化学品の現地輸入規則および留意点:メキシコ向け輸出

質問

メキシコ向けに化学品を輸出する際の現地輸入規制および留意点について教えてください。

回答

メキシコには米国の有害物質規制法(Toxic Substances Control Act: TSCA)のような化学品を規制する法律がなく、所管する省庁が異なる複数の法規則によって一部重なり合うような形で規制が行われています。

Ⅰ. 化学品を規制する主な法律

  1. 保健法(Ley General de Salud)
    保健法では第12編(Titulo Decimosegundo)「製品およびサービスの輸出入における衛生管理」の第12章(Capitulo XII)で定義およびそれらについて保健省(SSA)が分類、認可を所管すること、製造や使用、表示、保管、包装および流通などについては、法的な強制力のあるメキシコ公式規格(Norma Oficial Mexicana: NOM)等により規制すること、ラベル表示はスペイン語によることなどが定められています。第13章(Capitulo XIII)は輸出入に関して規定しており、輸入者はメキシコに所在していること、健康に被害を及ぼす恐れのある有害物質の輸入には保健省の輸入許可が必要なこと、輸入許可の対象物質は別に定めることなどを規定しています。
  2. 生態学的平衡および環境保護法(Ley General del Equilibrio Ecologico y la Proteccion al Ambiente)
    生態学的平衡および環境保護法第144条は、製造または加工された国においてその使用が禁止されている危険物質のメキシコへの輸入を禁止しています。
  3. 連邦消費者保護法(Ley Federal de Protección al Consumidor)
    連邦消費者保護法は消費者の安全、健康、安全の保護のための表示や広告、消費者の権利などについて定めています。化学品に限らず、製品、サービスに関する情報は、適切かつ明確で、消費者に誤解や混乱を生じさせるものであってはならないこと、製品やラベル、容器・包装および広告が表示する情報はスペイン語で表記することなどを定めています。

Ⅱ. 輸入手続き

  1. 輸入を行うために必要な登録
    メキシコで輸入者となるには、連邦納税者登録(Registro Federal de Contribuyentes: RFC)番号を有し、大蔵公債省に輸入業者登録(Padrón de Importadores)しなければなりません。また、国税庁(SAT)貿易細則(Reglas de Carácter General en Materia de Comercio Exterior)別添(Anexo)10に該当する商品の輸入者は、部門別輸入業者登録(Padrón de Importadores de Sectores Específicos)が義務付けられています。化学品や放射性物質、爆発物、前駆物質等がその対象となっており、申請にあたっては、RFCおよび一般輸入業者登録を有する必要があります。
  2. 一般的な輸入手続きのために必要な書類
    輸入申告書、およびそれに添付する次の書類をPDF形式にしてメキシコ貿易デジタル窓口(Ventanilla Digital)を通じて手続きします(ペーパーレス通関)。
    1. インボイス
    2. 船荷証券(B/L)あるいは航空貨物運送状(Air Waybill: AWB)
    3. 非関税輸入規制を遵守していることを証明する書状(必要な場合)
    4. 原産地証明書(必要な場合)
    5. 保証金の入金証明書(中古車関係)
    6. 重量や体積を証明する書類(バルク貨物関係)
    7. 識別・分析・管理を行うための情報(必要な場合)
  3. 事前許可等
    化学品の輸入に関しては、次のa〜cのように、省庁による事前許可等が必要なものがあります。許可等の申請は、当該輸入許可を管轄する省庁に対して行います。
    1. 農薬、肥料、有害物質の処理の統制および使用に関する省庁間委員会(Control del Proceso y Uso de Plaguicidas, Fertilizantes y Sustancias Tóxicas: CICLOPLAFEST)決議 CICLOPLAFESTは、化学物質に関する規制の重複を整理、調整することを目的に設置された委員会で、保健省(SSA)、農牧林漁業省(SAGARPA)、環境・天然資源省(SEMARNAT)、経済省(SE)、労働・社会保険省(STPS)、環境保護庁 (PROFEPA)で構成されています。農薬、肥料、有害物質、植物栄養素の輸入を管理する「商品の分類と法典化」に関する決議第2、3、4、5条に、輸入者が事前に省庁から輸入の許可または承認を得なければならない有害物質のリストが記載されています。
    2. 農薬、植物栄養素、有害または危険物質の登録、輸出入の許可および輸出証明書に関する規則(Reglamento en Materia de Registros, Autorizaciones de Importación y Exportación y Certificados de Exportación de Plaguicidas y Nutrientes Vegetales y Sustancias y Materiales Tóxicos o Peligrosos) 保健連邦衛生リスク委員会(Comision Federal para la Protección contra Riesgos Sanitarios: COFEPRIS)、SEMARNAT、SAGARPAが所管する農薬、植物栄養素、有害または危険物質の輸入許可および承認の申請について必要な書類や手続きが同規則第3章に規定されています。
    3. 火気・爆発物に関する連邦法(Ley Federal de Armas de Fuego y Explosivos) 同法第41条が指定する火薬および爆発物(火薬、ピクリン酸、ニトログリセリン他)および爆発物に関連した化学物質(塩素酸塩、金属ソジウム他)の輸入に際しては、国防省(SEDENA)の輸入許可を取得する必要があります。
  4. 輸入許可等の申請に必要な書類
    1. COFEPRISおよびSEMARNATの輸入許可の申請に必要な書類
      輸入許可申請書、申請者の法的資格証明、手数料の支払い証明書類が必要です。有毒化学物質の場合は、上記に加え、取扱免許の写し、スペイン語の安全データシート(Hojas de Datos de Seguridad: HDS、英語ではSafety Data Sheet: SDS。外国語の場合はスペイン語訳)も必要です。
      モントリオール議定書に規定がある規制物質の場合、取扱免許の写し、スペイン語の安全データシート(外国語の場合はスペイン語訳)、割当品目に該当する場合はSEMARNATの輸入割当証明書が必要となります。
    2. 環境・天然資源省(SEMARNAT)による輸入承認に必要な書類
      COFEPRISによる輸入許可、有害物質の輸送により生じる可能性のある損害を担保し得る保険証券および保険料支払証明書、事故時の緊急対応の詳細を記した書類。
    3. SEDENAの輸入許可の申請に必要な書類
      輸入許可の取得に先立ち、「爆発物および化学物質の製造、購買、貯蔵、販売、消費のための一般許可」を取得します。これを取得した事業者が輸入許可を申請することができます。手続き番号RFA-SQ-001所定の書式に必要事項を記入し、工場、倉庫など施設の所在地、安全対策情報、法人設立趣意書、所在地州政府の推薦状、大蔵公債省の税務検査証など必要書類を添付してSEDENA火器登録・爆発物管理総局化学物質課まで提出します。

