木材の輸入手続き:日本
質問丸太や製材の輸入手続きについて教えてください。
回答
丸太や樹皮の一部を残した木材は植物防疫法による植物検疫の対象になります。加工された木材については一般的に植物防疫法の対象外となりますが、加工に使用された防虫剤、防腐剤や接着剤が化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)の対象になる場合があります。ローズウッド、マホガニーなどはワシントン条約の規制対象です。
Ⅰ. 輸入時の規制
- 植物防疫法
樹皮の一部を残した木材や丸太などは海外からの病害虫の侵入を防ぐため同法に基づく検疫の対象となります。この場合、国際植物防疫条約に定める様式の植物検疫証明書(輸出国植物検疫機関による検査の結果、病菌害虫が付着していない旨の証明)を提出する必要があります。ジェトロ貿易・投資相談Q&A「植物防疫法」を参照ください。
- ワシントン条約
材料となる木がワシントン条約(絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約: Convention on International Trade in Endangered Species of Wild Fauna and Flora)の対象品目である場合は、同法に基づく輸入規制があります。ワシントン条約の概要については、ジェトロ貿易・投資相談Q&A 「ワシントン条約に基づく輸出入規制」をご参照ください。
- 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)
防腐処理・防虫処理などの加工処理を行った木材に関しては植物防疫法の対象外ですが、加工処理に使用される化学品次第で、化審法による規制がかかる可能性があります。化審法の概要については、ジェトロ貿易・投資相談Q&A「化学物質の審査および製造等の規制に関する法律(化審法)」をご参照ください。
Ⅱ. 販売時の規制
- 農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律(JAS法)(任意)
国内販売時は、登録認定機関から認定を受けた製造業者等が、検査に合格した製品に日本農林規格(JASマーク)を表示できます。
林産物のJASには「製材」、「集成材」、「構造用パネル」、「合板」など9品目があります。 - 工業標準化法(JIS規格)(任意)
木材・プラスチック再生複合材(JISA5741)、建築用防火木材(JISA5801)、木材保存剤(JISK1570)、木材の試験方法(JISZ2101)はJIS規格が定められています。 - 建築基準法(シックハウス規制)
シックハウスに関する規制により、クロルピリホス(主に防蟻剤)添加建材の使用禁止とホルムアルデヒドを発散する建材の制限等があります。 - 業界認定表示
木材に関連する任意表示制度としては、上記以外にも数多くあります。
例えば以下の制度です。
日本住宅・技術センターによる各種認定・認証制度:建築基準法に基づく形式部材等製造者認定や自主認証としての優良木質建材等AQ認証
ホルムアルデヒド放散等級表示制度(全国木材検査・研究協会ほか関連工業会) - その他
用途によっては消防法に基づく防炎ラベル表示制度が該当します。
資源有効利用法(木材は再生資源としての利用促進に取り組むことが求められる指定副産物)、労働安全衛生法(合板足場板の規格)など他法令の規制が関係する場合があります。
関係機関
- 税関:
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輸出入通関手続や税番・税率等に関するお問い合わせ(税関相談官室)
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品目分類(HSコード)の事前教示制度について
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植物防疫所
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木材こん包材の輸出入
- 農林水産省:
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JAS(Japanese Agricultural Standards、日本農林規格)
- 国土交通省:
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建築基準法に基づくシックハウス対策について
- 経済産業省:
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ワシントン条約(CITES)
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ワシントン条約規制対象貨物の輸入承認手続き
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化審法
参考資料・情報
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一般社団法人 全国木材検査・研究協会
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日本産業標準調査会(JIS規格)
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公益財団法人 日本住宅・木材技術センター
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ホルムアルデヒド放散等級自主表示に関するガイドライン
(320KB)
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公益財団法人 日本防炎協会
調査時点:2013年9月
最終更新:2025年8月
記事番号: M-010792
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