花きの輸入規制、輸入手続き
品目の定義
本ページで定義する花きのHSコード(ロシアではTN VENコード)
次のPDFファイルを参照ください。
ロシアの輸入規制
1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)
調査時点:2024年12月
ロシアとユーラシア経済連合:規制の相関関係
ロシアはカザフスタン、ベラルーシ、アルメニア、キルギスと同一条件でユーラシア経済連合(EEU)を形成しています。EEUの域内で、商品は自由に、税関申告や規制なしに移動させることができ、EEUの構成国はEEU法全体に従い、それらは国内法の上に位置しています。
EEUの規制の根幹をなすのは、ユーラシア経済連合条約、ユーラシア経済連合関税基本法、ユーラシア経済委員会の決定(設定された統一関税率表、関税率、EEU統一品目など)で、ロシアを含むすべてのEEUの構成国が順守すべきものです。
規制に関して国レベルで個々の違いがある場合もありますが(例えば、輸入にかかわる付加価値税)、あくまでEEUが定めた範囲内での違いとなります。ロシアの国家関税規制の基本となる法は、ロシア連邦法「ロシア連邦における税関規制ならびにロシア連邦個別法令の修正について」、またロシア連邦政府の規定や、ロシア連邦税関局の個々の件に関する指令です。
ロシア連邦税関局ロシアへの輸入時には必ず、第一にEEUの規則に従う必要があり、特別なケースにおいてはロシアの国内法に従う必要があります。
日本からの花きの輸入に関しては、現在制限は存在していません。
税関当局によって輸入が禁止される場合:
- 植物検疫証明書がない場合(「3.動植物検疫の有無」を参照)。
- 植物検疫証明書の情報がほかの文書(輸送、販売その他)の情報と異なる場合。
- 商品が植物検疫証明書に記されている量を10%以上超えている場合。
検疫対象品および輸入禁止の品種については、「ユーラシア経済連合とユーラシア経済連合関税区域の税関国境で衛生植物検疫検査(管理)を必要とする検疫対象製品リスト」で定められています。このような対象品を含む商品があるかどうかは、輸入前(例えば特定の地域からの商品輸入についてのロシア連邦動植物検疫局(Rosselkhoznadzor)による事前教示)、ならびに輸入時の検査時に確認できます。
植物品種の再生産のための球根、塊茎、苗、接ぎ穂、その他の植物に関する部分(EEU TN VEDコードのグループ0601、0602)の輸入において、その品種が育種の利用許可にかかる国家リストに含まれていない場合は禁止されることがあります。法律による指示はありませんが、実務的には輸入者はたびたびリストの提供を求められることがあります(学術的な調査やロシアからの輸出のための種または苗の国家試験または生産を目的とした輸入を除く)。 その他、ロシアでの栽培利用を目的とする球根、塊茎、苗、接ぎ穂、その他の植物に関しては、遺伝子組み換え物質を含むか、遺伝子組み換え技術を用いて遺伝子が組み換えられたものの輸入は認められていません(学術的な調査を目的とする場合を除く)。
種苗等の海外持出制限
出願品種の保護が図られないおそれのある国への当該出願品種の種苗等の流出を防ぐため、 当該品種の出願者(育成者)が品種登録出願と同時に、いわゆる「海外持出制限の届出(種苗法第21条の2第1項第1号)」をした場合、出願者が当該品種の保護が図られないおそれがない国として指定する国(指定国)を除き、種苗等の国外への持ち出しが制限されます。
なお、「指定国なし」と届出のある登録出願品種は全ての国に対しての持ち出しに制限があります。
品種ごとの詳細は、関連リンクの「公益社団法人農林水産・食品産業技術振興協会 流通品種データベース」にてご確認ください。
また、登録品種の種苗等を育成者権者の許諾なく海外に持ち出す行為は禁止されており、損害賠償、刑事罰の対象となる場合があります。
詳細は、関連リンクの「農林水産省 種苗法の改正について」及び「農林水産省利用制限届出の手引き」を参照してください。
関連リンク
- 関係省庁
-
ユーラシア経済委員会(衛生動植物検疫措置部)(ロシア語)
/ (英語)
