および認可された試験研究所によります。

まれなケース(例えば完全に新しい種類の製品輸入において)では、輸入する商品がこれまでユーラシア経済連合の領域で人間用の食料として使用されたことがない商品(新しい種類の製品とは、例えば新しく、または主な分子構造を変えたといった製品を指します)である場合、新しい種類の製品にかかる国家登録が求められる可能性があります。

この際、全く新しい構成により製造された食料製品や原料は、新しいレシピで製造された製品や成分であっても、人間用の食料としてすでに使用される食品添加物・構成で、ロシアですでに使用されている技術によるモノは対象になりません。

もし輸入される食品が遺伝子組み換えを使ったものである場合、遺伝子組み換えについてはロシアにおいて登録する必要がありますが、当該遺伝子組み換えを使った製品自体の登録は必要ありません。

関連リンク

関係省庁
ユーラシア経済委員会技術規制・認定部(ロシア語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ロシア連邦税関局(ロシア語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ロシア連邦消費者権利保護・福利監督庁(ロシア語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ロシア連邦アルコール市場規制庁(ロシア語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
2011年12月9日付関税同盟委員会決定第880号「関税同盟技術規則021/2011『食品の安全について』の採択について」(ロシア語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
関税同盟技術規則021/2011「食品の安全について」に関する監督機関(ロシア語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
関税同盟技術規則021/2011「食品の安全について」(ロシア語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(2.1MB)
2012年12月25日付ユーラシア経済委員会理事会決定第293号「ユーラシア経済連合の技術規則に適合する証明書と申告書の共通様式と手続きの規定について」(ロシア語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
1995年11月22日付ロシア連邦法第171-FZ号(2018年8月3日付改訂)「エチルアルコール、アルコールおよびアルコール含有製品の生産と流通に関する国家規制並びにアルコール製品の消費(摂取)の制限について」(ロシア語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
その他参考情報
適合申告書様式(2012年12月25日付ユーラシア経済委員会理事会決定第293号により承認)(ロシア語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(158KB)
関税同盟証明書発行機関と試験研究所(センター)国家登録統一一覧(ロシア語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
適合申告書の登録(ロシア語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ユーラシア経済連合枠組み内で強制義務を課される製品のリスト(ロシア語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

3. 動植物検疫の有無

調査時点:2018年11月

日本からの調味料の輸入に際し、動物検疫は行われません。

それぞれの種類の製品(TN VED 0904-0906のグループから小分け包装されていない香辛料;混合調味料、TN VEDコード 2103 90 900 9)に対して、植物検疫検査は書類検査、目視検査、詳細検査のかたちで行われる場合がありますが、日本での植物検疫証明書の取得は要求されていません。

ロシアの食品関連の規制

1. 残留農薬

調査時点:2018年11月

マヨネーズ、マヨネーズソース、植物油をベースとするソース(EEU TN VEDコード2103のグループから)については、残留農薬に関する次の要求事項が設定されています。

マヨネーズ、マヨネーズソース、植物油をベースとするソースにおける残留農薬の許容量
項目 許容量、mg/kg、以下
1.有機塩素系農薬(アルファ、ベータ、ガンマ異性体) 0.05
2.DDTとその代謝物質 0.1

その他の調味料に関する残留農薬の要求事項は設定されていません。

2. 重金属および汚染物質

調査時点:2018年11月

重金属の含有については、次の要求事項が設定されています。

調味料、香辛料、香辛野菜(EEU TN VED 0904-0906のグループ)
項目 許容量、mg/kg、以下
1. 鉛 5.0
2. カドミウム 0.2
マヨネーズ、マヨネーズソース、植物油をベースとするソース(EEU TN VEDコード2103のグループ)について
項目 許容量、mg/kg、以下
1. 鉛 0.3
2. カドミウム 0.05
3. ヒ素 0.1
4. 水銀 0.05

