フリーゾーンの概要について: モロッコ

モロッコに進出を検討しています。税制が優遇されるフリーゾーンがあると聞きました。フリーゾーンの概要および進出のメリットについて教えてください。


現在、モロッコには、タンジェ・フリーゾーン、地中海港ロジスティック・フリーゾーン、タンジェ・オートモーティブシティー、アトランティック・フリーゾーン(ケニトラ輸出フリーゾーン)、ダフラ輸出フリーゾーン、ラユーン輸出フリーゾーン、ヌアサー航空産業フリーゾーンなどのフリーゾーンがあり、入居企業は優遇措置を受けることができます。中でも日系企業の進出事例が多い、タンジェエリアに進出するメリットを中心に紹介します。

I. タンジェ・メッド

フリーゾーンの運営はタンジェ地中海特別庁(Agence Spéciale Tanger Méditerranée: TMSA)の100%子会社である、タンジェ・メッドが行なっています。TMSAはモロッコ北部エリア地中海に面する地域を中心にフリーゾーンを展開するためにできた特別庁です。

II. タンジェエリアのフリーゾーンの概要

1. 地中海港ロジスティック・フリーゾーン

2009年に稼働を始めた面積200平方キロメートルの敷地を持つロジスティックオペレーション専用のフリーゾーン。2017年時点で22社が入居していますが日本企業の入居はありません。主に欧州のメーカーや、スポーツ用品ブランドがアフリカ全土の商品倉庫として機能させています。

2. タンジェ・フリーゾーン

2000年に稼働を始めた面積400ヘクタールの敷地を持つ製造業専用のフリーゾーン。2017年時点で500社が入居しており、日系自動車部品メーカーが進出しています。多くの日系自動車部品メーカーは、モロッコ国内およびヨーロッパの自動車メーカーに自社製品を納めています。

3. タンジェ・オートモーティブシティー

2014年に稼働を始めた面積300ヘクタールの敷地を持つ自動車関連製造業に特化したフリーゾーン。2017年時点で26社が入居しています。

4. テトゥアンショア

2012年に稼働を始めた面積6ヘクタールの敷地を持つIT集積地を目指したフリーゾーン。2017年時点で23社が入居しています。

5. テトゥアンパーク

2015年に稼働を始めた面積156ヘクタールの敷地を持つICチップなどの軽量商品を製造する産業に特化したフリーゾーン。2017年時点で60社が入居し、主にスペインやモロッコ企業が入居していますが、日系企業は未進出です。

III. タンジェエリアのフリーゾーン活用方法

1. 優遇税制

タンジェエリアフリーゾーンでは輸出入・製造にかかる税金の免除、法人税が最初の5年間免除、6年目からは8.75%に減税されます。

2. 関税手続きの簡略化

加工貿易を行なう企業は、輸出入の関税手続きが簡略化されます。多くの自動車部品メーカーは自社製品をフリーゾーンから別のフリーゾーンへ輸送し、組み立てた完成品を輸出するという仕組みを採用しています。フリーゾーンを出入りする商品については税金が免除されます。

3. FTAの活用

フリーゾーンで製造された商品が海外へ輸出される時、モロッコが締結している自由貿易協定の恩恵を受けることができます。モロッコはヨーロッパを始め中東・アフリカ諸国と約60の自由貿易協定を結んでいるため、これらの地域に製品を輸出する際は、協定の特恵関税が適用されます。

4. 輸送地までの距離・時間

フリーゾーンで製造した商品をヨーロッパ向けに輸出する場合は、タンジェから対岸のアルへシラスまで14km、輸送船で約30分の距離に位置するため、輸出してから最長でも1週間以内にヨーロッパの加工工場に届けることができます。フリーゾーンに入居している企業の多くが、タンジェの地理的な利便性をメリットとして挙げています。


関係機関

タンジェ・メッド外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

参考資料・情報

モロッコ大使館:
投資情報「タンジール・エクスポートフリーゾーンについて」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ジェトロ:
パリ事務所/中東アフリカ課
「モロッコの投資環境」 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます


調査時点:2017/03

記事番号: J-170403

ご質問・お問い合わせ

記載内容に関するお問い合わせ

貿易投資相談Q&Aの記載内容に関するお問い合わせは、オンラインまたはお電話でご相談を受け付けています。こちらのページをご覧ください。