-
ロシア連邦農業省(Minselkhoz)(ロシア語)
/ (英語)
-
ロシア連邦税関局(ロシア)
/ (英語)
-
ロシア連邦動植物検疫局(Rosselkhoznadzor)(ロシア語)
/ (英語)
- 根拠法等
-
2010年6月18日付関税同盟委員会決定第318号「ユーラシア経済連合の植物検疫の確保に関して」(ロシア語)
/ (英語)
(388KB)
-
2016年11月30日付ユーラシア経済委員会決定第157号「検疫対象品及び検疫対象病害虫に対しユーラシア経済連合関税境界および関税域内で適用される検疫植物衛生統一基準について」(ロシア語)
(20.8MB) / (英語)
(382KB)
-
2010年12月29日付ロシア農業省指令第456号「検疫対象となる製品のロシア連邦への持ち込み及びその保存、移動、輸送、加工と利用に際しての植物検疫実施規則の承認について」(ロシア語)
-
2014年12月15日付ロシア連邦農業省指令第501号「検疫検査対象品目リストの承認について」(ロシア語)
-
2011年9月30日付ロシア連邦税関庁指令第1996号「ロシア連邦との国境検問所に位置する税関当局担当者の、衛生検疫、衛生植物検疫検査と獣医学管理に不可欠な輸送統制と書類検査時の行動に関する指示書の承認について」(ロシア語)
-
種苗法
- その他参考情報
-
ユーラシア経済連合とユーラシア経済連合関税区域の税関国境で衛生植物検疫検査(管理)を必要とする検疫対象製品リスト(ロシア語)
(171KB) / (英語)
(387KB)
-
ユーラシア経済連合検疫対象品統一一覧(ロシア語)
(3.5MB) / (英語)
(195KB)
-
植物製品の一時的輸入制限(ロシア語)
-
農林水産省「種苗法の改正について」
-
農林水産省「品種登録ホームページ」
-
農林水産省「利用制限届出の手引き」
(1.7MB)
-
公益社団法人農林水産・食品産業技術振興協会「流通品種データベース」
2. 施設登録、商品登録、輸入許可等(登録に必要な書類)
調査時点:2018年11月
日本からの花きの輸入に際して、登録、免許の取得、または技術規則適合の証明書は必要ありません。
関連リンク
- 関係省庁
-
ロシア連邦税関局(ロシア)
/ (英語)
-
ロシア連邦動植物検疫局(Rosselkhoznadzor)(ロシア語)
/ (英語)
- 根拠法等
-
2010年6月18日付関税同盟委員会決定第318号「ユーラシア経済連合の植物検疫の確保に関して」(ロシア語)
/ (英語)
(388KB)
-
2016年11月30日付ユーラシア経済委員会決定第157号「検疫対象品及び検疫対象病害虫に対しユーラシア経済連合関税境界および関税域内で適用される検疫植物衛生統一基準について」(ロシア語)
(20.8MB) / (英語)
(382KB)
-
2011年1月28日付関税委員会決定第526号「関税同盟の枠組み内で強制義務が課される製品に関する統一リスト」(ロシア語)
/ (英語)
- その他参考情報
-
ユーラシア経済連合の枠組み内で強制義務を課される製品に関するリスト(ロシア語)
(68KB) / (英語)
(162KB)
-
植物防疫所 ユーラシア経済同盟(Eurasian Economic Union)
3. 動植物検疫の有無
調査時点:2018年11月
ロシアは関税同盟に加入しているため、「検疫対象となる製品のロシア連邦への持ち込みおよびその保存、移動、輸送、加工に際しての植物検疫実施規則」(2010年12月29日付ロシア農業省指令456号)のほかにも、ユーラシア経済委員会2016年11月30日付決議158号により制定された「検疫対象品および検疫対象病害虫に対しユーラシア経済連合関税境界および関税域内で適用される検疫植物衛生統一規準」(ユーラシア経済委員会2016年11月30日付決議157号、2017年7月1日発効)が適用されます。「検疫植物衛生統一規準」では、植物検疫実施規則同様、検疫上のリスクが高い製品への要件が記載されており、製品には輸出国の権限のある期間が発行した植物検疫証明書が添付されていなければなりません。