他の成分や汚染物質の製品への含有については、次のような付加的な要求事項も設定されています。

その他の要求事項
項目 品名 許容量
1.サルモネラを含む病原微生物(製品内で許容されない量(g)) 調味料と香辛料(EEU TN VED 0904-0906のグループから) 25
マヨネーズ、マヨネーズソース、植物油をベースとするソース(EEU TN VEDコード2103のグループ) 25
2.中温性好気性、および条件的嫌気性微生物の量、CFU/g(cm3)、以下 混合調味料:食卓用マスタードと食卓用西洋わさび(EEU TN VED2103のグループ) 5 x 104
調味料と香辛料の原材料(EEU TN VED 0904-0906のグループ) 2 x 106
3.大腸菌類の細菌(大腸菌群)、許容されない製品内質量、g(cm3 トマトソースおよびケチャップ(EEU TN VED 2013のグループ) 1.0
混合調味料:食卓用マスタードと食卓用西洋わさび(EEU TN VED 2103のグループ) 0.01
加工された調味料と香辛料(EEU TN VED 0904-0906のグループ) 0.01
4.カビ、CFU/g、以下 トマトソースおよびケチャップ(EEU TN VEDコード2103 20 000 0 ) 50
調味料と香辛料(EEU TN VED 0904-0906のグループ) 104
5.酵母 CFU/g、以下 トマトソースおよびケチャップ(EEU TN VEDコード2103 20 000 0 ) 50
6.亜硫酸塩還元クロストリジウム、製品内で許容されない量、(g) 調味料と香辛料(EEU TN VED 0904-0906のグループ) 0.01
トマトソースおよびケチャップ(EEU TN VEDコード2103 20 000 0 ) 0.1
7.マイコトキシン(アフラトキシンB1) マヨネーズ、マヨネーズソース、植物油をベースとするソース(EEU TN VEDコード2103のグループ) 0.005

3. 食品添加物

調査時点:2018年11月

個別の技術規則(029/2012)で設定された食品添加物の最大含有量に対する要求事項とそのリスト(着色料、保存料、乳化剤、安定剤、pH調整剤、軟化剤、その他) があります。 調味料の添加物含有については次の要求事項が設定されています。

食品添加物の許容量
食品添加物(INS番号) 許容量 品目
保存料 E210-E213 500mg/kg マヨネーズソースおよび植物油由来のソース(EEU TN VEDコード2103のグループ)
1g/kg 香辛料と混合調味料(EEU TN VED 0904-0906のグループ)
香味増強剤E620-E625 生産者によって規定される 混合調味料と香辛料(EEU TN VEDコード 0904-0906)
着色料E122、E129、E133、E142、E151 500mg/kg マヨネーズソース及び植物油由来のソース(EEU TN VEDコード2103のグループ)
300 mg/kg マスタード(TN VED2103のグループ)

この際、個別製品(TP TC 029/2021では24のカテゴリーの商品に分類されている)について、着色料の使用は認められません。そのなかで、調味料に関しては、例えばトマトペーストとトマトソース(EEU TN VED2103のグループ)、香辛料とその混合(EEU TV VED0904-0906のグループ)、ワインビネガー(EEU TN VED2209のグループ)の生産時における着色料の使用は認められていません。

4. 食品包装(食品容器の品質または基準)

調査時点:2018年11月

包装に関する要求事項の全リスト(食品に接触している使用原材料、機能表示、技術仕様、化学安定性、密封性)は個別の技術規則(005/2011)で設定されています。

素材によって包装は次のような要求事項に適合している必要があります。

  • 瓶包装は、基本的な基準や使用目的に応じて、温度変化によって破損することなく、内部の静水圧にも耐え得る必要があります。
  • ポリマー包装は変形したり、熱湯でひびが入ったりしてはならず、包装の継ぎ目から水が入るようであってはなりません。
  • 包装は、衛生規準(特に、ホルムアルデヒドや鉛などの含有量が規制される)にも適合している必要があります。
  • 包装は、化学物質の移行許容量を超える量の人体に有害な物質を放出してはなりません。

要求事項への適合書類(適合申告書)が別個に必要とされるのは、包装が別個に、独立した商品として納入されるときだけです。その他の状況では、要求事項への適合は、食品に関する技術規則への適合申告書の受理時に検査されます。

