医薬品等の輸入手続き:日本

いわゆる大衆薬や、生活改善薬(育毛剤、禁煙補助薬など)の輸入手続きについて教えてください。

医薬品は、以下の3種に分類できます。

  1. 「医療用医薬品」
    医師が医療行為を行ううえで使用、または処方するもの
  2. 「一般用医薬品(OTC)または医薬部外品に移行した商品」
    人体に対する作用が著しくなく、医薬関係者から提供された情報に基づく需要者の選択により使用されるもの
  3. 「薬局製造販売医薬品」
    薬局の設備・器具で製造され、その薬局で販売されるもの

本項では主に、2. に該当する医薬品について解説します。

I. 関税分類番号(HSコード)
HSコードは、成分や性質、状態等により判断されますので、あらかじめ税関にご確認ください。

医薬品(小売用でないもの)(HS3003)
医薬品(小売用のもの)(HS3004)
脱脂綿・ガーゼ・包帯その他の製品で、医薬品を染み込ませもしくは塗布したもの(小売用のもの)(HS3005)

II. 輸入時の規制
薬事法の規制による取扱い、承認手続きには多大な時間・労力・コストを要し、専門分野の方でなければ対応は困難で、輸入ビジネスの手始めに少量取り扱おうと考えるには不向きな品目です。
なお、個人輸入(販売を目的としないもの)については以下の厚生労働省の注意喚起を十分にご理解ください。

厚生労働省:
医薬品等を海外から購入しようとされる方へ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
医薬品の個人輸入に関するQ&A外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

1. 薬事法
A. 業としての許可
業として輸入販売する場合は、「製造販売業許可」が必要です。営業所ごとに、所轄の都道府県薬務主管課を通じて申請・取得します。
また、製造販売業者が最終的な包装・日本語表示・保管・試験検査などを行う場合は「製造業許可」も必要です。
なお、製造業許可は純粋な製造行為(保管やラベリングなど製造に準ずる行為を含む)に対する許可であって、販売行為は認められていませんので、どちらも行う場合には両方の許可が必要です。

a. 「製造販売業許可」
営業所所在地の都道府県薬務主管課に対して申請を行います。
「総括製造販売責任者」としての薬剤師の有資格者の常任雇用が許可要件の1つです。
許可は5年間の更新制で、市販後の品質保証安全管理が義務付けられます。

b. 「製造業許可」
製造所ごとに厚生労働大臣の許可が必要で、都道府県薬務主管課に対して申請します。許可区分は以下です。

  1. 医薬品
  2. 体外診断用医薬品
  3. 無菌医薬品
  4. その他医薬品
  5. 包装・表示・保管

また、「製造管理者」として薬剤師の有資格者の常任雇用が許可要件の1つです。なお、上記「総括製造販売責任者」と「製造管理者」は兼務できます。

B. 外国製造業者の認定および品目ごとの製造販売承認(または届出)

a. 品目ごとの「製造販売承認」(法第14条の1)
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(以下、PMDA)に提出し、輸入する医薬品の品目、成分、分量、製造方法等につき審査を受けます。厚生労働大臣の指定品目および外国製造業者が既に直接、日本の薬事法に基づく承認を取得済(外国特例承認取得者)の場合、承認は不要です(ただし、届出は必要です)。

b. 外国で製造される医薬品
国内製造業者は製造業許可が必要です。外国製造業者の場合は、厚生労働大臣の認定(法第13条の3)が必要で、この認定を受けていることが当該医薬品の製造販売承認の要件です。申請先は都道府県薬務主管課です。この認定のための事務処理には約5カ月程度の期間が必要です。

C. 外国特例承認(法第19条の2)
日本に輸出される医薬品を製造する外国製造業者が、直接、厚生労働大臣の「製造販売承認」を取得する制度です。
外国製造業者が「製造販売承認」を申請する際は、日本国内で医薬品製造販売業者(当該品目の種類に応じた製造販売許可を受けている者)を選任し、承認を受けた外国製造販売業者が選任したその製造販売業者は法第14条の1の規定にかかわらず、当該品目の製造販売を行うことができます。

D. 輸入届
業として輸入する際には「厚生労働省確認済輸入届」が必要です。
これには、関東信越厚生局または近畿厚生局(沖縄は支所)宛に、通関前までに「輸入届」を提出し、確認印の捺印を受け、返送されたものを入手し、輸入通関書類として添付します。輸入届に記載する事項は、製造販売業者の氏名・住所、製造販売業許可の種類・許可番号・許可年月日、輸入しようとする品目の名称等です。