関税同盟委員会が2010年6月18日付決議318号「関税同盟の植物検疫に関する規則」により制定した「検疫対象品リスト」において、花き(EEU TN VEDコード0602 90 100 0のきのこ菌糸を除く)は植物疫病のリスクが高く、検疫の必要がある製品になっているため、輸入時には植物検疫証明書が必要となります。
植物検疫証明書は輸出者側(日本)によって国際様式で作成され、ロシアの衛生植物検疫の要求にそって承認されます。日本での証明書発行機関は農林水産省植物防疫所になります。「追加申告」の欄には、検疫規制対象品が、検疫植物衛生統一規準にある検疫規制対象病害虫のない区域、場所および(または)生産拠点で製造されたことを記す必要があります。
植物検疫証明書はロット(すなわち、同一運送手段で同一目的地、同一受取人に送られる商品数)ごとに作成され、ロシア語または英語で作成されます。英語で書かれた場合、基本的に翻訳は必要ありません。
製品がすべての要求に適合しているかは、植物検疫証明書と輸入時の検査で確認されます。とりわけ、次の品目については、特別検疫植物衛生要求事項が設定されています。
品目名 | 特別要求事項 |
---|---|
花束を作るために、または装飾用に切り取られた花とつぼみ、生花(EEU TN VED コード 0603 11 000 0 - 0603 19 700 0) | 菊花腐病(Didymella ligulicola)、白さび病(Puccinia horiana)、菊白さび病(Puccinia pelargonii-zonalis)、紅粒がんしゅ病(Ciborinia camelliae)の影響を受けていない地域からのものである必要がある。 |
観賞用植物球根、塊茎、根茎(EEU TN VEDコード0601のグループ) | クサギカメムシ(Halyomorpha halys)、ミカンキイロアザミウマ(Frankliniella occidentalis)、ミナミキイロアザミウマ(Thrips palmi)の影響を受けていないものである必要がある。ジャガイモシストセンチュウ(Globodera pallida)、ヒヤシンス黄腐病(Xanthomonas campestris pv. Hyacinthi)ほかの影響を受けていない地域、場所、そして(または)生産区域からのものであるべきである。 |
バラ科(Rosaceae)の種類の広葉樹の苗木(EEU TN VEDコード0602のグループ) | クサギカメムシ(Halyomorpha halys)、リンゴカワノキクイムシ(aperda Candida)の影響を受けていない地域からのもの、また火傷病菌(Erwinia amylovora)の影響を受けていない地域、場所および(または)生産区域からのものであるべきである。 |
キク(Chrysanthemum)の苗(EEU TN VEDコード0602のグループ) | 菊花腐病(Didymella ligulicola)、白さび病(Puccinia horiana)、キク矮化ポスピウイロイド(Chrysanthemum stunt pospoviroid)、キク茎えそ病(Chrysanthemum stem necrosis tospovirus)の影響を受けていない地域からのものであるべきである。 |
関連リンク
- 関係省庁
-
ユーラシア経済委員会(衛生動植物検疫措置部)(ロシア語)
/ (英語)
-
ロシア連邦税関局(ロシア)
/ (英語)
-
ロシア連邦動植物検疫局(Rosselkhoznadzor)(ロシア語)
/ (英語)
- 根拠法等
-
2010年6月18日付関税同盟委員会決定第318号「ユーラシア経済連合の植物検疫の確保に関して」(ロシア語)
/ (英語)
(382KB)
-
2016年11月30日付ユーラシア経済委員会決定第157号「検疫対象品及び検疫対象病害虫に対しユーラシア経済連合関税境界および関税域内で適用される検疫植物衛生統一基準について」(ロシア語)
(20.8MB) / (英語)
(382KB)
-
国際植物防疫条約(1997年11月17日ローマで締結)(ロシア語)
- その他参考情報
-