5. ラベル表示

調査時点:2018年11月

日本から調味料を輸入する際には、食品のラベルに、ロシア語で次の情報を含める必要があります。

食品ラベルに必要な情報
情報 情報に対する基本的な要求事項
1. 名称 製品を他の製品から区別することを可能にするもの。情報の欠落によって消費者の誤解を招く可能性がある場合は、必要な情報を名称のすぐ近くに記載する。
2. 成分 成分は質量割合の大きいものから順に表示する。「成分」と書かれた表示、また食品添加物(製品が一つの成分または原料で構成されている場合は不要)を含む場合はその旨も記載する。
3. 内容量 製品の種類によって、量(ml、cl、l)、重量(g/kg)、または個数の単位で表示する。
4. 製造日付 「製造日付」(または「生産日付」など類似の表現も可能)という言葉の後に、製造年月日を記載する。
5. 品質期限 「まで有効」「品質期限」というしかるべき表示の後に、食品の賞味期限もしくは消費期限を記載する。
6. 食品の保管条件(包装開封後も含む) 保管条件に留意が必要な場合は任意で記載。
7. 製造者名称および所在地 公式の登録された製造者名称および所在地。第三国(ユーラシア経済連合構成国ではない国で日本は含まれる)から輸入された製品はラテン文字とアラビア数字、もしくはまたは製造国の言語で表示することも可能。
8. 使用上の注意 任意で記載。
9. 食品の栄養価 製品に含まれるタンパク質、脂質、炭水化物、またそれらに含まれるエネルギー量、ビタミン、ミネラルを100g(100ml)あたり、もしくは1個あたりで計算した量の情報。香辛料、調味料、酢は表示の必要がない。
10. 食品におけるGMO(遺伝子組み換え作物)利用による成分の含有量についての表示 GMOで作られた食品には、次の表記が必要である。「GMO」または「GMO製品」、あるいは「GMO成分を含む製品」。
11. ユーラシア適合(EAC)マーク(ユーラシア経済連合構成国市場内で流通する製品への統一表示記号) EACマーク 図1、図2EACマークは製品の評価が申告書通りであれば記載できる。 統一記号の図柄は、明るい背景(図1)、あるいは文字とは対照的な背景(図2)に、3つの図案化された文字「E」「A」「C」の組み合わせで構成されている。
12. その他の情報 技術規則への適合の裏付けとなる情報、禁忌に関する情報、販売規則に関する情報(適用されるなら)、また保管、輸送、リサイクルに関する特別な規則(適用されるなら)に関する情報。

これらの情報は、消費者向け包装(例えば、調味料の包装やソースの瓶)の上、あるいは消費者向け包装から除去するのが困難なラベルに記載します(ある種の情報は、添付文書に記載されることがあるが、調味料のような製品には実際あまり用いられません)。包装されていない製品については、商品添付書類に前述の情報を記載し、EACマークについても商品添付書類に表示します。

また、商標、権利者情報、原産地名称、自主的認証制度マークなどについては、必ずしも表示の必要はありませんが、生産者の任意で包装およびラベルに記載することもできます。

食品のラベル表示の適合確認については、食品の技術規則適合確認申告書で確認されるため、別個の申告書を作成する必要はありません。

ロシアでの輸入手続き

1. 輸入通関手続き(通関に必要な書類)

調査時点:2018年11月

1. 総則

ロシア市場において販売目的の商品の輸入には、輸入後に商品を自由に用いることを念頭に置いた国内消費のための流通における通関手続き時の収納を前提としています。

日本から商品を輸入する際の税関への申告者は、通常、契約上の買主であるロシアの会社になります。そのため、製品の輸入には、ロシアの買主または卸売業者と契約するか、またはロシア領内に子会社法人(実際には、通常有限会社の形式をとります)を設立し、その後、契約を結ぶ必要があります。

ロシアへの製品輸入時、普通、通関手数料の保証の支払いを要求されることはありませんが、そのような保証が税関当局から依頼されるケース(例えば、税関当局に申告書の真偽に対する疑念や、関税額算定の正確さに疑念が生じている場合)もあります。保証は、現金、または銀行保証のかたちをとります。

2. 税関申告書類

  • 商品申告書
  • 外国貿易取引契約書
  • 外国貿易取引契約書の計算書(インボイス)
  • 運送/輸送についての文書(国際貨物受取証、船荷証券、運送取扱所の契約、運送費用の支払計算書)
  • 保険書類(保険契約書、保険証書、保険料支払いの領収書を含む)
  • 技術規則適合申告書
  • 日本側で発行された原産地証明書
  • 関税納付書(通関業者によって支払われる場合もある)
  • 申告者と通関代表者の契約書(通関業者を雇っている場合)
  • 輸出申告書(通関手続き時には必須ではないが、追加で要請される場合がある)

