欠損のある輸入品の代替品を無償で提供される場合の関税等の適用:日本

質問

海外から製品を輸入しましたが、欠損が見つかったため、売手と協議し、代替品の無償提供を受けました。これに対する関税等の適用はどうなりますか。

回答

輸入された貨物については、課税価格の決定の原則に従い、課税価格を決定し、輸入申告を行う必要があります(関税定率法第4条)。
無償で輸入された代替品は、課税価格の決定の原則の例外(輸入取引によらない輸入貨物)に該当します(関税関係基本通達4-102)。この場合無償で輸入された代替品が欠損品と同一品のものである場合には、もとの貨物の輸入申告時と同一の価格で申告します。
輸出者側で、もとの貨物と同一品による代替ができず、相当品や類似品での代替であれば、関税定率法第4条第2項規定に従い、以下の方法によって新たに課税価格を決定します。

I. 「同種又は類似の貨物に係る取引価格による課税価格の決定」(同法第4条の2)

輸入貨物の生産国から、ほぼ同じ時期に日本に輸出された同種または類似の貨物があるときは、その貨物の取引価格に基づいて課税価格を決定します。

ただし、取引段階、取引数量、運送形態等が異なる場合は必要な調整を行うことになります。
この方法で課税価格を決定できない場合は、次のII.(同法第4条の3)を検討します。

II. 「国内販売価格または製造原価に基づく課税価格の決定」(同法第4条の3)

Iで課税価格を決定できない場合は、次のいずれかの方法を検討します。

  1. 逆算方式
    輸入貨物の国内販売価格または当該輸入貨物と同種または類似の貨物に係る国内販売価格から、国内販売にかかわる諸費用を控除して課税価格を決定する
  2. 積算方式
    輸入貨物の製造原価に、同類の貨物の我が国への輸出販売にかかわる通常の利潤、一般経費、輸入港までの運賃等を加算して課税価格を決定する

この場合、逆算方式が積算方式に優先して適用されることが原則ですが、輸入者が積算方式を選択することもできます。
この方法で課税価格を決定できない場合は、次のIII(同法第4条の4)を検討します。

III. 「特殊な輸入貨物に係る課税価格の決定」(同法第4条の4)

上記のいずれの方法でも、輸入貨物の課税価格を決定できない場合は、合理的な調整を加えることで課税価格を決定します。

例えば、輸入貨物との価格差を、品質の差などから説明することができる別の輸入貨物の課税価格に基づいて、その価格差に必要な調整を行うなどの方法を用いて課税価格を決定することになります。

なお、欠損品を輸入した際に納税した関税と消費税については、「違約品等の再輸出又は廃棄の場合の戻し税等」の適用によって払い戻し、還付が可能な場合もあります(関税定率法第20条)。

詳細は、貿易・投資相談Q&A「輸入品を積戻す際の支払済み関税、消費税の還付手続き:日本」を参照ください。

関係機関

税関外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

関係法令

関税定率法、関税定率法基本通達

参考資料・情報

税関:
輸入貨物の課税価格決定の原則(関税評価の原則)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
関税評価の原則によらない場合外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
関税評価の原則によらない場合の課税価格の決定方法外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
代替品として輸入される無償貨物の課税価格PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(14KB)

調査時点:2013年7月
最終更新:2017年9月

記事番号: H-100312

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