ユーラシア経済連合とユーラシア経済連合関税区域の税関国境で衛生植物検疫検査(管理)を必要とする検疫対象製品リスト(ロシア語)
(171KB) / (英語)
(387KB)
-
植物検疫証明書様式(ロシア語と英語)
ロシアの食品関連の規制
1. 残留農薬
調査時点:2018年11月
なし
2. 重金属および汚染物質
調査時点:2018年11月
なし
3. 食品添加物
調査時点:2018年11月
なし
4. 食品包装(食品容器の品質または基準)
調査時点:2018年11月
検疫を必要とする製品の輸入時、使用される包装の素材に対して基本的な要求が課されます。具体的には、包装には次のような種類があります。
- 木箱で、薄い木板で全体ができている(厚さは6mm以下)
- カートンまたは紙素材
- 織物素材
- ポリマー素材
包装素材は包装された製品とともに、検疫対象品(リストと照合)から離し、製品のロットそのものの植物検疫証明書と輸入時の検査によって承認されます。 球根、塊茎、苗、接ぎ穂、その他の植物に関する部分EEU TN VEDコードのグループ0601、0602)で、包装されていない状態(盛り土)でのロシアへの輸入は禁止されています。これらの製品は包装材(箱)に入れる必要があります。
関連リンク
- 関係省庁
-
ユーラシア経済委員会(ロシア語)
/ (英語)
-
ロシア連邦税関局(ロシア)
/ (英語)
-
ロシア連邦動植物検疫局(Rosselkhoznadzor)(ロシア語)
/ (英語)
-
ロシア連邦農業省(Minselkhoz)(ロシア語)
/ (英語)
- 根拠法等
-
2016年11月30日付ユーラシア経済委員会決定第157号「検疫対象品及び検疫対象病害虫に対しユーラシア経済連合関税境界および関税域内で適用される検疫植物衛生統一基準について」(ロシア語)
(20.8MB) / (英語)
(382KB)
- その他参考情報
-
ユーラシア経済連合検疫対象品統一一覧(ロシア語)
(3.5MB) / (英語)
(195KB)
5. ラベル表示
調査時点:2018年11月
日本から花きを輸出する際には、ラベルの表示に次の情報を記載しなければなりません。花きの場合のラベル表示は、パレットへの折り込みに記載するか箱にラベルを貼付します。
製品名 | 現在存在する情報に関する要求事項 |
---|---|
植物の植え付け用資材(EEU TN VEDコード0601と0602のグループから ) |
製品名 生産国情報 生産地および(または)生産区域情報 輸出者情報 |
花束を作るために、または装飾用に切り取られた花とつぼみ、生花(EEU TN VED コード 0603 のグループから) |
製品名 生産国情報 輸出者または再輸出者情報 |
球根、塊茎、苗、接ぎ穂、その他の植物に関する部分EEU TN VEDコードのグループ0601、0602)のラベルには、輸入の際に植物学名と国家登録上の種子名、収穫年、数量情報が含まれてなければならない。
ラベルは、ロシア語で記載されていなければならないという規定はありませんが、実際にはロシアへの輸入の際に、税関職員によりロシア語のラベルを要求することがないとも限りません。また、ラベルが日本語で表記されている場合、翻訳を要求される可能性があります。
6. その他
調査時点:2018年11月
なし
ロシアでの輸入手続き
1. 輸入通関手続き(通関に必要な書類)
調査時点:2018年11月
1. 総則
ロシア市場において販売目的の商品の輸入には、輸入後に商品を自由に用いることを念頭に置いた国内消費のための流通における通関手続き時の収納を前提としています。
日本から商品を輸入する際の税関への申告者は、通常、契約上の買主であるロシアの会社になります。そのため、製品の輸入には、ロシアの買主または卸売業者と契約するか、またはロシア領内に子会社法人(実際には、通常有限会社の形式をとります)を設立し、その後、契約を結ぶ必要があります。
ロシアへの製品輸入時、通常、通関手数料の保証の支払いを要求されることはありませんが、そのような保証が税関当局から依頼されるケース(例えば、税関当局に申告書の真偽に対する疑念や、関税額算定の正確さに疑念が生じている場合)もあります。保証は、現金、または銀行保証のかたちをとります。
