ANSI、ASTM International、UL、NEMA、NFPA等規格関連機関の関係:米国

米国のANSI、ASTM International、UL、NEMA、NFPAなど規格関連機関の関係を教えてください。

米国の基準・規格には、労働安全衛生局(Occupational Safety and Health Administration: OSHA)と米国規格協会(American National Standards Institute: ANSI)の二つの団体が定めたものがあります。

OSHA基準は連邦規則に含まれる「法規」と位置付けられています。一方のANSI規格は規格開発機構(Standards Developing Organizations: SDO)が作成し、米国国家規格として指定されたものです。それぞれの基準・規格は異なる組織によって定められていますが、OSHA基準の中でANSI規格が参照文書として引用された場合は、そのANSI規格はOSHA基準と同等の効力および影響を持ちます。

I. OSHA基準

米国国民の職業安全・衛生基準を開発し施行するために設立された政府機関で、職場で労働者が遭遇する様々な危険に対してOSHA基準(29 CFR PART 1910, Occupational Safety and Health Standards)が作成されています。PART 1910はSubpart AからZまで細かく分けられ、各基準の概要説明にはじまり具体的に規制対象となる環境、物質、品物、作業等が含まれています。この基準に該当する職場で使用される製品を米国内で販売する場合は、OSHA基準に適合することが要求されます。例えばSubpart Sにある電気要件に該当する製品の適合を証明する手段のひとつとして、OSHAが認定した国家認定試験所(Nationally Recognized Testing Laboratories:NRTL)による認証があります。

II. ANSI規格

原則として、ANSI自身では規格作成は行わず、SDOの認定を行い、認定を得たSDOが作成・提出する規格を承認し、米国国家規格として指定します。

SDOに属している民間団体には以下のものがあります。

  1. 米国材料試験協会(American Society for Testing and Materials International: ASTM International):工業材料に関する標準化について
  2. 米国保険業者安全試験所(Underwriters Laboratories, Inc.: UL): 様々なものの安全規格の作成・試験・認証
  3. 米国電機工業会(National Electrical Manufacturers Associations: NEMA): 家電製品以外の電気製品や設備の規格制定
  4. 米国防火協会(National Fire Protection Association: NFPA): 防火・安全設備および産業安全防止装置などの規格制定

ANSI規格として採用されているものも数多くあります。以下はANSIに採用されたSDOが制定した規格の例です。

  1. ANSI/NEMA FL 1: Flashlight Basic Performance Standard
  2. ANSI/NFPA 70: National Electrical Code
  3. ANSI/UL 1703: Standard for Flat-Plate Photovoltaic Modules and Panels

ANSIおよびSDOに属した団体の規格はOSHA等の政府機関によって採用・引用されなければ、任意規格です。OSHA基準 29 CFR PART 1910.6にこれらの団体で作られた規格が法規として効力および影響力を持つ例を参照できます。以下はその例です。

  1. ANSI A14.2-56: Safety Code for Portable Metal Ladders
  2. ANSI B175.1-1991: Safety Requirements for Gasoline-Powered Chain Saws
  3. ASTM A 53-69: Welded and Seamless Steel Pipe

米国に製品を輸出する場合、一部の州では、強制規格はもとよりUL規格などの任意規格についても義務付けているケースがありますので、事前に確認することが必要です。

調査時点:2016/11

記事番号: T-120301

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