玩具類の輸入手続き:日本

質問

おもちゃの輸入手続きについて教えてください。

回答

近年のおもちゃは機能・性能等により多種多様で、製品によって関係法令が異なります。本項では主な法令のみ説明します。なお、乳幼児用については特に注意が必要です。

I. 輸入時の規制

  1. 関税法(知的財産侵害物品・不当表示関係)

    偽ブランド商品など知的財産権(商標権、著作権、著作隣接権、特許権、実用新案権、意匠権)を侵害する物品の輸入は禁止されています。輸入者が偽物と知らない場合であっても侵害物品として輸入が差し止められます。また、並行輸入は禁止されていませんが、侵害物品について原権利者から税関に対し、輸入差止申立がされている場合もあります。

  2. 食品衛生法

    同法に基づき厚生労働大臣が規定(同法施行規則第78条)したもの(下記の品目)は、規格基準や試験方法が定められています。規格に適合しないものは輸入販売ができません。貨物を通関する空海港管轄の厚生労働省検疫所輸入食品監視担当へ「食品等輸入届出書」に必要書類を添付して届け出る必要があります。審査の結果、検査が必要とされたものは保税地域内で検査が行われ、輸入の可否が判定されます。

    1. 乳幼児が口に接触する(可能性を含む)玩具
    2. アクセサリーがん具、うつし絵、起き上がり、おめん、折り紙、がらがら、知育がん具、つみき、電話がん具、動物がん具、人形、粘土、乗物がん具、風船、ブロックがん具、ボール、ままごと用具
    3. その他これらと組み合わせて遊ぶおもちゃ等

III. 販売時の規制

  1. 電気用品安全法

    おもちゃのなかには電動式のものも多く、同規制に該当しないかどうか確認します(例:電気遊戯盤、その他の電子応用遊戯器具等)。また「特定電気用品」に該当する品目(おもちゃ用変圧器、電熱式おもちゃ、電動式おもちゃ、電気乗物など)や、「特定電気用品以外の電気用品」に該当する品目(内蔵部分品やリチウムイオン蓄電池など)があります。 同法に該当する品目の輸入を行う事業者は、事業開始の日から30日以内に電気用品輸入事業届出書によって所定の事項を経済産業大臣(経済産業局)に届け出る義務があります。届出をした事業者(届出事業者)が輸入する電気用品は経済産業省の定める規格基準に適合している必要があります。
    同法施行令が指定する電気用品は「特定電気用品」(116品目)と「特定電気用品以外の電気用品」(341品目)に分かれます。特定電気用品は国の登録検査機関による適合性検査に合格し、適合性証明書の交付を受けなければなりません。特定電気用品以外の電気用品も自主検査(国が定めた検査方式による検査で、登録検査機関に委託することもできます)は必要です。届出事業者は基準に適合し、検査等を実施した電気用品を販売するにあたっては、国が定めた表示(PSEマーク、事業者名、定格電流等)を付す必要があります。
    製品流通後も届出事業者は重大事故発生時の報告等の義務を負います。

  2. 消費生活用製品安全法

    消費生活用製品の輸入事業者は、当該製品について重大製品事故が生じたことを知ったときは10日以内に、当該製品の名称・型式、事故の内容ならびに当該消費生活用製品を輸入し販売した数量を内閣総理大臣に報告しなければなりません(消安法第35条第1項及び第2項、施行規則第3条)。企業規模あるいは企業形態を問わず、国内にあるすべての消費生活用製品の輸入事業者は事故報告が義務付けられています。製造物責任法(PL法)への対応も別途必要です。

  3. 製品安全協会が認定するSGマークは、安全な製品としての必要基準を定め、この基準に適合していると認められた製品に付けられる任意マークです。乳幼児用品では、三輪車、足踏式自転車、ブランコ、すべり台、幼児用鉄棒などが同制度の対象品目です。

  4. 業界基準(STマーク制度)

    日本玩具協会が認定するSTマークは、第三者検査機関により安全な玩具としての基準(ST基準)に適合していると認められた玩具に付けられる任意マークです。ST基準はISO8124に準拠しています。STマーク付き製品の欠陥により万一消費者がケガなどした場合、一定金額の範囲内で損害賠償金が支払われますが、一方で商品の自主回収も求められます。STマークの有効期間は2年間です。ただし、契約期間は1年で表示有効期間内でも契約更新が必要です。2016年より新基準(ST2016)への移行が行われています。
    さらに同協会では、目や耳の不自由な子供たちも一緒に遊べるように配慮が施された「共遊玩具」を示す「盲導犬マーク」と「うさぎマーク」の認定も行なっています。

  5. 資源の有効な利用の促進に関する法律(資源有効利用促進法)(リサイクル法)

    小型二次電池を使用した電動式玩具は「指定再利用促進製品(再生資源または再生部品の利用促進に取り組むことが求められる製品)」に該当します。ニカド電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池、小形シール鉛蓄電池の密閉形蓄電池を使用した電動式玩具は「指定再資源化製品(密閉形蓄電池の自主回収に取り組むことが求められる製品)」に該当します。輸入販売業者にも使用済み電池の自主回収・再資源化への取り組みと分別回収に関して表示すべき事項が義務付けられています。
    さらに、一定の容器包装についても分別回収促進のため、識別表示することが義務付けられています。

  6. 不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)

    過大な景品付販売や消費者に誤認されるおそれのある誇大・虚偽表示などを禁じています。また、おもちゃの性質や機能(電気用品、写真機、楽器、スポーツ用品等)によっては、同法に基づき各業界団体が定めている公正競争規約に対応した表示のルールもあります。

その他にも商品によって他法令の規制を受ける場合(例:ラジコン、電波法)があります。容器包装リサイクル法関連への対応も必要です。

関係機関

税関手続きや税番、税率に関する問い合わせ(税関相談官室)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
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一般社団法人日本玩具協会(STマーク)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
一般社団法人全国公正取引協議会連合会(公正競争規約)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

参考資料・情報

税関:
特恵関税の卒業及び適用除外措置について外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
税関による知的財産侵害物品の取締り外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

厚生労働省:
輸入食品監視業務FAQ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
おもちゃPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(130KB)

経済産業省:
電気用品安全法(製品安全課)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
電気用品安全法の概要外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
資源有効利用促進法(資源エネルギー庁 省エネルギー・新エネルギー部 省エネルギー対策課)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

一般財団法人製品安全協会(SGマーク):
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調査時点:2013年9月
最終更新:2017年9月

記事番号: M-010793

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