2. 税関申告書類
- 商品申告書
- 外国貿易取引契約書
- 外国貿易取引契約書の計算書(インボイス)
- 運送/輸送についての文書(国際貨物受取証、船荷証券、運送取扱所の契約、運送費用の支払計算書)
- 保険書類(保険契約書、保険証書、保険料支払いの領収書を含む)
- 植物検疫証明書
- 原産地表示にかかる証明書または申告書
- 関税納付書(通関業者によって支払われるかもしれない)
- 申告者と通関代表者の契約書(もし通関業者を雇っているなら)
- 輸出申告書(通関手続き時には必須ではないが、追加で要請される場合がある)
書類は外国語でも作成することができますが、その場合、税関当局から資料の翻訳を要求されることがあります。とりわけ文書が日本語で作成されている場合は、要求されることが多いようです。植物検疫証明書(国際様式)は、英語で作成されたものであれば翻訳の必要はありません。
3. 通関手続き
花き製品は特定の植物検疫を行える国境検問所を通して輸入しなければなりません。植物検疫を行える国境検問所については、関連リンクのその他参考情報「検疫を要する製品を輸入できるロシア連邦国境検問所リスト」を参照してください。
商品の税関申告は港に所在する税関で到着後すぐに行われる場合もありますが、通関境界から遠く離れたモスクワのようなところで行う場合もあります。後者の場合通過手続きの域内で国境を越えた後、荷物は申告書を提出する予定の税関当局までロシア国内を輸送します。ロシア国内通行に関する作業は、通常運送業者(運送人)が責任を負います。
税関での手続きには、税関手数料、商品の税関申告書、また付随する文書を提出しなければなりません。申告書は電子版で提出し、紙版は特別な場合のみ用います(例えば、個人の使用する商品の申告や保税輸送商品の運び入れ)。
商品通関手続きに要する時間は公式には4時間とされていますが、実際には植物検疫も行う必要があるためより時間がかかることがあります。
4. 一時保税蔵置場
例えば、植物検疫検査で書類に技術的な不備があり、それを解決するために時間がかかる場合や、必要書類がそろうまでに時間がかかる場合など、ケースによって、一時保管のための倉庫(一時保税蔵置場)に商品を保管する場合もあります。商品の一時保管の通常の期限は4カ月で、4カ月を超えて保管することはできません。
花き製品の場合、実際には、植物検疫のために一時保税蔵置場への保管が要求されます。ロシア連邦動植物検疫監督庁ロシア連邦動植物検疫局(Rosselkhoznadzor)は、植物防疫所の近くなど、すぐに対応できる職員がいて、検査(審査、試料とサンプルの抽出など)を行うことのできる一時保税蔵置場のリストを公表しています。例えば、モスクワとモスクワ州にはこのような一時保税蔵置場がおよそ20あります。
一時保税蔵置場の使用には、一時保税蔵置場の所有者と保管契約を結ぶ必要があり、料金はそれぞれの一時保税蔵置場、所在する地域、また商品の保管環境(一定の温度で保管できるかどうかなど)によって異なり、貨物の重さ(kg)、保管場所の面積(m2)、パレットスペース(例えば、モスクワとモスクワ州では、パレットスペースあたり1日15ルーブルから120ルーブルを限度として設定している)によって決められます。
通関手続き終了後、商品は自由に市場に流通させることができ、ロシアで自由に販売し、また輸出することができます。同時に、税関当局は申告の正確さを、市場に流通後3年間審査することができます。
5. 長期保税蔵置場
例えば、買主との契約が輸入時未締結の場合など、商品の品質期限が保管期間を180暦日以上超える場合、商品を長期保税蔵置場に保管することがあります。長期保税蔵置場の保管期限は3年ですが、商品はどんな場合でも、品質期限が終了する少なくとも180日以上前に長期保税蔵置場から出さなければなりません。
買主との契約締結後、商品はロシアで自由に流通させることができます(通関手続きは買主が行う)。
