VAT支払いの要否:EUネットショップでの購入(日本向け発送に関する規約がない場合)

英国のネットショップで購入した商品を現地の日系運送会社宛に一旦送付し、同社が荷送人として日本に送付するよう手配しました。ネットショップからVATを含む金額を請求されました。VATは払う必要がありますか。また、支払ったVATは還付されますか。

本ケースでは、貴社はVATの免税を受ける条件を満たしていないため、VATを支払う必要があります。ただし、場合によってはVATの還付を受けられます。

I. VAT課税の該否
1.本ケースの取引は「資産の譲渡」に該当します。従って、原則として出荷地であるEU(この場合は英国)で課税されます。
ただし、以下に該当する取引は輸出取引とみなされ、非課税扱いとなります(EU指令2006/112/EC第146条)。
a.    サプライヤー自身またはその依頼によって、EU域外の終着地へ輸送される資産の譲渡であること
b.    その加盟国で設立されたものではない取得者自身、またはその受託者によってEU域外の終着地へ輸送される資産の譲渡であること(ただし、レジャーボート、自家用航空機およびその他の自家用乗物の装備、 燃料、補給資材として取得者自身で輸送されたものを除く)
c.    EU域外で行われる人動的活動、慈善活動または教育活動の一環として、資産を欧州連合から輸出する機関として認定された機関に譲渡するものであること
d.    その他、一定の役務の提供であること

2.今回の取引の考え方
a.    輸出取引として非課税扱いとするには、英国のネットショップ(販売者)は、輸出取引であることを請求書に明示する必要があります。その際、EU指令または国内VAT法の根拠条文を請求書上に付記し、さらに根拠資料を保管する必要があります。
b.    今回のケースでは、販売者は現地の日系運送会社の所在地(英国国内)への配送を手配したのみで、最終着荷地が日本であることを客観的に証明する根拠資料を有していません。国外配送の根拠資料の不足を税務調査で指摘された場合、課税取引に是正されます。すなわち、税務当局への輸出取引であることの説明が困難であるため、販売者は国内取引としてVATを含めて請求したと思われます。
c.    輸送業者が英国以外のEU加盟国に所在していた場合
販売者から見ると他のEU加盟国への出荷(EU域内取引)として非課税に該当する可能性もあるます。ただし、EU域内取得として非課税取引とするには、取得者(貴社)がEU域内でVAT登録番号を有している必要があります。EU域外に所在する事業者はVAT登録番号を有しないため、今回の取引がEU域内取得として非課税の取扱いを受けることはできません。
d.    結論
今回の取引は輸出取引またはEU域内取得には該当しないため、非課税の取扱いを受けることは困難である可能性があります。従って、貴社は請求されたVATを支払う必要があると考えられます。
II.VAT還付
外国の課税事業者がEU加盟国でVATを支払った場合、VATリファンドの手続きを行うことによって、支払ったVATの還付を請求できます。ただし、その課税事業者がEU加盟国内で課税事業を行っていない、すなわち課税売上がない場合に限ります。また、申請者が還付を受けるには、課税事業を行っていることが条件です。その事業のために発生した前段階税である必要があります。今回のケースでは、前年の7月1日から当年の6月30日までの取引については、当年の12月末までに申告を行えば還付が認められます。ただし、とくに旧社会主義国等、日本の課税事業者に対する還付を認めていない加盟国も一部あります。

関係法令
Eur-lex:
付加価値税の共通システムに関するEU理事会指令2006/112/EC

※本資料は、日本貿易振興機構(ジェトロ)の委託を受けた税理士法人プライスウォーターハウスクーパース(PwC)が作成しましたが、ジェトロおよびPwCによる法的な見解・助言でないことを予めご了承願います。実際のビジネスに当たっては、本資料のみに依拠せず、別途専門家から助言を受けてください。

調査時点:2015/12

記事番号: P-100605

ご質問・お問い合わせ

記載内容に関するお問い合わせ

貿易投資相談Q&Aの記載内容に関するお問い合わせは、オンラインまたはお電話でご相談を受け付けています。こちらのページをご覧ください。