書類は外国語でも作成することができますが、その場合、税関当局から資料の翻訳を要求されることがあります。とりわけ文書が日本語で作成されている場合は、要求されることが多いようです。

3. 通関手続き

通関手続きは、物流の都合に合わせていずれのロシア税関当局でも行えます。商品の税関申告は港に所在する税関で到着後すぐに行われる場合もありますが、通関境界から遠く離れたモスクワのようなところで行う場合もあります。後者の場合、通過手続きの域内で境界を越えた後、荷物は申告書を提出する予定の税関当局までロシア国内を通行します。ロシア国内通行に関する作業は、通常運送業者(運送人)が責任を負います。

包装されていない香辛料(TN VED 0904-0906)および包装されていない混合調味料(TN VEDコード2103 90 9009)には、国境検問所と申告先の税関当局で、植物検疫検査を行うためにロシア連邦動植物検疫局(Rosselkohznadzor)の職員の立合いが必要となります。

税関での手続きには、税関手数料、商品の税関申告書、また付随する文書を提出しなければなりません。申告書は電子版で提出し、紙版は特別な場合のみ用います(例えば、個人の使用する商品の申告や保税輸送商品の運び入れ)。

商品通関手続きに要する時間は公式には4時間とされていますが、実際にはそれより長くなることがあり、平均しておよそ24時間かかります。特に税関審査が行われる場合は、期限が延長されるようです。検査に時間を要する場合、商品は一時保税蔵置場に収納されることもあります。

4. 一時保税蔵置場

例えば、植物検疫検査で書類に技術的な不備があり、それを解決するために時間がかかる場合や、必要書類がそろうまでに時間がかかる場合など、ケースによって、一時保管のための倉庫(一時保税蔵置場)に商品を保管する場合もあります。商品の一時保管の通常の期限は4カ月で、4カ月を超えて保管することはできません。

一時保税蔵置場の使用には、一時保税蔵置場の所有者と保管契約を結ぶ必要があり、料金はそれぞれの一時保税蔵置場、所在する地域、また商品の保管環境(一定の温度で保管できるかどうかなど)によって異なり、貨物の重さ(kg)、保管場所の面積(m2)、パレットスペース(例えば、モスクワとモスクワ州では、パレットスペースあたり1日15ルーブルから120ルーブルを限度として設定している)によって決められます。

通関手続き終了後、商品は自由に市場に流通させることができ、ロシアで自由に販売し、また輸出することができます。同時に、税関当局は申告の正確さを、市場に流通後3年間審査することができます。

5. 長期保税蔵置場

例えば、買主との契約が輸入時未締結の場合など、通関していない商品を長期保税蔵置場で保管する場合、ロシアでの長期保税蔵置場の保管期限は3年になります。買主との契約締結後、商品はロシアで自由に流通させることができます(通関手続きは買主が行います)。
同時に注意しておきたいのは、ロシアでは長期保税蔵置場の使用があまり一般的ではないということです(ロシア全国で113の長期保税蔵置場、その内5つはモスクワにある)。商品の保管料金は商品の数、種類、また長期保税蔵置場の活動範囲によって異なります。

2. 輸入時の検査

調査時点:2018年11月

商品の輸入時に、周期的に管理検査、とりわけ、書類や資料の検査を税関の実見または臨検、商品の鑑定、試料やサンプルの抽出、または技術的手段を用いて行う場合があります。このような検査は法律違反の兆候(例えば、書類上での相違)によって、または抜き取り検査によって行われることもあります。

税関当局のほか、例えば、ロシア連邦消費者保護・福利監督庁(Rospotrebnadzor)が技術的あるいは放射線要求事項の分野で、またロシア連邦動植物検疫局(Rosselkhoznadzor)が植物検疫の分野で検査を行う場合があります。