ロシアでは長期保税蔵置場の使用があまり一般的ではない(ロシア全国で113の長期保税蔵置場、その内5つはモスクワにある)ため、長期保税蔵置場を有しない一時保税蔵置場に保管している場合、長期保税蔵置場へ保税輸送の必要が生じる。倉庫を選ぶ際は、長期保税蔵置場を有するか、一定の温度で保管できるかどうかなど保管環境も考慮する必要があります。
商品の保管料金は商品の数、種類、また長期保税蔵置場の活動範囲によって異なります。
関連リンク
- 関係省庁
-
ユーラシア経済委員会(ロシア語)
/ (英語)
-
ロシア連邦税関局(ロシア)
/ (英語)
- 根拠法等
-
ユーラシア経済連合「関税基本法の発効について」(ロシア語)
(3.5MB)
-
ユーラシア経済連合 関税基本法(ロシア語)
(6.1MB) / (英語)
(3.5MB)
-
ロシア連邦法2018年8月3日第289-FZ号「ロシア連邦における税関規制、並びにロシア連邦個別法令の修正について」(ロシア語)
-
2010年5月20日付関税同盟委員会決定第257号「通関申告書の記入と様式についての指示書について」(ロシア語)
-
2014年7月21日付ロシア連邦法第206-FZ号「植物の検疫に関して」(ロシア語)
- その他参考情報
-
FCSロシア一時保税蔵置場所有者登記簿(ロシア語)
-
FCSロシア長期保税蔵置場所有者登記簿(ロシア語)
-
税関申告書様式(ロシア語)
(253KB)
-
検疫を要する製品を輸入できるロシア連邦国境検問所リスト(ロシア語)
-
モスクワ市、モスクワ州とトゥーラ州植物防疫所(FKP)(ロシア語)
2. 輸入時の検査
調査時点:2018年11月
商品の輸入時に、周期的に管理検査、とりわけ、書類や資料の検査を税関の実見または臨検、商品の鑑定、試料やサンプルの抽出、または技術的手段を用いて行う場合があります。このような検査は法律違反の兆候(例えば、書類上での相違)に関連して、または抜き取り検査によって行われることもあります。
商品の検査は、税関当局のほか、植物検疫要求事項に関してはロシア連邦動植物検疫局(Rosselkhoznadzor)も行います。ロシア連邦動植物検疫局は、試料やサンプルの抽出、輸送手段の検査、検疫の必要がある製品の抜き取り検査を行います。書類に相違がある場合も製品の検査と審査が行われます。ロシア連邦動植物検疫局は、植物検疫の結果に基づき、衛生植物検疫検査にかかる確認書を検疫の必要のある持ち込まれた製品の各ロットに対して発行します。
関連リンク
- 関係省庁
-
ロシア連邦税関局(ロシア)
/ (英語)
-
ロシア連邦動植物検疫局(Rosselkhoznadzor)(ロシア語)
/ (英語)
- 根拠法等
-
ユーラシア経済連合「関税基本法の発効について」(ロシア語)
(3.5MB)
-
ユーラシア経済連合 関税基本法(ロシア語)
(6.1MB) / (英語)
(3.5MB)
-
ロシア連邦法2018年8月3日第289-FZ号「ロシア連邦における税関規制、並びにロシア連邦個別法令の修正について」(ロシア語)
-
2010年6月18日付関税同盟委員会決定第318号「ユーラシア経済連合の植物検疫の確保に関して」(ロシア語)
/ (英語)
(388KB)
-
2011年9月30日付ロシア連邦税関庁指令第1996号「ロシア連邦との国境検問所に位置する税関当局担当者の、衛生検疫、衛生植物検疫検査と獣医学管理に不可欠な輸送統制と書類検査時の行動に関する指示書の承認について」(ロシア語)
- その他参考情報
-
衛生植物検疫検査(管理)証書様式(ロシア語)
(285KB) / (英語)
3. 販売許可手続き
調査時点:2018年11月
日本から輸入した花きをロシア国内で販売するにあたり許可や免許は必要なく、花きを販売するのに制限はありません。外資系企業も同様になります。同時に、実際には花きを販売するために、輸入の際にロシア連邦動植物検疫局(Rosselkhoznadzor)が作成した衛生植物検疫検査証書を保持している必要があります(あとで証書を再作成する必要はありません)。
