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三者間連鎖取引におけるVATの処理:EU

質問

日本の商社が介在し、フランスの製造元で保有している商品をドイツの顧客企業へ直送します。この場合のVAT、関税等の取り扱いについて教えてください。

回答

EU域外から域内への商品の輸入には関税が発生しますが、本取引のように商品がEU域内で移動する場合にはEU関税は課せられません。また日本の消費税も課税対象外です。ただし、EU域内の取引であってもその商流に介入する日本の商社は、フランスまたはドイツでVAT登録と申告の義務があります。売買契約が日本国内で締結されたものであっても同様です。

I. VATの取り扱い

商品はフランスの製造元からドイツの顧客へ直接配送され、商流は日本の商社が中間で仕入転売する形態の取引は、いわゆる連鎖取引の一種です。VATは、一般的には「輸送を伴う引き渡し」の時、つまり輸送の出発点で課税されます。ただし、複数の引き渡しが同時に発生する今回のような連鎖取引では、誰が輸送の手配をするかによって、「輸送を伴う引き渡し」取引が確定します。

最初の事業者が輸送の手配をする場合、その事業者の行う引き渡しが「輸送を伴う引き渡し」となります。中間に介在する事業者が輸送を手配する場合は、中間事業者に対する引き渡しが「輸送を伴う引き渡し」となります。 最後の顧客が輸送の手配者である場合は、最後の顧客に対する引き渡しが「輸送を伴う引き渡し」となります。「輸送を伴う引き渡し」に先行する引き渡しでは、輸送の出発点が課税地とされ、「輸送を伴う引き渡し」に続く引き渡しでは、輸送の終着点が課税地となります。

II. 連鎖取引の課税関係

日本の商社をA、ドイツの顧客をB、フランスの製造元をCとします。本取引のように3者が関与する連鎖取引は、最初の引き渡し(CからAへの販売)と2番目の引き渡し(Aからドイツの顧客Bへの転売)の2つの取引とみなし、運送手配については、3者による3つのケースが考えられます。

  1. 輸送の手配者がC(フランスの製造元)の場合
    Cが行う最初の引き渡しが「輸送を伴う引き渡し」とされ、課税地は輸送の出発点、すなわち、Cの所在国であるフランスです。2番目の引き渡しは、「輸送を伴う引き渡し」に続くものであるため、輸送の終着点、すなわち顧客Bの所在国であるドイツが課税地となります。この場合、Aは製造元Cからの仕入れに関し、申告上「EU内取得」としてVATが課税されます。これは還付対象であるため、実際の納税は発生しません。しかしドイツの顧客Bへの販売にかかわるVATは、申告・納付する必要があります。従って、顧客の所在国であるドイツでVAT登録および申告が義務付けられます。
  2. 輸送の手配者がA(日本の商社)の場合
    Aに対する引き渡し(最初の引き渡し)が「輸送を伴う引き渡し」とされ、結果として上記1と全く同じ結果となります。Aは、ドイツでVAT登録および申告が義務付けられます。
  3. 輸送の手配者がB(ドイツの顧客)の場合
    AからBに対する引き渡し(2番目の引き渡し)が「輸送を伴う引き渡し」とされます。この輸送の出発点であるCの所在国であるフランスが課税地となります。ただし、Bが事業者である場合は、EU内引き渡し(EU加盟国から他のEU加盟国との間の取引)として免税扱いとすることができます。最初の引き渡しは、「輸送を伴う引き渡し」に先行するため、輸送の出発点であるフランスが課税地となります。従って、AはフランスでVAT登録をし、最初の引き渡しでCに支払ったVATの還付、およびBに対するEU内引き渡しによる免税を申告します。

III. VAT登録

日本の商社Aは、フランスまたはドイツのいずれかの国でVAT登録をし、申告の義務を負います。 その際の留意事項は以下のとおりです。

  1. 実際の商品の販売、納入以前にフランスまたはドイツでVAT登録を行う必要があります。
  2. AからBへ発行する請求書には、欧州VAT法に基づいたインボイス要件(VAT金額、売主と買主のVAT登録番号などの記載)を満たす必要があります。
  3. Aが、フランス、ドイツ以外の他のEU加盟国で既にVAT登録をしている場合、本取引は「EU内三角取引」として処理できます。その場合、AはVAT登録国で、製造元からの仕入れをEU内取得として課税・控除を申告します。顧客に対する販売については「リバースチャージ」が適用され、本来中間事業者が徴収納付すべき、着荷地国のVATが顧客に転嫁されます。ただし、顧客が輸送の手配者である場合、あるいは消費者である等の場合には、リバースチャージは適用されません。

なお、取引条件や加盟国の制度により日本企業が欧州でVAT登録を回避できるスキームも存在します。個々のケースについては国際税務の専門家に確認ください。また、実際のVAT登録・VAT申告の手続きは大変複雑です。VAT法を専門とする法律事務所、会計税務事務所、VAT専門業者に依頼することをお勧めします。

関係法令

Eur-lex:
Council Directive 2006/112/EC of 28 November 2006 on the common system of value added tax等PDFファイル(475KB)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

※本資料は、日本貿易振興機構(ジェトロ)の委託を受けたオプティ株式会社が作成しましたが、ジェトロおよびオプティ株式会社による法的な見解・助言でないことを予めご了承願います。実際のビジネスに当たっては、本資料のみに依拠せず、別途専門家から助言を受けてください。

調査時点:2013年12月
最終更新:2019年1月

記事番号: O-111101

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