検査は、しかるべき文書または証書(例えば、税関検査証書)を作成して完了します。

3. 販売許可手続き

調査時点:2018年11月

日本から輸入した調味料をロシア国内で販売するにあたり、許可や免許の必要はありませんが、適合証明が取れている商品であることが必要になります。適合証明は食品だけでなく、包装、ラベル表示、食品添加物に関する規則の要求事項にも適合している必要があります。

関連リンク

関係省庁
ロシア連邦税関局(ロシア語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ロシア連邦消費者権利保護・福利監督庁(ロシア語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ロシア連邦技術規則・計量庁(Rosstandart)(ロシア語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
ユーラシア経済連合「関税基本法の発効について」(ロシア語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ユーラシア経済連合 関税基本法(ロシア語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(6.1MB)(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(3.5MB)
2018年8月3日付ロシア連邦法第289-FZ号 「ロシア連邦における税関規制、並びにロシア連邦個別法令の修正について」(ロシア語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
2011年12月9日付関税同盟委員会決定第880号「関税同盟技術規則021/2011『食品の安全について』の採択について」(ロシア語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
関税同盟技術規則021/2011「食品の安全について」に関する監督機関(ロシア語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
関税同盟技術規則021/2011「食品の安全について」(ロシア語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(2.1MB)
2011年8月16日付関税同盟委員会決定第769号「『包装の安全性について』の関税同盟技術規則の採択について」(ロシア語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
関税同盟技術規則005/2011「包装の安全性について」に関する監督機関(ロシア語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
関税同盟技術規則005/2011「包装の安全性について」(ロシア語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(692KB)
2011年12月9日付関税同盟委員会決定第881号「関税同盟技術規則022/2011『食品表示』の採択について」(ロシア語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
関税同盟技術規則022/2011「食品表示」に関する監督機関(ロシア語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
関税同盟技術規則022/2011「食品表示」(ロシア語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(309KB)
その他参考情報
申告書に、関税同盟技術規則「包装の安全について」(関税同盟技術規則005/2011)(2013年3月19日付ユーラシア経済委員会理事会決定第47号により承認)の要求に対する適合評価(確認)書類を添付する製品リスト(ロシア語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

4. その他

調査時点:2018年11月

なし

ロシア内の輸入関税等

1. 関税

調査時点:2018年11月

日本からの製品の輸入時には、標準的な輸入関税が適用され、関税額は従価税(3~11%の範囲内)または重量税で算定されます。税率を表に記します。

2. その他の税

調査時点:2018年11月

1. 通関手数料

輸入時に通関手続きを行うためには、次の表に記された関税評価額に従って決められる通関手数料を支払わなければなりません。

商品の関税評価額による通関手数料
商品の関税評価額、ルーブル 申告の通関手数料、ルーブル
200,000またはそれ以下 500
200,000以上450,000またはそれ以下 1,000
450,000以上1,200,000またはそれ以下 2,000
1,200,000以上2,500,000またはそれ以下 5,500
2,500,000以上5,000,000またはそれ以下 7,500
5,000,000以上10,000,000またはそれ以下 20,000
10,000,000以上 30,000

電子申請で通関手続きを行う場合の通関手数料は次のとおりになります。レートは上記表の75%の額となります(上記表は電子申請でない場合の手数料)。実務上ロシアではほとんどが電子申請で手続きが行われます。

商品の関税評価額による通関手数料(電子申請の場合)
商品の関税評価額、ルーブル 申告の通関手数料、ルーブル
200,000またはそれ以下 375
200,000以上450,000またはそれ以下 7500
450,000以上1,200,000またはそれ以下 1,500
1,200,000以上2,500,000またはそれ以下 4,125
2,500,000以上5,000,000またはそれ以下 5,625
5,000,000以上10,000,000またはそれ以下 15,000
10,000,000以上 22,500

通関手数料の計算のために、輸入者は関税評価額(通常、商品価格に、例えばユーラシア経済連合国境までの運送費のような何らかの付加的な支出を足したもの)を算定する必要があります。税関当局は、関税評価額が低くなりすぎないよう最大限注意して管理します。特に、輸入時の商品価格は、税関当局が同様の商品の価格に関して出している情報を参考にできます。