球根、塊茎、苗、接ぎ穂、その他の植物に関する部分EEU TN VEDコードのグループ0601、0602)に関して、品種と種の品質にかかる確認(例えばOECD、ISTAによる証明書)の書類を求められることがあります。国際的なフォームで作られた書類の翻訳は求められませんが、ロシア語、英語以外の言語(輸出国の言語など)による証明書については翻訳が求められる可能性があります。
関連リンク
- 関係省庁
-
ロシア連邦税関局(ロシア)
/ (英語)
-
ロシア連邦動植物検疫局(Rosselkhoznadzor)(ロシア語)
/ (英語)
- 根拠法等
-
ユーラシア経済連合「関税基本法の発効について」(ロシア語)
(3.5MB)
-
ユーラシア経済連合 関税基本法(ロシア語)
(6.1MB) / (英語)
(3.5MB)
-
2018年8月3日付ロシア連邦法第289-FZ号「ロシア連邦における税関規制、並びにロシア連邦個別法令の修正について」(ロシア語)
-
2010年6月18日付関税同盟委員会決定第318号「ユーラシア経済連合の植物検疫の確保に関して」(ロシア語)
/ (英語)
(388KB)
-
2016年11月30日付ユーラシア経済委員会決定第157号「検疫対象品及び検疫対象病害虫に対しユーラシア経済連合関税境界および関税域内で適用される検疫植物衛生統一基準について」(ロシア語)
(20.8MB) / (英語)
(382KB)
-
2014年7月21日付ロシア連邦法第206-FZ号「植物の検疫に関して」(ロシア語)
4. その他
調査時点:2018年11月
なし
ロシア内の輸入関税等
1. 関税
調査時点:2018年11月
日本からの製品の輸入時には、標準的な輸入関税が適用され、関税額は従価税(ほとんどのケースで5%)または重量税で算定されます。税率を表に記します。
2. その他の税
調査時点:2018年11月
1. 通関手数料
輸入時に通関手続きを行うためには、次の表に記された関税評価額に従って決められる通関手数料を支払わなければなりません。
商品の関税評価額、ルーブル | 申告の通関手数料、ルーブル |
---|---|
200,000またはそれ以下 | 500 |
200,000以上450,000またはそれ以下 | 1,000 |
450,000以上1,200,000またはそれ以下 | 2,000 |
1,200,000以上2,500,000またはそれ以下 | 5,500 |
2,500,000以上5,000,000またはそれ以下 | 7,500 |
5,000,000以上10,000,000またはそれ以下 | 20,000 |
10,000,000以上 | 30,000 |
電子申請で通関手続きを行う場合の通関手数料は次のとおりになります。レートは上記表の75%の額となります(上記表は電子申請でない場合の手数料)。実務上ロシアではほとんどが電子申請で手続きが行われます。
商品の関税評価額、ルーブル | 申告の通関手数料、ルーブル |
---|---|
200,000またはそれ以下 | 375 |
200,000以上450,000またはそれ以下 | 750 |
450,000以上1,200,000またはそれ以下 | 1,500 |
1,200,000以上2,500,000またはそれ以下 | 4,125 |
2,500,000以上5,000,000またはそれ以下 | 5,625 |
5,000,000以上10,000,000またはそれ以下 | 15,000 |
10,000,000以上 | 22,500 |
通関手数料の計算のために、輸入者は関税評価額(通常、商品価格に、例えばユーラシア経済連合国境までの運送費のような何らかの付加的な支出を足したもの)を算定する必要があります。税関当局は、関税評価額が低くなりすぎないよう最大限注意して管理します。特に、輸入時の商品価格は、税関当局が同様の商品の価格に関して出している情報を参考にできます。
申告額が価格情報よりも低い場合、税関当局は関税評価額に異議を唱え、追加の関税の支払いを要求し、また輸入者(または通関ブローカー)の行政責任を問い罰金(支払われていない関税額の50~200%)を科すことがあります。税関当局の見解は、具体的な事例のいかんによっては、額の相違に関して十分な根拠がある場合、異議を唱えることができます。
