インターネット通販会社設立の際の留意点:米国

質問

米国で会社を設立し、インターネットの通信販売事業を行います。どのような点に注意すべきか教えてください。

回答

米国では、インターネット通販そのものに対する連邦レベルのライセンスは不要です。州レベルについても、例えばニューヨーク州ではインターネットでの販売事業のためのライセンスは特に必要としません。一般的な会社設立をすれば、インターネット通販事業を行えます。ただし、州や取り扱う商品などによってはライセンス取得が要求される場合がありますので、会社を設立する州および郡・市のライセンス担当部署に確認してください。米国での会社設立に関しては、ジェトロの貿易・投資相談Q&Aの「会社設立手続き、留意点」のほか、会社設立や様々な税務関連についての調査レポートがありますので、併せて参照してください。

ここでは米国内でインターネット販売を行う際の一般的な留意点を説明します。

Ⅰ. オンライン・ビジネス特有の留意点

インターネットによる物品販売・役務提供業は、米国では電子商取引(E-commerce)の中でオンライン・ビジネス(online business)と呼ばれています。インターネットによる事業そのものに許可は必要ありません。ただし、消費者保護や公正取引等の観点から連邦取引委員会(Federal Trade Commission: FTC)が連邦レベルで規則を定めています。主な留意点は次のとおりです。

1. 広告・マーケティング上の留意点

対面販売と異なり、インターネットによる販売では消費者が商品を直接手にとって確かめる、あるいは販売業者に直接質問することが困難です。そのため、インターネット上の広告では、真実を語ること、消費者を誤解させないこと、さらに事業者の主張(特に健康、安全および性能に関して)が実証されていることが求められます。
15ドルを超える商品の販売については、保証書のコピーの入手方法を消費者に通知しなければなりません。
また、「消費者レビューおよびテスティモニアルの使用に関する取引規制規則(Trade Regulation Rule on the Use of Consumer Reviews and Testimonial)」(2024年10月施行)により、事業者は虚偽のレビューやテスティモニアル、レビューに対する対価(インセンティブ)の提供が禁止されたほか、内部関係者によるレビューの規制などが規定されました。

2. 消費者保護上の留意点

消費者の個人情報の取扱いと秘密保持に格別の注意を払う必要があります。事業者の個人情報の取り扱い方針等のウェブサイト上での表現は基本的に自主判断に任されています。ただし、カリフォルニア州のように個人情報保護法を制定している州もあり、事前に確認する必要があります。13歳未満の子供からの個人情報の入手については、児童オンラインプライバシー保護法(Children’s Online Privacy Protection Act: COPPA)に従い、個人情報の取り扱いや方針をウェブサイト上に必ず掲載し、さらに事前に子供の情報を収集する旨を直接保護者に通知し、許可を得なければなりません。詳しい手順は文末のCOPPAを参照ください。

3. 国際取引上の留意点

1999年12月、経済協力開発機構(OECD)は電子商取引に関する消費者保護ガイドラインを採択し、米国、日本を含む29カ国が調印しました。インターネット販売業者は、公正な広告を行い、ウェブサイト上で事業者自身の業種や所在地、商品とその価格、保証、返品やクレームの方法、取引保護上の措置等を明示することを推奨しています。

4. 商品配送上の留意点

「郵便・インターネットまたは電話による商品注文規則(Mail, Internet or Telephone Order Merchandise Rule)」では、インターネットでの注文による物品販売における配達所要日数、配達遅延時の通知、代金の払い戻し等に関する規則があります。配達所要日数を記載する場合には、その根拠が必要です。配達日数を記載しない場合には、30日以内に配達できる合理的な根拠を持っている必要があります(「30日ルール」)。

Ⅱ. 税務上の留意点

日本の消費税に相当するものとして、米国には売上税(sales tax)と使用税(use tax)があります。税率は州により異なります。 課税拠点については、一般に、店舗、事務所、倉庫等の物理的な存在(physical presence)がある場合に所在する州の売上税等の対象になっていました。しかし、2018年の判決(17-494 South Dakota v. Wayfair, Inc.)以降、物理的な存在がなくても一定基準の売上高等の基準を満たすと、徴収の義務が発生する州が増えています。基準値や対象売上などの定義は州によって異なりますので、各州税務当局で確認してください。

通常、商品を州外または国外へ販売する場合(商品を直接州外または国外へ配送することが条件)には、州の売上税は適用されません。また、使用税は、商品を販売のために保管する場合には適用されません。しかし、近年、大手インターネット小売業者が台頭し、その取引額が大きくなるに従い、州外事業者の州内消費者への売り上げに対する売上税を各州が適切に徴収できていないという問題が大きく取り上げられるようになりました。本件に関しては、最新の情報を入手することが重要です。

関連法令

カリフォルニア州司法省:
個人情報の取り扱いについて外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

参考資料・情報

連邦取引委員会(FTC):
Online Advertising and Marketing外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
米国小企業庁(SBA):
10 Steps to start your business外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
Exporting & Importing外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
econsumer.gov:
国境を越えた消費者トラブルについての苦情情報サイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
OECD:
OECD電子商取引の定義と解釈ガイドライン(2025年版)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

調査時点:2016年11月
最終更新:2026年1月

記事番号: J-110901

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