申告額が価格情報よりも低い場合、税関当局は関税評価額に異議を唱え、追加の関税の支払いを要求し、また輸入者(または通関ブローカー)の行政責任を問い罰金(支払われていない関税額の50~200%)を科すことがあります。税関当局の見解は、具体的な事例のいかんによっては、額の相違に関して十分な根拠がある場合異議を唱えることができます。

外国法人である売主は、税関手続きに責任を持たないため、責任を問われません。実際には、ロシアの税関当局は外国企業に対して情報についての問い合わせをすることがあります。

2. 環境手数料

消費財としての有用性が消失した後リサイクルする包装した製品を輸入する会社は(例えば会社が瓶詰ソースを輸入した場合)、またはロシアで包装する会社は(例えばソースをロシアで瓶詰めする場合)、自分でスクラップをリサイクルする手段を講じなければなりません。例えば、同様の商品を扱う輸入者組合に入るか輸入者組合を結成して、再生加工する、あるいはリサイクルを行う再生加工業者と契約するなどしなければなりません。リサイクルが不可能な場合、会社は環境手数料を支払う必要があります。

環境手数料は商品の包装グループごとに(例えば、ポリマー包装、ガラス包装など)、毎年4月15日までに会計期間に従って支払われなければなりません。支払いはロシア連邦天然資源監督庁(Rosprirodnadzor)に行います。

環境手数料は、包装の種類によって設定され、包装量とリサイクル規準量によって計算されます。調味料の包装に関しては、次の環境手数料とリサイクル規準量の率が適用されます。

環境手数料およびリサイクル基準量
包装の種類 手数料(ルーブル/1トン) リサイクル規準量(%)
2018 2019 2020
ガラス製(例:食用の酢酸または食酢用の瓶) 2564 15 20 25
紙またカートンの包装(例:調味料用のパッケージ) 2378 10 15 20
ポリマー包装(例:マヨネーズやママスタードの包装) 3844 10 15 20

関連リンク

関係省庁
ロシア連邦税関局(ロシア語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ロシア連邦天然資源監督庁(Rosprirodnadzor)(ロシア語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
ユーラシア経済連合「関税基本法の発効について」(ロシア語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ユーラシア経済連合 関税基本法(ロシア語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(6.1MB)(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(3.5MB)
2018年8月3日付ロシア連邦法第289-FZ号 「ロシア連邦における税関規制、並びにロシア連邦個別法令の修正について」(ロシア語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
2004年12月28日付ロシア連邦政府決定第863号「通関手続きのための手数料について」(ロシア語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
1998年6月24日付連邦法第89-FZ号「製造と消費によるスクラップについて」(ロシア語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
2016年4月9日付ロシア連邦政府決定第284号「製品利用によるスクラップのリサイクルを行わない生産者、商品輸入者が支払う、消費財としての有用性消失後にリサイクルすべき各製品グループの環境税率設定について」(ロシア語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
2017年12月28日付ロシア連邦政府決定第2971-p号「2018年から2020年の商品利用に由来する廃物の再利用規準量承認について」(ロシア語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
2018年3月27日付ユーラシア経済委員会理事会決定第42号「ユーラシア経済連合関税区域に輸入される商品の税関の関税評価額の規制の特色について」(「ユーラシア経済連合関税区域に輸入される商品の税関の関税評価額の規制の特色についての規定」を含む)(ロシア語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

3. その他

調査時点:2018年11月

1. 輸入における付加価値税

調味料の輸入には付加価値税(VAT)が、課税標準(関税評価額+関税額+物品税額)に対し税率18%(2019年1月1日からは20%)で課されます。

VATは通関手続き時に税関当局に直接支払います(輸入に関するVATは税関当局の管理のもとにあります)。輸入者には3年間の輸入におけるVATを払い戻せる特定の条件があり、特に、課されたVATの対象活動に用いられ、帳簿に記す場合であり、(原則として商品の再販売の場合も条件は変わりません)VATの支払いを行った商品がその先の販売においてVAT差額が発生するといった(例えば再販売を行う)場合になります。

2. 物品税

エチルアルコールの割合が製品の9%を超える場合、輸入時に物品税を支払う必要があります。

物品税率(計量単位ごとにルーブルで表記)
2019年12月31日まで 1リットルにつき418ルーブル
2020年1月1日から12月31日まで 1リットルにつき435ルーブル

その他

調査時点:2018年11月

なし