    上述の「一般許可」を取得した後、爆発物・化学物質の通常・臨時輸入許可を申請します。通常輸入許可とは、一般許可取得時に申請済の化学物質(火器法の許可を要するもの)を輸入するための許可です。臨時輸入許可は、一般許可取得時に申請していない化学物質を輸入する際に必要となります。通常輸入(RFA-SQ-003-A)、臨時輸入(RFA-SQ-003-A)の所定の書式に必要事項を記入し、送り状(書式自由)などを添付するとともに輸入地を最大4箇所(4税関)、明らかにする必要があります。提出先は一般許可と同じです。

  5. 現地流通時の表示等に関する規制
    1. 表示

      製品流通時の一般的な表示については連邦消費者保護法に基づきNOM-050-SCFI-2004(製品の一般表示)で規定されており、一般的な製品の説明、量、製造者または輸入者の名称および住所、原産国のほか、必要な場合は使用方法や成分、消費期限または賞味期限、注意喚起語、保証等について記載します。また、以下の物質についてはそれぞれNOMにより表示が規定されています。

      • NOM-003-SSA1-2006(塗料、インク、ニス、ラッカー、うるし、エナメルの表示)
      • NOM-182-SSA1-2010(植物栄養素の表示)
      • NOM-189-SSA1-SCFI-2018(家庭用清掃用品の表示および包装)
      • NOM-232-SSA1-2009(業務用および家庭用の殺虫剤の容器、包装および表示)

      危険物質の輸送時の表示に関しては、以下のNOMが規定しています。

      • NOM-003-SCT/2008(危険物質、危険資材および危険廃棄物の輸送における容器および包装の表示)
      • NOM-004-SCT/2008(危険物質、危険資材および危険廃棄物の輸送車両の識別システム)
    2. 安全データシート

      安全データシートの備え付けについては、以下のNOMにより規定されています。

      NOM-018-STPS-2015(労働者の健康に影響し、職場に危害を及ぼす危険な化学物質のリスクの特定および伝達のためのシステム)

      危険な化学物質を取り扱うすべての職場に、該当の物質ごとに安全データシートを備えなければならないとしています。スペイン語での表記が義務付けられており、9.2章および附属書(Apendice)Aに以下の必須事項が定められています。

      1. 製品および会社情報
      2. 危険化学物質の特定
      3. 組成・成分情報
      4. 応急処置
      5. 火災時の措置
      6. 事故による漏出・放出に対する措置
      7. 取り扱いおよび保管
      8. 曝露防止および個人反故
      9. 物理的および化学的特性
      10. 安定性および反応性
      11. 毒性情報
      12. 生態系への影響情報
      13. 廃棄に関する考慮事項
      14. 輸送情報
      15. 規制情報
      16. その他情報(作成日など)

関係機関

関係法令

保健省:
保健法外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
環境・天然資源省:
生態学的平衡および環境保護法(Ley General del Equilibrio Ecológico y la Protección al Ambiente)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(975KB)
経済省:
連邦消費者保護法(Ley Federal de Protección al Consumidor)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
国税庁貿易細則(Reglas de Carácter General en Materia de Comercio Exterior, SAT)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(3.4KB)
メキシコ公式規格(Norma Oficial Mexicana)検索サイト(官報)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
国防省:
火気・爆発物に関する連邦法(Ley Federal de Armas de Fuego y Explosivos)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(280KB)/dd>

参考資料・情報

調査時点:2014年10月
最終更新:2025年12月

記事番号: I-120102

ご質問・お問い合わせ

記載内容に関するお問い合わせ

貿易投資相談Q&Aの記載内容に関するお問い合わせは、オンラインまたはお電話でご相談を受け付けています。こちらのページをご覧ください。