2. 知的財産権侵害物品(関税法)
同権利(特許権、商標権、意匠権など)を侵害する商品の輸入は禁止です。権利者から提訴される場合があります。

III. 販売時の規制
1.薬事法
A. 表示義務
医薬品の使用や取り扱いを適正にし、品質を保持し、責任の所在を明確にするため、種々の記載事項が定められています。

  1. 医薬品の容器・被包:
    一般医薬品分類(以下、C.大衆薬の販売制度の見直しで後述)の外箱表示、製造業者、または輸入販売業者の氏名・住所、医薬品等の名称、製造番号または製造記号、内容量(重量、容量、個数等)、有効成分の名称等
  2. 添付文書等:
    成分、用法・用量、使用・取扱い上の注意等

医薬部外品にも分かりやすい表示が必要です(口中清涼剤、制汗剤・殺虫剤、殺鼠剤・ドリンク剤、キズ薬など)。

B. 広告規制
虚偽や誇大広告のみならず、効果効能等につき、医師等が保証しているような誤解を受けるおそれのある広告が禁止されています。
未承認薬は広告そのものが禁止されています。
事故報告のあった事案に応じて、厚生労働省から表示・広告に関する指示が出される場合もあります。

C. 大衆薬の販売制度の見直し
2009年6月の薬事法改正により、一般用医薬品はリスク区分に応じて販売方法が変わりました。

  1. 第一類:特にリスクが高いもの。
    一般用医薬品として使用経験が少ないなど、安全性上、特に注意を要する成分を含むもの。例としてH2ブロッカー含有薬や一部の毛髪用薬など。
    施錠陳列棚設置と購入時、薬剤師による情報提供が義務付けられています。
  2. 第二類:リスクが比較的高いもの。
    まれに、入院相当以上の健康被害が生じる可能性がある成分を含むもの。例として風邪薬など。
    薬剤師、または登録販売者(都道府県試験)資格を有する者の配置(名札着用)等が義務付けられています。
  3. 第三類:リスクが比較的低いもの。
    日常生活に支障をきたすほどではないが、身体の変調や不調が起こるおそれのある成分を含むもの。ビタミン含有保健薬や胃腸薬など。
    薬剤師、または登録販売者(都道府県試験)資格を有する者の配置(名札着用)等が義務付けられています。

2. 高圧ガス保安法
スプレータイプなどエアゾール製品の輸入通関には、高圧ガス保安法の適用除外となる旨の証明書が必要です。輸入者自らが所定の試験成績書を作成し、経済産業省が告示で定める要件(内容量1リットル以下、内圧0.8メガパスカル以下)に合致していることが確認された場合に適用除外と見なされます。

3. 不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)/公正競争規約
薬事法に加えて、同法においても過大な景品付き販売や、消費者に誤認されるおそれのある誇大・虚偽表示などは禁じられています。
また、不当な顧客誘引を防止する観点から、同法に基づく公正競争規約(いわゆる景品付き販売規制)が医療用医薬品製造販売業と卸売業でそれぞれ定められています。業界の自主規制ルールですが、同法に基づき制定されているため、同規約違反も同法違反とみなされます。

4.  (健康食品の場合)食品衛生法/健康増進法
「糖の吸収をおだやかにする」など、生活習慣病の予防効果を具体的に表示して販売する健康食品については、同法の適用を受けます。
ジェトロ貿易・投資相談Q&A「 特定保健用食品の認定申請手続き

5. 容器包装リサイクル法
商品として販売する容器包装には、同関係法令への対応が必要です。
ジェトロ貿易・投資相談Q&A「 容器包装リサイクル法

6. 麻薬および向精神薬取締法など
一部の睡眠導入剤など、中枢神経系に依存性をもたらすおそれのあるもの等は「麻薬及び向精神薬取締法」、「大麻取締法」、「覚せい剤取締法」、「あへん法」などに抵触しないかに注意を要します。
これら法令に該当する成分を含む製剤は、経済産業省の輸入割当や事前確認、輸入者要件があります(輸入貿易管理令)。
ジェトロ貿易・投資相談Q&A「 外国為替及び外国貿易法(外為法)

関係機関
厚生労働省:
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一般用医薬品販売制度外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA):
医薬品の製造販売手順について
医薬部外品外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
医薬品等外国製造業者の認定申請について外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
関東信越厚生局:
医薬品等の輸入監視等について
近畿厚生局:
医事課外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
経済産業省:
エアゾール製品等(スプレー缶、ライター等)の輸入の取扱いについて外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
消費者庁:
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参考資料・情報
東京都福祉保健局:
医薬品・医薬部外品の製造販売承認申請について外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
一般社団法人 全国公正取引協議会連合会外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
医療用医薬品製造販売業公正取引協議会外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
日本製薬団体連合会外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
一般財団法人 日本医薬情報センター外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
医薬品PLセンター外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
日本製薬工業協会外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

調査時点:2013/12

記事番号: M-030009

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