米国におけるブロックチェーンの現状 (2018年5月)

2018年05月31日

最終更新日:

今回は米国におけるブロックチェーンの現状についてまとめている。世界のブロックチェーン市場は2016~21年までの5年間で年平均81.2%のペースで成長し、2017年時の9億4,500万ドルは、2021年には97億ドルに達することが予測されている。地域別では、2021年時に、米国が最大市場として世界全体の40%以上、次に西欧諸国、中国、(日本・中国を除く)アジア太平洋諸国が続く。大きな支出の伸びが予想されている地域は、南米と日本であり、2016~21年までの年平均成長率はそれぞれ152.5%、127.3%となっている。ブロックチェーンは、仮想通貨以外にも活用が期待されており、今回、仮想通貨、銀行間取引、ヘルスケア、不動産、サイバーセキュリティ、IoTの事例を取り上げている。連邦法で規制する動きなどはこれまでみられていない。トランプ政権はブロックチェーン技術の活用に積極的に取り組んでいる一方、仮想通貨がマネー・ロンダリングやテロ組織への資金源、租税回避、詐欺等に悪用されることを懸念し、連邦政府レベルでは、各関連規制当局において仮想通貨に対する規制を見直す動きがみられるようになっている。州政府レベルでは、これまでに大多数の州が仮想通貨及びブロックチェーン技術に関する何らかの法規制を施行又は整備しつつあるが、こうした規制のほとんどは、既存の送金法における仮想通貨の取引について明確にする内容である。他方で、統一州法委員会は2017年7月、仮想通貨に関する州法間の整合性を図るため、「仮想通貨事業法に関する統一規則」を発表したが、これに対し、ビットコイン財団は、同規則の内容がニューヨーク州のビットライセンス規制と酷似している悪法として、州議会議員・関係者から構成される全米州議会議員連盟に対し、これを採択しないよう呼びかけている。

まだ技術として歴史の浅いブロックチェーンが現在のインターネットのような存在になるのか、その動向が注目される。

発行年月:
2018年05月
作成部署:
ジェトロ・ニューヨーク事務所
総ページ数:
24ページ

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