在アジア日系製造業の経営実態 -ASEAN・インド編- 2004年度調査(2005年3月)

最終更新日: 2005年07月20日

2005年2月、ASEAN6カ国およびインドに進出している日系製造業企業2,117社を対象に、経営実績と今後の見通し、また自由貿易協定(FTA)への要望などを把握するため、アンケート調査を実施し、954社より回答を得た。調査結果の概要は以下の通りである。

1.各国の活発な消費に支えられ、営業利益が改善

ASEAN6カ国の2004年の営業利益は、8割近くが黒字と回答し、営業利益が前年に比べ「改善した」と答えた企業は全体の6割を占めるなど好調さが窺えた。また、多くの企業が進出国での内需が好調に推移すると見込んでいる。

2.ASEAN進出企業の半数が中国の製造原価と拮抗

代表的な品目における中国の製造原価につき、ASEANとの比較(ASEANの製造原価=100)を聞いたところ、ASEAN 進出企業の半数の企業が90%以上と回答した。コスト面などでの優位が強調される中国に対し、ASEAN進出企業が生産効率改善など経営努力を行っていることが見て取れる。

3.7割の企業が追加投資で「事業規模拡大」へ

進出企業の今後1〜2年の、事業展開の方向性では、ASEANでは「規模拡大」と答えた企業の割合が、5割強となった。「規模拡大」の具体的方針については、ASEANでは「追加投資」が7割と圧倒的に多く、次いで「生産品目の拡大」と続いた。

4.日本との自由貿易協定(FTA)、経済連携協定(EPA)でプラス影響を期待、対中国では警戒感高まる

FTA/EPAの事業戦略への影響に関しては、ASEAN・インド進出企業の6割近くが「貴任国(進出国)―日本」とのFTA /EPAがプラス影響をもたらすと回答した。他方、既に先行的関税引き下げ(アーリーハーベスト)が開始されている「中国―ASEAN」をプラス影響とみる企業は2割に留まった。また、FTA/EPAで期待する事項はもっぱら「関税の撤廃」及び「税関手続きの簡素・円滑化」に集中している。

5.規制緩和が進むインド、9割の企業が事業規模の拡大を検討

インドでは好調な国内経済を背景に、巨大な国内市場向けの事業展開が主流となってきている。今後1〜2年の事業展開では、実に9割の企業が規模拡大を検討している。更に規模拡大の具体策として「追加投資による事業規模の拡大」を挙げる企業が7割に達した。

インドでは企業活動に対する規制緩和が着実に進展しており、既存進出企業の事業環境も好転している様子が窺えた。

主な図表:

・2004年の営業利益、2005年の見通し(P.3)

・中国での製造原価(国地域別)(P.16)

・今後1‾2年後の事業展開の方向性(P.24)

・FTA/EPAへの事業戦略の影響(指数)(P.28)

発行年月:2005年3月

作成部署:海外調査部 アジア大洋州課

総ページ数:72ページ

記事番号:05000991

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