医療機器の輸入手続き:日本

質問

医療機器の輸入手続きについて教えてください。

回答

I. 関税分類番号(HSコード)

診断装置(HS9018)
酸素吸入器(HS9019.20)
整形外科用機器(HS9021)
エックス線機器(HS9022)
体温計及び非接触電子体温計(HS9025) ほか
医療機器の関税分類はその性状・機能等により異なるため、詳細は実際に輸入しようとする商品の詳細情報を提示し、あらかじめ税関相談官室に照会することをお勧めします(事前教示制度の活用)

II. 輸入時の規制

医療機器は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(旧薬事法、以下「医薬品医療機器等法)」の規制対象であり、同法の許可を受けなければ輸入できません。
個人が自分で使用するために輸入する場合、家庭用器具(マッサージ器や体温計など)に限り1セット、使い捨てコンタクトレンズ(おしゃれ用カラーコンタクトを含む)は2カ月分以内の輸入は許可なく認められますが、この場合でも他人への売却・譲渡はできません。また、自己判断で使用すると重大な健康被害が生じるおそれがある医療用具を一般個人が輸入することは認められていません。

  1. 医薬品医療機器等法
    1. 製造販売業許可・製造業登録・修理業許可
      製造販売業許可の申請は、輸入販売しようとする事業所(総括製造販売責任者の所在する事務所)所在地を管轄する都道府県薬務主管課(都道府県知事)に対し、品質管理方法(GQP)ならびに製造販売後安全管理方法(GVP)が適切であること、総括製造販売責任者(常任雇用)の資格を証する書類などを提出します。取り扱う医療機器の国際区分(クラスI〜IV)に応じて必要な許可の種類(第一種〜第三種)が異なります。さらに、区分ごと、製造所ごとに許可の取得が必要です。
      クラスI(一般医療機器) メス、ピンセットなど(第三種医療機器製造販売業許可)
      クラスII(管理医療機器) 血圧計、補聴器など(第二種医療機器製造販売業許可)
      クラスIII(高度管理医療機器) コンタクトレンズなど(第一種医療機器製造販売業許可)
      クラスIV(高度管理医療機器) ペースメーカーなど(第一種医療機器製造販売業許可)

      輸入後に包装・表示・保管を行い市場に出荷する場合は「製造業登録」、高度管理医療機器および特定保守管理医療機器の場合は「販売業許可」、アフターメンテナンスには「修理業許可」が必要です。詳細は都道府県薬務主管課にお問い合わせください。

    2. 外国製造業者登録/製造販売承認
      外国の製造所で製造している場合、国内製造業者の登録と同様に、外国製造業者が医薬品医療機器等法(第13条の3)に基づく「外国製造業者登録」を受けていることが当該医療機器の製造販売承認の要件となっています。従って、製造販売業許可を有する選任製造販売業者を通じて医薬品医療機器総合機構(PMDA)に外国製造業者登録申請を行い、厚生労働大臣に「製造販売承認」申請または登録認証機関への「製造販売認証」申請を行います。なお、医療機器のうち一般医療機器に分類されるものは届出が必要で、管理医療機器及び厚生労働大臣が基準を定めた高度管理医療機器は認証機関による第三者認証が必要です。それ以外のものについては厚生労働大臣の承認が必要です。なお、以前必要であった厚生局への輸入届の提出は、2016年1月1日以降不要となり、代わって輸入通関時に、製造販売業許可証、製造業許可証、製造業登録証などの写しを税関に提出することになりました。
    3. 表示義務その他
      医薬品医療機器等法に基づき、製造販売業者名、名称、製造番号または製造記号など必要表示事項の記載が求められ、虚偽または誤解を招くおそれのある表示をしてはならないこと等が定められています。
      その他、医療機器の販売ならびに賃貸について、クラス分類によって遵守事項(営業所の管理記録の作成・保存、従業員に対する訓練、不具合等の報告義務など)が厳しく定められています。
  2. 電気用品安全法
    電動・電熱式医療機器については同法の規制を受けます。
    同法に該当する品目の輸入を行う事業者は、事業開始の日から30日以内に電気用品輸入事業届出書によって所定の事項を経済産業大臣(地方経済産業局)に届け出る義務があります。輸入する電気用品は経済産業省の定める規格基準に適合している必要があります。
    同法施行令が指定する電気用品は、「特定電気用品」(116品目)と「特定電気用品以外の電気用品」(341品目)に分かれます。特定電気用品は国の登録検査機関による適合性検査に合格し、適合性証明書の交付を受けなければなりません。特定電気用品以外の電気用品も自主検査は必要です。自主検査は、国が定めた検査方式による検査で、登録検査機関に委託することもできます。届出事業者は基準に適合し、検査等を実施した電気用品を販売するに当たっては、国が定めた表示(PSEマーク、事業者名、定格電流等)を付す必要があります。
    製品流通後も届出事業者は重大事故発生時の報告等の義務を負います。
    なお、家庭用治療器の多くが「特定電気用品以外の電気用品」ですが、ACアダプターなど付属品や機能等によってどちらに該当するかは実際に輸入しようとする製品によります。
  3. 工業標準化法(JIS規格)/業界規格
    登録認証機関による指定管理医療機器の認証に際して、JIS規格への適合が求められる場合があります。例えば電磁波ノイズによる誤作動の危険性防止のため、承認申請に際して電磁的両立性EMC規格(JIST0601-1-2)適合確認が義務付けられている医療機器があります。その他、品目により日本画像医療システム工業会の規格(JESRA)などもあります。
    その他、製造物責任法(PL法)、消費生活用製品安全法(重大事故報告・公表制度)、リサイクルや医療系廃棄物の適正処理関係法令などにも輸入者に責任が求められます。品目によっては電波法(一部補聴器など)や放射線防止法(放射線医療機器基準)、医療法など機器によってさらに他法令による規制を受ける場合もあります。

III. 販売時の規制

  1. 景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)/公正競争規約
    医薬品医療機器等法に定める表示義務のほか、同法に基づく業界自主規制として「医療機器業における景品類の提供の制限に関する公正競争規約及び施行規則」があります。

参考資料・情報

税関:
税関手続きや税番、税率に関する問い合わせ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
法令データ提供システム(e-Gov):
薬機法施行令別表第一(厚生労働省 医薬食品局)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
独立行政法人医薬品医療機器総合機構:
医療機器基準関連情報外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
医療機器外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
医療機器の製造販売手順についてPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(783KB)
医薬品等外国製造業者の認定申請について外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
東京都健康安全研究センター:
医療機器の製造販売業・製造業・修理業許可の各種手続き外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
関東信越厚生局 :
医薬品等の輸入監視等について(従前の「薬監証明関係」と「医療品等の輸入に ついて」を統合)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
医療機器業公正取引協議会:
医薬品業等告示および公正競争規約、同施行規則、同運用基準(従前の「医療機器業の景品に関する公正競争規約」から改題)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
経済産業省 製品安全課:
電気用品安全法外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

調査時点:2016年10月
最終更新:2021年3月

記事番号: M-010754

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