建設機械(含む中古)の現地輸入規則および留意点:米国向け輸出

米国向けに中古を含む建設機械を輸出する際の現地輸入・販売規制および留意点について教えてください。

I. 輸入条件
建設機械は、環境保護庁(Environmental Protection Agency: EPA)が「ノンロード(道路を通行しない)」と定義する車両に該当します。

この車両には、車両総重量(Gross Vehicle Weight Rating: GVWR)が8,500ポンド(約3.86t)、もしくは積載荷物の重量などを含まない空車重量(Curb Weight)が6,000ポンド(約2.72t)以上のものが該当します。

EPAが定める排出基準に準拠した米国版の車両 (U.S. version vehicle)の製造業者は、当該車両がEPAの基準に適合していることを示す英語のラベルをエンジン室に添付します。このラベルがない車両は、非適合車両(non-conforming vehicle)とみなされます。米国版の車両に該当すれば、EPAの承認なしで輸入可能です。

非適合車両の輸入は、EPA、税関国境警備局(Customs and Border Protection: CBP)、運輸省(Department of Transportation: DOT)、特にその下部組織である道路交通安全局(National Highway Traffic Safety Administration: NHTSA)、内国歳入庁(Internal Revenue Service: IRS)など複数の連邦機関により規制されています。排ガス基準非適合車両の場合は、税関ボンド(Custom entry bond: 輸入申告額の3倍)を支払い、EPA認定の輸入業者(Independent Commercial Importer: ICI)の下で非適合車両として輸入し、適合させるための改造を行うことで輸入できます。

II. ディーゼルエンジンの排出基準
ディーゼル燃料の建設機械車両は、燃料効率等の点でガソリン車より優れることもありますが、一方で大気汚染の原因となる窒素酸化物(NOx)や粒子状物質 (PM)を多く排出するため、その排出量がEPAによって規制されています。

EPAでは1999年より大部分の建設機械の排出量規制を行っています。EPAではエンジンの馬力(horsepower: hp)および当該車両の製造年に基づいた 4段階(four tier)システムを採用しています。詳細はEPAのサイトで確認してください。

III. 輸入の際の留意点
1. 通関手続きと必要書類
上述の米国の排出基準を満たさない機械類は、原則として通関できません。通関の際には、輸入者はEPAのフォーム3520-21、CBPのフォーム7501の納税申告書(entry summary)、売買証書(bill of sale)、船荷証券(bill of lading)のほか、NHTSAの定めるフォームHS-7をCBPに提出します。またこうした建設機械の輸入業者は、上述の申請書類と、正式通関(formal entry)の申し込みを関税担保(custom bond)の支払いとともに行う必要があります。

非適合車両について、TPEMやICIによって輸入される場合、税関ボンドを置かない非公式の個人輸入などで例外的に輸入が許可される場合でも、売買証書、船荷証券、EPAフォーム3520-21、フォームHS-7をCBPに提出します。なお、いずれの場合でも、通関は建設機械の米国到着日から15日以内に行われる必要があります。15日以内に行わない場合、当該機械は一般命令保税倉庫(general order warehouse)に移送され、6ヵ月後以降に競売に供されることになります。

2. 車両登録手続き
建設機械を実際に運転するには、各州の陸運局(Department of Motor Vehicle: DMV)に登録が必要です。車両のタイヤ幅などにより、稼動に特別な許可が必要になることがあります。各州のDMVに問い合わせてください。

3. その他
建設機械の輸入に関しハンドル位置に関する規制はありません。騒音については、輸入の際に騒音レベルが問われることはありませんが、車両登録手続き時に行われるインスペクションの際に、必要以上の騒音排出を防ぐための装備が正しく行われているかがチェックされることがあります。騒音に関する条項含む建設機械を含む車両の安全・衛生に係る規制・規則は、運輸省の下部組織である自動車運搬安全局(Federal Motor Carrier Safety Administration: FMCSA)で確認することができます。

また、米国農務省(US Department of Agriculture: USDA)の植物検疫法(The Plant Quarantine Act)の規制により、輸入する車両に土がついていたり、車の中に植物や植物の種が入ったままでは輸入できません。車両は出荷前に洗浄する必要があります。

参考資料・情報
税関・国境警備局(CBP):
米国製・非米国製車両の米国への輸入について
Nonroad Compression-Ignition Engines: Exhaust Emission Standards
Importing off-road engines, equipment, vehicles (i.e. lawn, garden, and construction equipment) into the U.S.

運輸省(DOT):
フォームHS-7

調査時点:2016/10

記事番号: Y-120101

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