外国法人である売主は、税関手続きに責任を持たないため、責任を問われません。実際には、ロシアの関税当局は外国企業に対して情報についての問い合わせをすることがあります。
2. 環境手数料
消費財としての有用性が消失した後リサイクルする包装材を使用した製品を輸入する会社は(例えば会社が花きをポリマーの袋に入れて輸入した場合)、またはロシアで包装する会社は(例えば花きをロシアで包装する場合)、自分でスクラップをリサイクルする手段を講じなければなりません。例えば、同様の商品を扱う輸入者組合に入るか輸入者組合を結成して、再生加工する、あるいはリサイクルを行う再生加工業者と契約したりしなければなりません。リサイクルが不可能な場合、会社は環境手数料を支払う必要があります。
環境手数料は商品の包装グループごとに(例えば、ポリマー包装、紙包装など)、毎年4月15日までに会計期間に従って支払われなければなりません。支払いはロシア連邦天然資源監督庁(Rosprirodnadzor)に行います。
環境手数料は、包装の種類によって設定され、包装量とリサイクル規準量によって計算されます。花きの包装に関しては、次の環境手数料とリサイクル規準量の率が適用されます。
包装の種類 | 手数料(ルーブル/1トン) | リサイクル規準量(%) | ||
---|---|---|---|---|
2018 | 2019 | 2020 | ||
紙またカートンの包装(球根または塊茎用の紙袋または箱) | 2378 | 10 | 15 | 20 |
ポリマー包装(例えば、生花用のポリマー包装) | 3844 | 10 | 15 | 20 |
例:2019年に1トンの包装とすると、
環境手数料=2,378×1トン×15%=356,70ルーブル
関連リンク
- 関係省庁
-
ロシア連邦税関局(ロシア)
/ (英語)
-
ロシア連邦天然資源監督庁(Rosprirodnadzor)(ロシア語)
- 根拠法等
-
ユーラシア経済連合「関税基本法の発効について」(ロシア語)
(3.5MB)
-
ユーラシア経済連合 関税基本法(ロシア語)
(6.1MB) / (英語)
(3.5MB)
*第6章参照 -
2018年8月3日付ロシア連邦法第289-FZ号「ロシア連邦における税関規制、並びにロシア連邦個別法令の修正について」(ロシア語)
-
2004年12月28日付ロシア連邦政府規定第863号「通関手続きのための手数料について」(ロシア語)
-
1998年6月24日付連邦法第89号FZ「製造と消費による廃物について」(ロシア語)
-
2016年4月9日付ロシア連邦政府規定第284号「製品利用による廃物のリサイクルを行わない生産者、商品輸入者が支払う、消費財としての有用性消失後にリサイクルすべき各製品グループの環境税率設定について」(ロシア語)
-
2017年12月28日付ロシア連邦政府決定第2971-p号「2018年から2020年の商品利用に由来する廃物の再利用規準量承認について」(ロシア語)
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2018年3月27日付ユーラシア経済委員会協議会決定第42号「ユーラシア経済連合関税区域に輸入される商品の税関の関税評価額の規制の特色について」(「ユーラシア経済連合関税区域に輸入される商品の税関の関税評価額の既成の特色についての規定」を含む)(ロシア語)
-
2001年12月30日付ロシア連邦行政違反に関する基本法第195-FZ号(ロシア語)
3. その他
調査時点:2018年11月
輸入における付加価値税
花きの輸入には付加価値税(VAT)が、課税標準(関税評価額+関税額)に対し税率18%(2019年1月1日からは20%)で課されます。
VATは通関手続き時に税関当局に直接支払います(輸入に関するVATは税関当局の管理のもとにあります)。輸入者には3年間の輸入におけるVATを払い戻せる特定の条件があり、例えば、VATの支払いを行った商品がとその先の販売においてVAT差額が発生するといった(例えば再販売を行う)場合である。
その他
調査時点:2018年11月
なし